「考えすぎて深みにハマる」かくれ繊細さんが陥りがちな"ぐるぐる思考"を止める方法

 「考えすぎて深みにハマる」かくれ繊細さんが陥りがちな"ぐるぐる思考"を止める方法
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かくれ繊細さんが「なぜ人に頼めないか」「周りを頼れないか」ということについて、ひとつめではその理由を、ふたつめの記事では、かくれ繊細さんにぴったりの頼み方のポイントをお伝えしてきました。今回はかくれ繊細さんの「ぐるぐる思考を切り離す」という必須スキルをお伝えしたいと思います。

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考えすぎて、深みにハマる…「ぐるぐる思考」はいつ起こるか

ぐるぐる考えすぎてしまう状態は、主に2つの場面で起こります。

一つ目は、起っていない未来を想像するとき、二つ目は、誰かの反応を裏読みして自分の行動を振り返る時です。

ぐるぐる思考は、「今」じゃないところ、つまり「未来」と「過去」に意識が飛んでしまっている時に起こります。なので、それを「今」に戻すことでぐるぐる思考が止まります。

よく、「今、ここに戻す」という言い方をすると思いますが、これがかくれ繊細さんにも適応できるのです。ですが、問題なのは、かくれ繊細さんの場合は簡単に「今、ここ」にもどらないことです。それには、かくれ繊細さんの特性にあった方法がありますので、その点を解説していきたいと思います。

ぐるぐる思考は「まだおこっていない未来に思いを馳せた時」に起こる

ぐるぐる思考が起こるひとつ目は、未来を想像して不安になったときです。

かくれ繊細さんは、なにかを見たり、聞いたりすると、その外部情報に即座に反応します。入ってきた情報から、脳内の情報を連結させ、その連結からまたさらに新しく連結を作るというように、脳内で高速連想ゲームが始まるのです。

もちろん、一般の人たちの脳内でも連想ゲームはあるのですが、かくれ繊細さんの連想ゲームはスピードが速くせっかちで、かつ、数が多い。普通のスピードと量が、1聞いたら2になるのだとしたら、かくれ繊細さんの連想ゲームは、1聞いた瞬間に2、3、4、5、、、、10くらいの量と速さで先の先までつなげていってしまいます。

とても回転が速いともいえるし、その瞬間立ち止まってたくさんのことを考えるので、ひとより一瞬タイミングが遅れるとも言えます。かくれ繊細さんは、質問されると、たくさんの答えを思いついてしまうので、どの答えを伝えるかの判断に迷っておろおろしてしまうということがあると思います。これも、たくさんのことを脳内で展開させているためです。

このように、外部情報に即座に反応するものの、まだ起こっていないことをどんどんイメージしてないものをまるであるかのように脳内でリアルにビビッドに思い描きます。繊細でかつ敏感な情動反応を持っているため、思い描いたイメージに対して、ああでもないこうでもないと重い悩み、モヤモヤしてしまいます。

例えば、新しい企画プロジェクトが始まると発表されたとします。発表の瞬間、「わ!新しいこと!!」と未知の出来事にワクワクする気持ちが生まれるのではないでしょうか。これは新規刺激追求性(HSS)という生来の気質「知らない事に対する探求心、興味、好奇心が抑えられない特性」から来ます。

そして、そのプロジェクトの成り立ちに対して思いを馳せます。「新規のプロジェクトがなぜ成立したのか?」とか、「誰がそれに関わったのか?」とか、「今わが社が取り組んでいる他のプロジェクトが理由なんじゃないかな?」とか、「◎◎部長の鶴の一声があったんじゃないか?」とか。ありそうな因果関係をつなげてみるのですね。

それから、自分とそのプロジェクトとの関係性に、思考回路の流れが向かっていきます。「この前のプレゼンで自分が作ったあの部分が評価されて、このプロジェクトの誕生につながったんじゃないか?」とか「◎◎部長のこの前の意味深な声がけは、このプロジェクトに自分がかかわることになるよ、ってことをほのめかしたんじゃないか」とか、「ならば自分はこのプロジェクトのどのポジションにいけるのかなぁ」など。活躍する未来の自分を思い描いたりしてふわふわしたような気持ちになったり。かと思えば今度は、「だったら、今の部署の仕事はそろそろ飽きていたから、離れるにはちょうどいい」とか、「今の部署に新しく入ってきた◎◎さんがちょっと付き合いづらくて困っていたから、このタイミングは幸いだわ」などのように、現状の不満や不都合な点についても、考えが飛んで行ったりします。

