今期最後の寒気が日本列島から遠ざかり、太陽のあたたかさを感じるようになりました。いよいよ春です。冬の間にため込んでいたエネルギーを発散したくなるのか、なんだか気分も高まって、外に出たくなりますよね。
中医学でも、この時期には以下をおすすめしています。
スムーズに老廃物を排泄するためには、まず腸内環境を整えるのが大切です。中医学ではこれを「脾(ひ)を元気にする、健脾(けんぴ)、脾(ひ)の気を補う」などといいます。脾を元気にする食材は、野菜・根菜類に多いです。
また、自律神経を整え、巡りをスムーズにするために「肝(かん)」の働きを高める必要があります。こちらは、香りのよい野菜や果物・酸味のある食べ物に多くあります。ただし、巡りすぎないよう、苦味もバランスをとるのがおすすめです。
もうすぐひな祭りですので、ちらし寿司にトッピングするおススメの薬膳食材をご紹介します。
●れんこん
脾(ひ)を元気にしてくれるので、食欲不振や下痢などに良いです。おなかの調子を整えて、消化促進にも。
<レシピ>
●しいたけ
脾(ひ)を元気にしてくれるので、消化促進に。滋養強壮にもよいです。せっかくなので、便秘改善によいクルミと、むくみ改善によいかんぴょうも一緒に調理しました。お好みの食材を使ってください。
<レシピ>
●菜の花
菜の花は「肝」の働きを助け、巡りを良くしてくれます。自律神経を整え、血流改善、デトックスや肌荒れに良いと言われています。ちらし寿司にの具材としても、彩りが良いのでおススメです。
<レシピ>
酢飯を平らに盛って、錦糸卵を散らします。その上にお好みの具材をトッピング。左から、菜の花、クコの実(アンチエイジング効果)、エビ(勢力増強・体を温める)、かんぴょう、クルミ、レンコン、シイタケを並べてみました。彩りもとってもきれいにできました。
また、酢飯や酢レンコンに使用した「お酢」は、血流改善で巡りUP、消化促進でデトックスなどの効果があるといわれています。ちらし寿司は、ご飯から具材まで春にぴったりのお料理ですね。
草花が芽を出し、動物たちも活発に動き始め生命の力を感じる春。中医学の基となる古来の医学書「素問・四気調神大論」によると、この時期を『発陳(はっちん)』といいます。
春の三か月間は、これを『発陳(はっちん)』という。天地すべてのものが生じ、万物はこの時期芽を出す。人は夜に臥して早く起き、広く庭を歩む。髪はほどき着物はゆるめて、志を生じさせる。生じてくるものを殺さないようにし、育てて押さえつけることのないようにし、なるべく助長して摘み取らないことである。これは春の気に応じて生を養う道である。これに逆らえば、肝を傷つけ、夏の冷えの病になりやすく、夏に生を長じることができなくなる。
素問・四気調神大論
つまり、「春は自然界での芽生えはもちろん、私たちの内面においても、冬の間に表に出さなかった思いや考えを外にあらわして、のびやかに行動することが大切」だと書かれています。
これに逆らうと、身体全体の巡りや自律神経をつかさどる『肝(かん)』の気が弱まり、夏に冷えの症状を起こしやすくなるといわれています。新しく芽吹く生命とともに、身体の中だけではなく、心ものびやかに過ごしましょう。