【世界の最新研究】瞑想のトレーニングを行うと、脳波で機械を操作できるようになる?!
カーネギーメロン大学の研究者たちは、瞑想のトレーニングによって、人々がブレイン・コンピュータ・インターフェース(BCI)テクノロジーの操作を効果的に行うことができるようになることを発見しました。
「瞑想トレーニング」が、個人のマインドから直接機械を操作する能力を向上させる?!
マインドフルネス、それをマインドコントロールに適用するなんて矛盾しているように聞こえるかもしれませんが、最新の研究によれば、瞑想を行うことで個人のマインドから直接コンピュータを操作する能力が向上することが示されました。
ブレイン・コンピュータ・インターフェース(以下BCI)は、ブレイン・マシーン・インターフェースとも呼ばれ、ドイツ人の神経科学者ハンス・ベルガーが脳波(EEG)と人間の脳のアルファ波活動を発見した1940年代初頭から存在している技術です。1970年代初頭、「BCI」という用語は、ベルギー人のコンピューター科学者ジャック・ヴィダルがUCLAでバイオサイバネティックスを研究している際に造られました。最初の人工内耳は、人工センサーを人間の聴覚系に入力し、聴覚障害者や難聴者に音の感覚を提供するBCIテクノロジーの一種として1972年に登場しました。また、1990年代半ばまでには、脳が義肢を制御できるようにする神経補綴装置が開発されました。
近年、インプラントではなく外部の「センシング」を使用した非侵襲型BCIの研究開発に力が注がれています。BCIは私たちの思考に反応しますが、それは必ずしも私たちのマインドを読むとは限りません。このBCIテクノロジーは、脳波で脳信号の変動を検出して分析し、それらの測定値を機械またはデバイスによって実行するコマンドまたはアクションに変換します。非侵襲型BCIテクノロジーはより安全だとして広く認められていますが、人間のマインドと機械とが同期するのには時間がかかり、精度が不足することが多々あります。
しかし、カーネギーメロン大学工学部の最新研究は、マインドフルネス瞑想が非侵襲型BCIを操作する個人の能力をいかにして高めるかについて示しています。国際学術誌「Cerebral Cortex」に発表されたその研究結果には、BCIテクノロジーをもっと有効活用するためには瞑想が役立つことが紹介されています。
「瞑想は、ウェルビーイングと健康改善のために広く実践されてきました。私たちの研究は、瞑想がマインドコントロールに対する人々の精神力を高め、非侵襲型BCIテクノロジーが幅広く使用される可能性を示しています」とカーネギーメロン大学の医用生体工学教授で医用生体工学部門の責任者でもある主任研究員のビン・ヒー博士は述べています。
マインドコントロールと瞑想の研究
研究者らによると、この種の研究で最大規模の可能性のある今回の研究は、効果的にBCIを操作するため、瞑想のテクノロジーが潜在的なトレーニングツールとなるという仮説を検証しました。ヨガや瞑想の経験がない76人の健常者は、マインドフルネスを基礎に置いたアテンションとトレーニング(MBAT)を受けるグループと瞑想しなかったコントロールグループとの2つのグループに無作為に分けられました。
MBATグループは8週間のMBSR(マインドフルネス ストレス低減法)コースと週末リトリートを実施しました。研究期間中、週1回のMSBRレッスンは、平均約3時間でした。MBATグループとコントロールグループの両被験者はBCIの10セッションに参加をしましたが、そのうちの一つは参加者の思考を使いながら、コンピュータ画面上でカーソルを動かすことを行いました。そしてBCIタスクを行う被験者のパフォーマンスは脳波を計測してモニターしました。
研究者らは、MBATグループは、BCIを操作する能力と、習熟するまでにかかった時間の両方において、コントロールグループと比較して大きな利点があることを発見しました。
脳波の測定値は、BCIタスクの休憩中、MBATグループは情報処理に関与する脳の一部であるアルファ帯域で高レベルな活動が見られました。結果として、MBATはBCIデバイスによってピックアップされる特定の神経信号を修正したことを示唆しています。言い換えれば、マインドフルネス瞑想は、安静状態にあるときに被験者が脳をある程度「制御」する能力を高め、BCIタスクのパフォーマンスの有効性を高めました。ちなみに休憩中に被験者が集中力を失うと、そのBCIテクノロジーの効果は減少しました。
「瞑想の経験によって、被験者は注意力が高まり、それによってアルファ波の活動も高まり、最終的にはBCIデバイスをよりよく操作できるようになるのです」と博士は言います。
2014年に博士が主導した別の研究では、経験豊富な瞑想者は非瞑想者に比べてBCIテクノロジーをうまくかじ取りできることがわかり、一般人を対象とした彼の最近の研究を後押ししました。「私は、一般市民(これまで瞑想やヨガの経験がない人)が短期間の瞑想トレーニングを受けることで、BCIのスキルをよりよく習得できるという仮説を検証することにしました」と博士は述べます。
博士の最新の結果は、非侵襲的BCIの将来への大きな期待、そして障害を持つ多くの人々の支援につながっていきます。博士は、大規模研究がアルファ帯域をより理解する上で役立っているものの、瞑想を行っている際の確かなアルファ波の揺らぎは科学的に謎なままだと述べています。「私たちの脳には1,000億近くのニューロンがあり、幾多のニューロンが関与する脳ネットワークの同期活動がアルファ波の揺らぎに寄与している可能性があリマス。将来的にはさらに多くのことが解明されるでしょう」と彼は示唆しています。
教えてくれたのは…アンドレア・ライスさん
アンドレア・ライスさんはフリーランスのジャーナリストでヨガジャーナルにもライターとして寄稿している。彼女の執筆記事はこれまで、ニューヨークタイムズ、Verywell、The Wanderlust Journal、mindbodygreen、SONIMA、NY Yoga+Lifeやその他の出版物にも掲載されてきた。また、彼女は2010年からヨガを指導し、彼女の初の著書「The Yoga Almanac(New Harbinger刊、2020年)」では、季節に応じたヨガプラクティスを紹介している。ノースカロライナ州ローリーに暮らし、ヨガ、瞑想、クリエイティブライティングのクラスやワークショップを提供している。Twitter と Instagram.で彼女と繋がろう。
ヨガジャーナルアメリカ版/「Did You Know You Can Control Machines with Your Mind(fulness)?」
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