【糖尿病のリスクを減らす食事法】医学博士が教える、血糖値の上昇を抑える「最強野菜」トップ3

 【糖尿病のリスクを減らす食事法】医学博士が教える、血糖値の上昇を抑える「最強野菜」トップ3
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糖尿病は、長期におよぶと心疾患や失明といった合併症を引き起こすやっかいな病気。発症の原因は生活習慣と密接ですが、身近な野菜で予防・改善ができると言います。著書の『野菜は最強のインベストメントである』(フローラル出版)のなかで「野菜を食べることは体にとって最強の投資」と謳う、医学博士の岩崎真宏さんに詳しくうかがいました。

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血糖値を管理するインスリンの状態は、生活習慣で変化する

――糖尿病は、血糖値を下げるインスリンというホルモンが不足したり、正常に働かなくなったりして高血糖になる病気です。インスリンの状態を左右する原因として、どんなことが考えられますか?

「インスリンが正常に機能しなくなる原因は二つあります。まず、食事で摂取した糖は小腸で吸収されて血流にのって筋肉に辿り着き、それがインスリンによって細胞に取り込まれて全身のエネルギー源となります。しかし、食べ過ぎや運動不足で肥満になると、インスリンが効きにくくなり、血液中に糖が溢れて糖尿病を発症します。

もう一つの原因は、インスリンを作り出す膵臓のβ細胞の能力低下です。果糖を多く摂取する人は膵臓がダメージを受けやすく、インスリン産生量が減って糖尿病の発症リスクが高まります。果糖を多く含むものといえば、スポーツドリンクや清涼飲料水です。気温が上がりスポーツドリンクを飲む機会が増えると、ペットボトル症候群と呼ばれる急性の糖尿病を発症する人が増えるので注意してください。

また、筋肉は血液中の糖を取り込む機能を備えているので、肥満の人でも筋肉を刺激するとインスリンの助けを借りずに血糖値を下げられます。糖尿病にならないためには、食事の見直しと定期的な運動を心がけてください」

高脂肪食や夜遅い食事は、今すぐ改善を!

――食生活と糖尿病の関係は密接ですが、特にどんな食事が発症リスクを高めますか?

「脂質の多い食事を続けると、肥満や肝炎、脂肪肝になりやすいです。血糖管理をしている肝臓がダメージを受けると、蓄えた糖が漏れ出して血糖値がどんどん上昇してしまいます。何も食べていない空腹時でも血糖値が高いと、インリン分泌を促すGIP、GLP-1というホルモンのうちGIPの働きが悪くなります。一方のGLP-1は、高血糖状態が続いてもインスリン分泌を促進する能力は衰えません。食物繊維の多い食品を取るとGLP-1の分泌量が増えるので、野菜の摂取量を増やすことは血糖値の改善をサポートし糖尿病の予防につながります。

また、糖尿病には遅い時間の食事もリスキーです。肝臓は、食事で摂取した栄養を代謝しエネルギー源として全身に提供しています。しかし、夜は栄養を蓄える働きが優位になるため、遅い時間に食事をすると内臓脂肪が増えて肥満につながります」

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医学博士が認めた「血糖値の上昇を抑える野菜トップ3」

――食事で糖尿病のリスクを下げたい場合、血糖値の上昇や肥満の改善が期待できる野菜トップ3を教えてください。

「血糖値の上昇を緩やかにするだけでなく、糖尿病の予防作用を多く備えたゴボウはダントツの1位です。また、トップ3には入りませんが注目するべきはピーマンです。糖を分解するαグルコシダーゼという酵素を抑え、糖の吸収スピードを緩やかにします。特に抑制効果が高いのは赤ピーマン。糖尿病の治療では、αグルコシダーゼ阻害薬という同様の効果を持つ薬が使われています」

1位 ゴボウ

ゴボウに多く含まれる食物繊維は、糖の吸収を抑えて食後血糖の上昇をセーブするほか、インスリン分泌に関係するGLP-1の働きも促進します。また、フィトケミカルの一種であるクロロゲン酸は体脂肪を減らし、抗炎症作用に優れたアルクチゲニンは高血糖により炎症を起こした血管を保護し、肥満による脂肪細胞の炎症も抑制します。クロロゲン酸は、ゴボウの皮に多く含まれているので泥だけ落として皮は残すこと。加熱すると溶出しますが、味噌汁や鍋に入れると栄養分を逃さず摂取できます。

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2位 ケール

摂取量が多いほど血糖値を正常に保つ効果が期待できる、フラボノイドが豊富。柔らかく生でも食べられるのでサラダにプラスしてみてください。

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3位 玉ネギ

玉ネギは、ミトコンドリアを増やすケルセチンという成分を多く含みます。ミトコンドリアは基礎代謝を上げて脂肪燃焼を促すので、体重管理が欠かせない糖尿病の予防、改善の強い味方と言えます。

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血糖値の急上昇を防ぐには、野菜を食べる順番と量も大事

――血糖値の上昇を緩やかにする食べ方のポイントはありますか? また、野菜を食べられないとき代わりとなる食品があれば教えてください。

野菜から食べる

「野菜から食べると血糖値の急激な上昇を抑えられます。早食いの人は血糖値が上がりやすいですが、早食いでも野菜を最初に食べると食物繊維が糖の吸収を抑え、血糖値の上昇スピードを緩やかにできます」

野菜摂取量を徐々に増やす

「野菜を摂る量が増えると、糖尿病の発症率は下がります。1日の摂取目標量は350gですが、いきなり最終目標を目指すのが難しければ、今よりも1日50g~70g多く野菜を摂るように心がけてください。段階的に増やすことで予防効果がアップします」

ナッツ、ホエイプロテインを取り入れる

「ナッツは胃から小腸にゆっくり時間をかけて移動するため、食後血糖の上昇を抑えられると言われています。ホエイプロテインは、ヨーグルトの上澄み液(乳清)を原料としたプロテインでGLP-1の分泌を促進します。野菜を十分に摂れない場合、カロリーオーバーに気をつけながら日々の食事に取り入れてください」

書籍
『野菜は最強のインベストメントである』(フローラル出版)

教えてくれたのは…岩崎真宏さん

医学博士、管理栄養士。病院で管理栄養士として働き、食事を変えると治療薬の効果が上がることを実証。その後、医学的根拠のある栄養学を実践するために独立。運動指導者、医療スタッフ、保育士、介護士、アスリートなどを対象にヘルスケア人材の育成と雇用創出、コンテンツ開発を行う教育事業を開始し、病気になってからではなく、健康なうちから使いこなせる栄養学を発信している。2017年には一般社団法人日本栄養コンシェルジュ協会を設立し代表理事に就任。栄養学からみた野菜の健康価値と野菜不足の社会課題のギャップ、廃棄野菜などの農業課題を解決するため、ヘルスケアと農業の循環型事業に取り組むベジタブルテック株式会社を創業。近著『野菜は最強のインベストメントである』(フローラル出版)も話題。

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取材・文/北林あい

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ヨガジャーナルオンライン編集部

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ストレスフルな現代人に「ヨガ的な解決」を提案するライフスタイル&ニュースメディア。"心地よい"自己や他者、社会とつながることをヨガの本質と捉え、自分らしさを見つけるための心身メンテナンスなどウェルビーイングを実現するための情報を発信。



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