「そのプロジェクトに参加したら、子供のお迎えにいけなくなるんじゃないかな」とか、「◎◎さんと一緒になったら気づまりだな」とか、逆に「□□さんと一緒になったら仕事ぶりを観察して仲良くなれたりするだろうなぁ、それはうれしいなぁ」とか、先々の人との関係も併せてどんどん脳内に噴出してきて、困りそうなことを先走って心配したりもします。

まだそのプロジェクトにあなたが選抜されたかどうかもわからないのに、新しいプロジェクトが立ち上がった理由や経緯、自分がそのプロジェクトに入ることになった後の想定などを、現在と未来の区切りなくごくごく自然に結びついていきます 。

上記の例は少し楽し気な予測事例でしたが、同じように不安を予測しつづけてしまうことも容易です。

仕事上の失敗できない課題、絶対に決めなければならない商談、数を集めなければならないイベント集客、大勢の前で話す機会、評価がつくプレゼン、圧の強さに抵抗できない職場。

気がかりな親戚づきあいや、逃れることができない気がする人間関係なども、同様に本当に起こったかのようにどんどん脳内で展開して、ぐるぐるとします。

「あーあ、そんなのなければいいのに」と思う事さえできないくらい気持ちがそこにもっていかれてしまいます。

最終的に良いもの出せたとしても、本人のツラさ、キツさは体やメンタルを蝕みます。

ぐるぐる思考は、後悔したときに起こる

もうひとつは「後悔したとき」です。

「ああ、やってしまった」と思ったとき、どん底に突き落とされたような気持ちになったり、「あのときああ言っておけばよかったのに」「あのとき、あんなことを言わなければ良かったのに」などと、してしまったことを後からクヨクヨ考えることがあると思います。

このとき、ぐるぐる思考が起こります。

会議の場面でした発言で誰かを怒らせたり、何気ない人とのやりとりでつい軽口をたたいてしまったら場がシーンとしてしまったとか、調子にのって話しすぎてしまって周囲がひいてしまったり。さまざまな場面で「あ、しまった」と心の中で冷や汗をかきますが、これらは今目の前で起こっていることではなく、時間がたってから思い出す場面です。このときも、ぐるぐる思考を止める方法でいったん止めてみていただけると、少し様子が変わってくると思います。

ぐるぐる思考をとめる方法

できれば、不安でぐるぐるになっている時間を減らしたいと思われることでしょう。そのために、ぐるぐるしている時間を短くするために、思考を止める練習をしてみましょう。

①まず、ぐるぐる思考に陥っている、ということをつかみます。

ぐるぐる思考に陥っている時、とても疲れます。

また、同じことを繰り返し繰り返し脳内で見ます。

脳内の劇場かスクリーンに同じ場面が繰り返し映し出されているのではないでしょうか。

それが繰り返しすぎて、気持ち悪くなるくらい。繰り返し、繰り返し上映されています。

繰り返されている場面は、どんな場面でしょうか?

場面を特定してみてください。

②    目を閉じます。左右の眼球を意識してください。

③    左右の眼球のそれぞれ中心点を決めてください。

④    中心点同士をつないでみてください。

⑤    つないだ線は直線ですか?曲線ですか?あるいは蛇行していたりしますか?どれでも構いません。

⑥    眼球を動かします。左、右、左、右、、とそのつないだ線を行ったり来たりさせるようにしてください。

⑦    胸から首の当たりになにかドーンと吹き溜まりのようなものが感じられますか?その位置を変えずに呼吸を静かに続けられるだけ続けてください。

⑧    気持ちが落ち着いたら目をあけてください。

ぐるぐる思考をとめる方法は生きやすさの扉のひとつにすぎない

ぐるぐる思考を止めて、落ち着いたかなと思ってもまた、同じ場面が想起されることがあります。これは、根本的にこの問題について解決できていないために起こる現象です。いったんぐるぐる思考を止める事にも一定の効果はあるのですが、そうしたぐるぐる思考がなぜ起こるのかを知っておくこと(HSPと非HSPの思考回路の違いを知る)、そして、それが起こったときの感情の対処法を習得すると根本的な解決につながります。

感情の対処法については、著書「その生きづらさ、『かくれ繊細さん』かもしれません」に記載しています。また、オンラインセミナーで詳しくお話していますのでそちらをご参考になさっていただけたら幸いです。

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時田ひさ子

時田ひさ子

HSS/HSP専門カウンセラー。繊細で凹みやすいが同時に好奇心旺盛で新しいものへの探求欲が旺盛なHSS型HSPへのカウンセリングをのべ5000時間実施。講座受講生からのメール、LINEのやりとりは月100時間以上。著書に『その生きづらさ、「かくれ繊細さん」かもしれません』(フォレスト出版、2020年)がある。



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