健康の秘訣は季節に合った調理法にある?【せきねめぐみの、肩の力を抜くごはん】

 健康の秘訣は季節に合った調理法にある?【せきねめぐみの、肩の力を抜くごはん】
Megumi Sekine
関根愛 
関根愛
2021-01-28

SNSで見かける、彩り豊かな食事の写真。見るからに栄養がありそうで、こんな食生活を送ってみたいと思う人は多いでしょう。でも「そんなに頑張れない…」という人も少なくないはずです。時間もない、料理が得意じゃない、不器用なあなたに伝えたい「頑張らないごはん」。意識すべきポイントは、とってもシンプルです。今日からできる「簡単な食養生」、教えてくれるのはマクロビオティックマイスターの関根愛さんです。

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そろそろ立春(2021年は2月3日)の足音を感じる時候です。まだこんなにも寒さを感じていますが、暦の上では春の訪れが少しづつやってくる時期。立春から春分にかけての二十四節気には「雨水」「啓蟄」「清明」「穀雨」と、今にも淡い春の匂いが漂ってきそうな美しい名前が続いてわくわくするものです。

さて、今日のテーマは「季節に合った調理法」。とてもシンプルでいて健康管理と実は深く結びついている調理法の妙を知っておけば、季節に合わせて無理なく健やかな体づくりに役立てていただけると思います。

調理法にも「陰陽」がある

東洋哲学の陰陽の世界では、調理法にも陰陽があると考えます。陰性(体を冷やす=冷エネルギー)の調理法、陽性(体を温める=熱エネルギー)の調理法、そしてその中間でどちらにも片寄らない中庸の調理法です。調理法では陰性から陽性へ向かって順に、生で食べる→ゆがく→茹でる→蒸す(中庸)→煮る→炒める→揚げる、となります。

どうでしょう。「生でいただく」「さっとゆがく」などの比較的軽めな熱性の調理から、じんわり優しく火を通す「蒸す」を経て、高温の油でジュワジュワじっくり熱を通す「揚げる」まで、なんとなくエネルギーの変化のイメージが湧くでしょうか。

このイメージを持っておき、暑い夏ならば体をクールダウンさせるために陰性の調理法である生でいただいたり、さっと湯がくだけをベースにしてみたり。寒い冬ならば、体を温める陽性の調理法が適しているので、じっくりことこと煮てみたり、たまにはじゅわっと揚げたりして、しっかり熱エネルギーを取り入れる。こんなふうに手軽に応用が効きます。

体の中の熱エネルギーが不足してしまうと、冷え性気味になります。「冷えは万病の元」と昔から言われるのは至極まっとうなことだと思います。体が冷えていると気持ちも落ち込みがちになりますし、胆力・行動力も減ってしまうのではないでしょうか。もちろん適度な運動や睡眠も欠かせない要素ですが、調理法を少し意識して変えるだけで冷えにくい体づくりに役立てられるのだとすれば、試さない手はないですよね。

逆に体に余剰な熱エネルギーが溜まっている状態でも、その熱をうまく処理しきれないために心身共に不調をきたすことが出てきます。たとえばいつもイライラ、カリカリしている人は体内で発散できていない熱がこもっている状態なので、たくさんの油を使う「揚げる」「炒める」の調理をできるだけ避け、「湯がく」や「茹でる」などの水分が多めで軽めの調理に切り替えることで、体内の熱をうまく外へ逃がす工夫ができます。体質によっても調理法は変えられるのです。

このようにして季節や体調・体質に沿って調理法を工夫し、体内の熱エネルギーをコントロールしていくことで、身も心も軽やかに過ごすことができるようになっていきます。

「蒸す」という調理法は中庸なので、体を冷まし過ぎたり、また熱し過ぎたりということが避けられます。どの調理法にしようか迷ったら、手始めに蒸してみることをおすすめします。蒸すという調理法は、熱を加えても食材の持つ栄養素を最大限残してくれる一番の調理法です。ぜひ気軽にチャレンジしてみてくださいね。

ライター/関根愛
「アートが社会とどう関われるか」と「じぶんらしく生きるための食養生」が活動のテーマ。座右の銘は「山動く」。俳優歴10年、アトピーなどさまざまな不調をきっかけに自然食を始めて3年。マクロビオティックマイスター。

※表示価格は記事執筆時点の価格です。現在の価格については各サイトでご確認ください。

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