「相手を好き過ぎた過去の自分が恥ずかしい」彼女が恋愛をこじらせた理由|かくれ繊細さんの恋愛

 「相手を好き過ぎた過去の自分が恥ずかしい」彼女が恋愛をこじらせた理由|かくれ繊細さんの恋愛
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「まっとうではない自分に気付かされる」Sさんの恋愛遍歴

Sさんは、結婚を考えたこともかつてはありましたが、現在は「結婚はしなくてもいいかな」と思っている30代キャリア女性です。見た感じ、バリバリなキャリアウーマンではないのですが、テーマの切り出し方やアイディアの豊富さで、疲れやすく打たれ弱い自分を補って、この厳しい社会を生き延びているように感じられる方です。

見た感じゆるゆるとしていそうに見えて、時々、誰も出せないようなアイディアを出してくる人いますよね?ああいう感じです。とはいえ、仕事は一通りそつなくこなせるし、人に合わせるのも呼吸をするようにできるので、便利で重宝がられるのですが、どことなくつかみどころのなさを感じさせることもある方。

かくれ繊細さんにはこういうキャリア女性多いです。

ものすごく多面的。時々、その一面を捉えて「君はこういう人だよね」と知ったかぶりをする人がいます。それをされると、表面的には合わせて「はい、そうです」といいつつ、心の中で「自分のことを何も知らないくせにわかったようなことを言う人だ」と相手の株を下げてしまいます。ご本人的には、自分の多面性を全部見せている人は職場にはいないと思っているのに、自信満々で「あなたのことはわかるよ」なんていわれると、最初はドキッとするかもしれません。自分の内面がバレたのではという恐れや、相手の堂々とした断定的な決めつけの間で翻弄されてしまったりもするのでは。

でも、安心していただきたいのは、かくれ繊細さんは一般にはつかみきれないくらい多面的で、隠し持っている面は決して表には出していないので、そういう断定的な決めつけを気にする必要はないんです。受け流しましょう。受け流せるようになる方法はあります。

恋愛すると「相手を好きになりすぎる」そんな自分に自己嫌悪

Sさんの最初の大きな恋愛は、20代前半でした。20代前半のかくれ繊細さんは、エレイン・N・アーロン氏の本『ひといちばい敏感なあなたが人を愛するとき―HSP気質と恋愛』にあるように「すぐに強く相手を好きになってしまう」状態。この状態のかくれ繊細さんの恋愛の問題点は、会わない時間に自分の心の中で相手への気持ちを育てすぎてしまうことです。

相手のちょっとしたしぐさや言葉から、「相手はこういうふうに自分を好きなんだなぁ」とか「あれは、こういう意味だったんじゃないか」とか詮索したり、深堀したり、想像をたくましくして広げ続けてしまいます。時には、大事な会議中や、研修セミナー中であったとしてもその妄想が出てきて脳内を占領します。そういうときの脳内は「うっとり」です。

筆者自身も経験があるのですが、この自分の妄想癖が、「相手を好きになりすぎてしまう」という弊害を起こすことが、だんだんとわかってきました。

ちなみに、当時は自分のこの脳内で起こっている現象を、「妄想癖」だとは思っていませんでした。妄想って、もっと意図的に行われるものだと思っていたからです。今でも「妄想」という言葉には違和感があります。なんだか邪なイメージがありませんか?勝手に脳内で再生したり、起こってもいないことを映像作品のように展開させていってしまう脳内映画館で上映されるもののことを言っています。あなたの脳内でも起こっていることかもしれません。脳内のこの現象は、「かくれ繊細さんのイメージ力、直観力によるもの」で、かくれ繊細さんはとても豊かにこの現象に出会っているはずです。

私の場合は「そうか、会わない時間がありすぎるから、自分ばっかり相手を好きになりすぎてしまうのか」と思い至りました。それで、その対策を考えたのです。「会えない時間を作らないようにすれば良い」というのがその対策でした。それで、間を空けずに会ってもらうよう、相手に要求しました。普通、「明日も会いたい」と言ったら、相手は「そんなに自分のことが好きなのか」と思うだろうと思うんですが、私の場合は違いました。「好きになりすぎたくないから」という理由だったんです。

今考えると笑えますが、ものすごく真剣に悩んでいました。自分が相手を好きになりすぎて、のぼせ上りすぎてしまって、相手の前にいるとカチコチで思ったように自然にふるまえなくなることにです。

Sさんの最初の恋愛は、過去の私と同じように、深く深くのめり込んだのだそうです。全部全部を相手に向けてしまう。「沼に落ちるように、ドボンと行き過ぎました」と、Sさんは表現しておられました。相手になにもかも渡してしまうんです。生活パターンも、好みも、食べるものも、性行為も、さりげなく察して、相手の好みに合わせていく。察して合わせるなんて、かくれ繊細さんの超得意技ですから、それこそ息を吸うようにできてしまう。特性を生かして相手の気持ちを察して相手のために接することで相手が喜んでくれて(人が喜ぶ顔もかくれ繊細さんの大いなる喜びです)、うれしくて幸せすぎます。その恋愛にのめり込まないはずがありません。

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時田ひさ子

時田ひさ子

HSS/HSP専門カウンセラー。繊細で凹みやすいが同時に好奇心旺盛で新しいものへの探求欲が旺盛なHSS型HSPへのカウンセリングをのべ5000時間実施。講座受講生からのメール、LINEのやりとりは月100時間以上。著書に『その生きづらさ、「かくれ繊細さん」かもしれません』(フォレスト出版、2020年)がある。



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