【医師監修】クレンジングを使わない“洗う・補う・守る”を見直す「美肌の新常識」2週間実践レポート
看護師、助産師を経て、形成外科医として10年以上の経験を持つ西嶌順子先生は、たくさんの患者さんの肌や傷と向き合ってきた経験から「本当の意味での美肌とは、飾らない自分らしい素肌を生かすこと、そのためには「無駄なケアをやめることから始まる」と考えるようになったそう。そんな西嶌先生に、究極のシンプルスキンケア、美肌の土台作りの大切さを教えていただきました。
そのスキンケア、やりすぎてない?“洗う・補う・守る”を見直そう
外側からのケアで一番意識したいのは、「シンプルスキンケア」。これまでのスキンケアからどんどん引き算して、不必要な化粧品は少しずつ減らしていき、最終的にはスキンケアが必要ない素肌美人を目指します。
スキンケアの「洗う」「補う」「守る」のステップの中で、とくに大切にしたいのが、皮膚に本来備わっている保湿機能やバリア機能を守ること。バリア機能が整っていれば、乾燥も気にならず外的刺激からも皮膚を守ってくれますし、どんな高級化粧品よりも優秀な働きをしてくれるはず。
シンプルスキンケアのポイントは…
<洗う>
化粧品には合成界面活性剤が含まれているものが多く、肌のために使っているつもりが、結果的に肌のバリア機能を壊してしまうことに。肌の天然保湿因子や必要な皮脂、美肌菌まで洗い流してしまわないよう、クレンジングは使用せず石けんのみで洗います。石けんは、余分な成分が配合されていない枠練り製法の純石けんがおすすめ。
<補う>
化粧水を塗っても肌の水分量は増えません。表皮角質層の水分は30%。角質層以下の表皮の水分量は65%。もともとの肌の状態やバリア機能(皮脂、細胞間脂質、天然保湿因子)が整っていれば、何も塗らなくても肌は乾燥しないもの。自身の皮脂は天然のクリームなので、自らの皮脂の回復を促すため、過度に保湿せず皮脂膜を補う程度にとどめます。
<守る>
肌の美肌菌を育むためには、ノーファンデが理想。難しい場合は、石けんで落とせるナチュラルなメイクアイテムを選びましょう。肌への負担を軽減するため、リキッドやクリームタイプより油分や界面活性剤が少ないパウダーファンデーションがおすすめ。また、美肌の大敵である紫外線はしっかりカットしたいけど、過度に数値の高いものは肌に負担がかかるので逆効果。日常生活ならSPF20〜30程度をこまめに塗り直すのがベターです。紫外線吸収剤を含まないノンケミカルを選びましょう。
シンプルスキンケア、2週間の実践したらどうなった?
筆者が実践したこと、実践してみて感じた変化をレポートします!
<洗う>
✔︎クレンジングは使わず、石けんを使用する。
✔︎洗顔は、夜の1回のみ。朝はぬるま湯ですすぐだけ。
<補う>
✔︎洗顔後は、少量のワセリンまたはセラミド配合の保湿剤のみ
<守る>
✔︎クレンジグが必要ないナチュラルなメイクアイテムにシフト
✔︎日焼け止めは、ノンケミカルで数値が低めなものを使用
✔︎クリームファンデーションではなく、パウダーファンデーションにシフト
1日目〜1週間
<洗う>肌の汚れをしっかり落とすことが大切と信じていたので、クレンジングをやめるというのはかなりの勇気がいりました。石けんだけでは汚れがきちんと落ちなくて、毛穴汚れが気になったり、肌のごわつきが気になったりするのではと不安だったのですが、いざやめてみると、そんな心配はまったくなく、肌の乾燥も気にならないことに驚きました。しっかりめのメイクの時は、眉や目元などのポイントメイクだけクレンジングウォーターなどで軽く拭き取ってから、洗顔するようにしました。
<補う>これまでは、ブースターオイル→化粧水→美容液→クリーム、とフルコースでした。時々シートマスクやパックなどのスペシャルケアもして、朝晩たっぷりと時間をとってケアしていました。少量のワセリンのみというのは、最初は不安でしたが、クレンジングを使わないおかげか、想像していたよりも乾燥が気になりませんでした。スキンケアの時間は好きだったので、時間をかけてすることは苦ではありませんでしたが、ワンステップでスキンケアが終わるのと本当に楽で。スキンケアをしないといけない!という気持ちがなくなり、時間にも気持ちにも、ゆとりが持てるようになった気がします。
