会社員→フリーランスに転身|いしかわゆきさんに聞く「生きづらい世界をいい感じに泳ぐ」思考のヒント

 会社員→フリーランスに転身|いしかわゆきさんに聞く「生きづらい世界をいい感じに泳ぐ」思考のヒント
photo by 宮永優馬
竹田歩未
竹田歩未
2023-10-14
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フリーランスとの出逢い

いしかわさん:そんな感じで、会社員時代はいろいろと環境を変えながらフィットする場所を模索していました。でも当時は自分の中にフリーランスという選択肢さえありませんでした。身近にいなかったし、単純にフリーランスのことを知らなくて選択肢になかったんです。

ところが、編集者として外注先のフリーランスライターの方とお仕事したり、社会人コミュニティに入ってフリーランスの方と知り合ったことで、印象が一気に変わりました。それまでは、失礼ながらフリーランスはフリーターのようなものだと思っていたんです。でも、深く接しているうちに、だんだん彼らの生活が見えてきて。ひもじい思いをすることもなく会社員と同じぐらい稼いで生きていると分かったことで、「フリーランス」がリアルな選択肢として浮かび上がってきました。

ーーなるほど。コミュニティに入ったことが転機になったんですね。どんなことを意識してコミュニティに入ったんですか?

いしかわさん:社会人になってからは、会社のメンバーと大学時代の友達としか会わなくなくなり、基本は仕事の話しかしない日々を過ごしていたんです。とても狭い世界の中で生きていると感じていました。そんな時に、SNS上で個人で活躍している人を見ていると、彼らは知り合いが多くていろいろなコミュニティに入っているという印象を受けました。丁度当時は広告代理店に勤めていた頃で、個人で仕事してみたいとか自分で新しいチャレンジをしたい気持ちが強かったんです。そこで、サードプレイスのような位置づけで新たな環境に踏み込んでみようと思い、コミュニティに入りました。会社でも家でもなく、全く接点のない職業の方や、異なるバッググラウンドを持っている人たちと出会って、自分を確立させていきたかったんです。

ーーその延長線上で個人の仕事も生まれたらいいなと考えていたんですか?

いしかわさん:そうですね。当時はSNSで活躍している人たちがどんなルートで個人の仕事をゲットしているのか、すごく疑問で(笑)。その糸口を見つける意味でも入ることを決めました。

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photo by 書籍『ポンコツなわたしで、生きていく』(技術評論社)

会社員を辞めて不安に苛まれる日々

ーーフリーランスになりたての頃、不安はありましたか?

いしかわさん:うーん、むしろ、不安になるのが嫌だったので、まずは副業で会社員分のお給料を稼げるようになってから、独立しようと思いました。それはフリーランスの知り合いからも、最初のうちはできれば会社員としてお給料という形で収入を得つつ、並行して副業として個人の仕事をするのがベスト、とアドバイスされていたからです。

わたしもギリギリまでその状態で頑張るつもりだったんですけど、副業に圧迫されすぎて10円ハゲができてしまい…。そのタイミングで限界を感じて会社を辞め、独立しました。でも、こんなにも準備したにも関わらず、辞める前日は怖くて涙が出てきたんですよ。会社に所属していたら、基本的に会社が責任を取ってくれるじゃないですか。別に仕事が出来てなくても、先輩が肩代わりしてくれたり、最低限のことは会社が守ってくれたり。そういう安心感があったからこそ、その環境を離れて完全に自分の名前でやっていかなきゃいけない状態になるのが怖かった。

結局、独立して2か月間ぐらいはずっと不安でした。その時は忙しく動き続けることで不安をごまかしていて、もはや一人ブラック企業状態。同僚と呼べる存在もいないし、常に一人での作業なので、孤独を感じることも多かったですね。

ーーもしも、今のいしかわさんが会社を辞める頃の自分にアドバイスするとしたら、何を伝えますか?

いしかわさん:「その選択肢は間違っていないよ」と伝えたいです。人間ってきっと何を選んだとしても若干の後悔は残ると思うから。もしあのまま会社員を続けていたのなら、ライティングスキルが飛躍的に向上して大活躍していたかもしれないし、逆に辞めたからこそ、今の自分があるとも言える。

以前取材させていただいた方が「その選択肢が正解だったかは死ぬまでわからない」 と仰っていて、すごく自分に刺さったのを覚えています。胸を張って今の自分が正解とは言えないけど、選んだことを正解にしていく強い想いが大事だと考えています。今のわたしは周りの人から見て、会社を辞めてフリーランスになったからこそ、キラキラ輝いて見えるかもしれません。でも仮に明日破産したら、周りの人は呆れながら「それはフリーランスになったからだ」と言うかもしれない。つまり、その後に何が起きるかによって過去の選択肢が正解だったかが分かる。なので、正解にしていく努力を忘れないで、と伝えたいです。

会社員だった頃は自分がフリーランスになるイメージが浮かばなくて、正直フリーランスなんて夢物語のように捉えていたけど、気づけば独立してから4年も経っています。自分で決めて実際に行動すれば何とかなると思うし、失敗したとしてもその時は会社員に戻ればいい。人生はいくらでも修正が利くと信じています!

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photo by 書籍『ポンコツなわたしで、生きていく』(技術評論社)

プロフィール:いしかわゆき(ゆぴ)さん

早稲田大学文化構想学部 文芸・ジャーナリズム論系卒。Webメディア「新R25」編集部を経て2019年にライターとして独立。取材やコラムを中心に執筆するかたわら、声優やグラフィックレコーダーとしても活動中。ADHDとHSPを抱えながら、生きづらい世界をいい感じに泳ぐために発信している。著書『書く習慣~自分と人生が変わるいちばん大切な文章力~』は3万部超でベストセラーに。その他著書に『ポンコツなわたしで、生きていく。』『聞く習慣』など。「書く+a」のスキルを学ぶスクール「Marble」運営。
Twitter:@milkprincess17

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いしかわゆきさん執筆書籍

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photo by 書籍『ポンコツなわたしで、生きていく』(技術評論社)

『ポンコツなわたしで、生きていく。 〜ゆるふわ思考で、ほどよく働きほどよく暮らす〜』¥1,650(税込)

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竹田歩未

竹田歩未

ライター/中国語翻訳。大学在学中に場所や時間に縛られない働き方に興味を持つ。卒業後の2022年〜ライターとして活動しながら念願の台湾留学を実現。Instagram「フェムテクラブ|フェムテック・フェムケアグッズ」を運営。SNS:Ayumi Takeda @ayumin_tkd フェムテクラブ @femteclub



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