心地よく生きるために、食生活のマイルールを定める|せきねめぐみの、肩の力を抜くごはん
SNSで見かける、彩り豊かな食事の写真。見るからに栄養がありそうで、こんな食生活を送ってみたいと思う人は多いでしょう。でも「そんなに頑張れない…」という人も少なくないはずです。時間もない、料理が得意じゃない、不器用なあなたに伝えたい「頑張らないごはん」。意識すべきポイントは、とってもシンプルです。今日からできる「簡単な食養生」、教えてくれるのはマクロビオティックマイスターの関根愛さんです。
新年あけましておめでとうございます。2021年、皆さんはどんな日々を送っていきたいですか?悔いなく挑戦したい人も、穏やかに過ごしたい人も、基本は心と体を養う日々の養生が一番です。健康でなくては何もできません。
「健」は体、「康」は心のすこやかさのこと。新しい年の始まりにぜひ、自分らしく健康でいるための決まりごとを定めてみるのはいかがですか?
お手本にしたい暮らしの手引き、京都に伝わる『歳中覚』
京都の商家・杉本家には、江戸時代に記された『歳中覚(さいちゅうおぼえ)』というものが伝わるそうです。そこには「いつ何を食べるか?いつどういった家事をすべきか?」などを含む、「日々どう生きるか?」という大きなテーマにおける細かな決まり事が記されているんだとか。特に質素な菜食の一汁一菜が基本であったという食生活においては、決まった日に決まった献立を食べることが細かく定めされていたのだそう。
一体なぜ、そこまでするのか?それは『食べるものが決まっていたら余計なエネルギーをさかずに済む、余分な贅沢をしなくて済む』という忙しくも慎ましい商家ならではの理由。更に私が感動したのがこの言葉でした。『暮らし向きがよいときも、あかんときも、変わらぬ献立がいただけるように』。
私もこの『歳中覚』にならって、何があってもぶれずにすっきり暮らしていけるよう、基盤となる養生リストを作ってみました。もちろん人それぞれ体も環境も違いますが、ちょっとしたご参考になれば嬉しいです。
良い意味でパターン化する食事
朝はまず温かい番茶を煮出し、少しずつお腹に入れます。時間が経って脳みそがクリアになりぎゅるっとお腹が鳴ってきたら、初めて食べものを口にする。これが気持ちいいのです。
私の場合はおむすびと具沢山のお味噌汁。おむすびにする理由は、意識していないと摂りにくい海藻を摂りたいから。海藻はミネラルたっぷりなので摂らないのはもったいない。それに炊き立ての粒だったお米にパリパリの海苔が合わさってしんなりするところがたまらなく美味しいんです。朝はこれで充分。
お昼にはごはんと味噌汁におかずを一品、ないし二品つけます。お腹の具合によって内容と量を変えます。多めに食べたいときは厚揚げや魚介を使うこともあるし、少なめでいい時は野菜のおかずだけ。
活動的なお昼は気持ち多めに食べても大丈夫だけど、体が休むモードに入っていく夜は控え目に腹七分くらいがいい。お米は少量にしておくと、次の日の体と心の軽さが全然違います。
飲み物は三年番茶を愛用し、芯からポカポカにしてくれるたんぽぽの根っこ茶(珈琲の代わりにもなります)やポリフェノールたっぷりの黒豆茶などでバリエーションもつけます。お肌の調子を良くしたいときはヨモギ茶やどくだみ茶。
間食には砂糖の入っていないものを選びます。砂糖を摂るとどうしても体がだるくなってしまうので、今の時期なら無添加の干し芋が美味しい。自然な甘みの干し柿や焼き栗もいいですし、亜鉛やアルファリノレン酸を含むナッツ類をポリポリします。こんな感じでしょうか。
ある程度メニューを決めておくと、心に余白ができます。あれこれ献立に思いを巡らせなくて良い分、精を出したい仕事や家事、趣味などにまっすぐに向かえるのが清々しい。良い意味での食事のパターン化は、小さくても目的を持って心地よく暮らす上で大事なターニングポイントになりそうです。
皆さんもぜひご一緒に、ご自身の食事を簡潔にして身も心も軽くしてみませんか。ポイントはお腹が空いたら食べる、お腹いっぱいまで食べない。がんばることと無理をすることは違う。つねに余白を残しておくことです。
参考文献:『温故知新的生活 Vol.12』/ 講談社
ライター/関根愛
「アートが社会とどう関われるか」と「じぶんらしく生きるための食養生」が活動のテーマ。座右の銘は「山動く」。俳優歴10年、アトピーなどさまざまな不調をきっかけに自然食を始めて3年。マクロビオティックマイスター。
※表示価格は記事執筆時点の価格です。現在の価格については各サイトでご確認ください。
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