「育児とヨガが私の人生を変えてくれた」酒井孝子さんが見つけた生き方とは
――産後はどんな生活をしていたのでしょうか。
「育児に奮闘し、泣いて笑っての忙しい日々でした。里帰り出産から名古屋に戻った後は、赤ちゃんと一緒にエアロビクスやスイミングに通ってみたり、ベビーマッサージに行ってみたり。産後にできる体を動かすことは、ひと通りやったんじゃないかな。もともと身体を動かすことが大好きなんです。スポーツ観戦するよりも、実際に参加するタイプ。御神輿だって、見ているよりも担ぎたいですし(笑)。何か興味がわくと、自分で調べてまずはやってみますね。」
――ヨガはどんなタイミングで「教える側」になろうと思ったのでしょうか。
「娘は食物アレルギーがあったり、生まれつき皮膚が弱いのですが、その知識が私には全くありませんでした。何とかしてあげたいと思い、いろんなものを試したり、ネットなどの情報に翻弄されたり…手探りの日々でした。そんな中、娘が1歳を過ぎた頃、二人目を授かりました。でも実は早期流産をしてしまったんです。自分のせいだと自責の念にかられ、しばらく落ち込んで過ごしていました。でも泣いたり落ち込んでばかりではなく、この状況をなんとかしなければ!と考えました。そこで、これまで趣味で続けてきたヨガを一度真剣に学ぼうと思ったんです。あの頃の私は、集中することがほしかったのだと思います。インストラクターになるつもりはなかったのですが、半年かけて自分の身体と心に向き合い、一生懸命ヨガを学びました。
そして指導者養成講座を卒業する時に、ヨガは修行だと思ったんです。あ、でも待てよ、それを言うなら育児だって修行だ、とも思いました。だったら私はこの数年、毎日いつも修行しているんじゃないかと。そんなことを思いながら、続けて産後の身体と赤ちゃんの身体についても学び、産後ヨガとベビーヨガを、ママが安心してできるようにしたいと考えはじめました。
自分の人生の流れの中で、やりたいことや知りたいことを学び、産後ヨガインストラクターを専門としてなら、私にも講師ができるのではないか。そんな思いから、ヨガを指導させていただく側になった今に至っています。」
――酒井さんを師事する女性が多いのは、育児の辛い経験を理解してくれる、頼れる存在だからでしょうね。
「赤ちゃんとの時間って、やわらかくて幸せいっぱいに見えるけど、現実はそうじゃないこともたくさんあります。そういう悩みを抱えた女性は大勢いることを知りました。私がその全ての悩みに答えられるわけではありません。産後ヨガのレッスンでママの集まるコミュニティがあることで、お互いの話しを持ち寄り、皆で悩み、皆で笑い、少しでも安心できる場所を作りたいと思いました。私自身が、そんな場所があったらきっと嬉しかったから。
産後についてを学ぶと、次はその前の段階のマタニティヨガも学びたくなり、そうするとそのクラスを担当させて頂くようになり、次は不妊について学ぶようになり、またそのクラスを担当させて頂くようになり。そうすると今度は骨盤について学びたくなりました。女性の身体の変化って、妊娠出産はもちろん、思春期、成年期、更年期でどんどん変化していくもの。それを学ぶと、一般のクラスも担当させて頂くようになり…。インプットとアウトプットが続きましたね。」
――その時育児は少し落ち着いていたのですか?
「少しずつ楽しくなっていきましたね。もちろん娘もどんどん成長していくので、少し大きくなったら、今までスタジオでやっていたヨガから、開放感いっぱいのパークヨガに興味を持ちました。近所の公園で娘と遊んでいたときに、ここでヨガができたら気持ち良いだろうなと思い、もし既にやっているなら参加したい!という思いで問合せてみたんです。そうしたら、『実はやりたいと思っているのですが、講師を探しているんです』という返事が。やるしかないですよね。それがもう7年も前のことですが、その公園では、今も月に一度パークヨガを開催しています。そうやって、娘の成長とともに、一緒にできることを楽しんでやっています。」
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