レディー・ガガも経験|テロ、事故、性的暴行…輝かしい成功の裏でPTSDと向き合うセレブたちの告白
近年、レディー・ガガやアリアナ・グランデ、ウーピー・ゴールドバーグなどのセレブたちによるオープンな告白により、全米でPTSD(心的外傷後ストレス障害)とCPTSD(複雑性PTSD)に対する理解が高まっている。
PTSD、CPTSDとは?
PTSD(心的外傷後ストレス障害)は軍人だけでなく、事故、災害、性的暴行、いじめ、パートナーによる暴力などのさまざまなトラウマからも引き起こされる。アメリカ精神医学会によれば、米国の成人の約3〜5%に影響を受けているという。一方、CPTSD(複雑性PTSD)は児童虐待や家庭内暴力などのトラウマ的な状況に長期間さらされることから発生する。CPTSDの症状には、不安、フラッシュバックや悪夢、感情の過敏、人間関係の問題、自己認識やアイデンティティに関する問題などが含まれる。
レディー・ガガ
レディー・ガガは、2020年のオプラ・ウィンフリーとのインタビューで、自身がPTSDを経験していたことについて語った。「19歳で強姦され、そのトラウマを処理していなかったためにPTSDを発症しました」と語った。「突然スターになり、世界中を旅し、(中略)その間もトラウマは処理されないままだったのです。そして突然、私は強姦された後に感じた病気に似た強烈な身体中の痛みを経験し始めました」。その後、レディー・ガガは治療を開始した。また、自身のSNSを通じてPTSDについての認識を高め、その障害に対する誤解を解消するために取り組んでいる。
「従来、多くの人々はPTSDを、世界中の勇敢な男性や女性が直面する状態として捉えてきました。これは事実ですが、私はPTSDが若者を含むさまざまな人々に影響を及ぼすことを伝えていきたいと思っています」と2016年にレディー・ガガと母親が設立した若者のメンタルヘルスを支援する営利団体である「The Born This Way Foundation」向けに寄せたメッセージで述べている。
アラニス・モリセット
シンガーソングライターのアラニス・モリセットは1995年発売のアルバム『Jagged Little Pill(ジャグド・リトル・ピル)』によって広く知られるようになったが、その時期の彼女の人生はすべてが順風満帆というわけではなかった。2012年に英新聞『ザ・ガーディアン』に次のように語っている。「名声は素晴らしいツールとなった。でも、私は今でも『Jagged Little Pill』時代のPTSDを抱えているの。深い侵害だった。私がプライベートな一線を引いてノーと言おうとしても、ファンは私のホテルの部屋に押し入ったり、スーツケースを漁ったり、私の髪を引っ張ったり、私の車に飛び乗ろうとしたりしてきた」。
長年にわたり、アラニス・モリセットは薬物依存や産後鬱についてもオープンに語っている。また、2020年のインタビューで「セラピーがなかったら、私はまだここにいないと思う」と告白している。
アリアナ・グランデ
2017年、自身のコンサートで22人の命を奪ったテロ事件の後、アリアナ・グランデはひどいトラウマを抱えた。アリアナは、恐ろしいあの事件について「泣かずに話せるかどうかわからない。あの家族や私のファン、そしてそこにいた誰もがとてつもない量の(PTSDを)経験したことを理解している」と当時、アリアナ・グランデは語った。
それから1年後、歌手はインスタグラムのストーリーズに自身の脳スキャンの写真を公開した。そのスキャンは彼女のPTSDの程度を示している。「冗談じゃないのよ」と彼女はキャプションをつけた。
ウーピー・ゴールドバーグ
ウーピー・ゴールドバーグは、陽気なコメディアン&女優としてよく知られているが彼女の飛行機にまつわるPTSDは深刻だ。70年代、彼女は飛行機同士の空中衝突を目撃し、それがトラウマとなり、何十年もの間、飛行機を恐れるようになった。それ以来、彼女はセラピーを受けている。2009年、ゴールドバーグはヴァージン・アトランティック航空と提携し、飛行機恐怖症を克服した。ヴァージン・アトランティック航空は、教育、実践的な体験、治療技術を駆使して、飛行機恐怖症やトラウマと向き合うための『Flying Without Fear(恐怖なき飛行)』というサポートプログラムを提供していた。
その体験は信じられないほど強烈なものだったと、彼女は米トーク番組『ザ・ビュー』で「汗をたくさんかきました。私は飛行機に乗るのが苦手なの。飛ぶのは好きじゃない」と振り返っている。
これらのセレブたちの勇気ある告白は、多くの人々にとっての励みとなっており、PTSDとCPTSDに苦しむ人々に対する理解とサポートを高める一助となっている。
出典:9 Celebrities Who Have Talked About Dealing With PTSD
AUTHOR
山口華恵
翻訳者・ライター。大学卒業後、製薬会社やPR代理店勤務を経て10年間海外(ベルギー・ドイツ・アメリカ)で暮らす。現在は翻訳(仏英日)、ライフスタイルや海外セレブリティに関する記事を執筆するなど、フリーランスとして活動。趣味はヨガとインテリア。
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