エビデンスがないと不安?正しく知って健康に役立てよう!新見医師に学ぶ「エビデンス」の適切な考え方
たとえば、「○○が健康に良い」という話になると、「エビデンスは?」「誰が言ってるの?」「ソースは?」などという会話が交わされるようになりました。流行り言葉のように使われる「エビデンス」。主に根拠や効果を証明してほしいときに使われていますが、エビデンスにもレベルがあることをご存知でしょうか。 今回はオックスフォード式健康法を提唱している新見正則先生に、エビデンスの適切な考え方について教えていただきました。
耳にするダイエット方法のほとんどは「個人の経験」。エビデンスは何を示しているのか
エビデンスは主に5段階に分かれています。高いエビデンスがなければいけないものは、失うものが多いもので、たとえばすごく費用がかかることや、副作用があることなどがそうです。一方で、流行っては消えていく数多のダイエット方法などは、エビデンスレベルとしては下から2番目の低いものです。健康法やダイエット法にエビデンスを求めても、簡単なことならタダでできますし、そこまで失うものなどありませんよね。だから私はダイエットについてのアドバイスを求められたときには、効果は人それぞれなので、エビデンスのない方法でも自分が気に入って続けられそうならまず試しにやってみなさい、とお答えしています。
たとえば、以前「納豆ダイエット」が流行りましたよね。「納豆がダイエットに良い」とテレビで放映されると、瞬く間にスーパーから納豆が消えました。では納豆ダイエットのエビデンスは?と聞かれると、先ほど言いましたように、エビデンスレベルでは5段階あるうちの下から2番目「各個人の経験」レベルで低いものです。本当に納豆ダイエットの効果を検証するために1,000人をくじ引きで振り分けて(症例数の多いRCT)、半年間納豆を食べさせた群と食べさせなかった群にランダムに振り分けたうえで、ダイエット効果を研究したのであれば効果について言えますが、実際はそんな研究誰もやっていないわけです。
エビデンスというのは「差」があるということを示しているだけに過ぎません。効果は人それぞれ違うことをまず知っていただきたいと思います。「エビデンスは?」と聞くことによって「効果がある方法だ」という根拠が欲しいのかもしれませんが、その方法が効く人もいれば、効かない人もいる。その差がエビデンスです。
そのため、エビデンスがある・ないよりも大切なのは「そこにどれだけの差があったか」なのですが、エビデンスの存在にこだわるあまりそこは誰も論じようとしません。100人に1人しか効果がない、というエビデンスであれば、その差を見て「100分の1なら自分はその方法を選択しない」というのも手なのです。
エビデンスに惑わされずに、健康やダイエットのゴールを定めて、自分に合った方法を探していただきたいと思います。エビデンスレベルが低いことを「些細なこと」と私は呼んでいますが、大切なのは些細なことの積み重ねだと思っています。食事や運動、何事にも「適度の」という言葉が頭につきますが、エビデンスレベルが低い方法でも気に入ったことであればぜひ続けてみてください。
教えてくれたのは…新見正則先生
オックスフォード大学医学博士。外科医x免疫学者x漢方医としてレアな医師として活躍中。2013年イグノーベル医学賞受賞(脳と免疫)。院長を務める新見正則医院では、世界初の抗がんエビデンスを獲得した生薬フアイアを基本処方にして漢方薬を加えて、各種のがん疾患や難病・難症に対応。著書『フローチャートコロナ後遺症漢方薬』(新興医学出版社)はAmazonでベストセラーに。
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ヨガジャーナルオンライン編集部
ストレスフルな現代人に「ヨガ的な解決」を提案するライフスタイル&ニュースメディア。"心地よい"自己や他者、社会とつながることをヨガの本質と捉え、自分らしさを見つけるための心身メンテナンスなどウェルビーイングを実現するための情報を発信。
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