ルッキズムと「美しくありたいと思うこと」は何が違う?ルッキズムを脱却するために知っておきたいこと
ルッキズムと美の複雑な関係
他者の評価ではなく、セルフケアや自己表現のために「美しくありたい」「好きな服が似合う体型でいたい」と思うことはルッキズムとは異なります。「美」の定義を狭苦しい規範に押し込めず、それぞれの「美」を尊重することはルッキズムにはなりません。
ランジェリーブランドのヴィクトリアズ・シークレットのここ数年の変換は、ルッキズムの有害さを認識し、ステレオタイプな「美」から女性目線の多様な「美」の重要性に視点を変えたわかりやすい事例として見ることができます。
かつては厳しい審査で選ばれていた「エンジェル」と言われる"スリムでフェミニンな"専属モデルたちが、男性を魅了するランジェリーを纏い、女性が積極的にセクシーに装うことを明るく表現していました。
しかし、2017年の#MeTooムーブメント以降、ブランドの元CMOエド・ラゼックのパワー・ハラスメント、セクシュアル・ハラスメントや、元CEOウェクスナーと少女買春疑惑のあった富豪エプスタインとの交友発覚、モデルたちへのセクシュアル・ハラスメントに厳しい食事制限など多くの問題が明らかになりました。
「エンジェル」たちが演じていた姿は、その裏に数多くの抑圧があったことが判明し、ブランドのイメージは低下し危機に直面しました。
その後、ヴィクトリアズ・シークレットは時代に合わせた価値観のアップデートを重ね、2021年6月に「エンジェル」ではなく「VS Collective」として、サッカー選手でありアクティビストのミーガン・ラピノーやプロテニスプレイヤー大坂なおみなどの新しい顔を抜擢し、過去のブランドイメージを一新しました。
現在のヴィクトリアズ・シークレットの広告にはリアルサイズなモデルが当たり前のように登場しています。
AUTHOR
中間じゅん
イベントプロデュースや映像制作を経て、ITベンチャーに。新規事業のコンセプト策定から担当。テクノロジーとクリエイティブをかけ合わせた多様なプロジェクトの設計に参画。社会課題やジェンダーの執筆活動を行う。
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