<守る>メイクアイテムは、以前から石けんで落とせるものが中心だったのですが、乾燥対策やカバー力を考えてクリーム系のアイテムを選んでいたので、最初少し心もとない気もしましたが、マスク生活でもあるのでナチュラルメイクを試しやすかったです。
日焼け止めの数値も低いものにするのもやや不安ではありましたが、パウダー系のメイクにすると塗り直しがしやすいので、こまめに塗り直しができて結果的にいいのかも?と思うようになりました。
8日目〜2週間
<洗う>ある日、かなりしっかりめのメイクをしたのでクレンジングを使用したのですが、洗い上がりの肌がとても乾燥しました。優しめのミルクタイプを使ったのですが、石けんのみで洗った時との違いを実感しました。
石けんでの洗顔方法も、自分なりにいろいろと試してみました。まず予洗いするイメージで顔をしっかり濡らしてから、石けんをたっぷり泡立てて洗うときちんと落ちてくれる感覚があります。
以前も、朝はぬるま湯だけで洗っていたのですが、毛穴詰まりや肌のざらつきが気になったので、朝も洗顔フォームできちんと洗うようにしていいました。ですが、今は夜に洗いすぎないことで皮脂バランスも整い、余計なスキンケアをしないせいか、朝肌のべたつきもなく、ぬるま湯で洗う程度でもスッキリとしていて、改めて洗いすぎは良くないと実感できました。
<補う>これまで化粧水が好きで、何回も重ね付けするなど欠かせないアイテムでしたが、使わないようになって、これは個人差があると思いますが、顔がむくみづらくなったなと思いました。年齢的にも、ワセリンだけで大丈夫?と不安でしたが、あれこれと使っていた時と、正直肌の状態は変わりません。むしろくすみや乾燥は圧倒的に軽減しているように感じます。
また朝どんなにしっかり保湿をしても、日中に内側の乾燥を感じていたのですが、今は日中に乾燥を感じなくなりました。肌の自ら潤う力がアップしているのかなと嬉しく感じています。
<守る>ナチュラルメイクの顔にも慣れてきて、ポイントメイクのアイテムも石けんで落とせるものを選ぶようになりました。最近はナチュラルなメイクアイテムが増えていて、カラーバリエーションも豊富なので楽しんでいます。日焼け止めも、雨の日や自宅で過ごすときは、日焼け止め効果のあるパウダーファンデーションや日焼け止めパウダーのみにするなど、できるだけクリームタイプを控えるようになりました。
いかがでしたでしょうか? これまでのスキンケアとメイクを別のものと考えていた方も多いと思いますが、美肌を育む上で、「洗う・補う・守る」はリンクしていると実感しました。これまでのスキンケア、やりすぎていたかも?と感じる方は、ぜひ試してみてくださいね。
教えてくれたのは…西嶌 順子医師
形成外科専門医、助産師、保健師、看護師。「医療法人道心会 恵比寿形成外科・美容クリニック」院長。聖路加国際大学看護学部看護学科卒。 新生児特定集中治療室(NICU)、産婦人科などで新生児医療に従事したのち、北里大学医学部医学科に学士編入学。 形成外科医として、がん研有明病院、筑波大学附属病院、新東京病院に勤務したのち現職。 多くの女性が抱える特有の悩みについて、専門医の立場、そして自身の経験に基づく等身大の視点で情報を発信している。プライベートでは2児の母。『「無駄なケアをやめる」から始める 美肌スキンケアの新常識大全』(宝島社)好評発売中。
AUTHOR
高野瞳
編集・ライター。出版社や編集プロダクションを経て、独立。学生時代にオーガニックコスメに出合い、アロマテラピーや漢方、サスティナブルなライフスタイルなどにも関心を持つようになる。現在は、ライフスタイルや美容など幅広い分野の雑誌やwebメディアで執筆中。アロマテラピー検定1級、ルボア認定フィトアドバイザー取得。趣味は、旅行と散歩。
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