髪は女の命?わたしが20代後半で金髪ショートにした理由|チョーヒカル連載#とびきり自分論
25になった夏にようやく気づいた。私は私がわからないことに。着る服も化粧も髪型も、全て誰か他の人の価値観で決めていたことに。「モテそうだから」「目立たないから」「それっぽいから」。そんな理由で自分の形をずっと決めていた。ひとそれぞれ正解があるはずなのに、架空の「みんなの正解」を目指していたのだ。そしていつのまにか、自分の望むものや好きなものの形もあやふやになってしまっていた。
私はどんな私になりたい?
初めて自分にちゃんと聞いた。
そしてその答え合わせをしに、美容院に走り込み、襟足を刈り上げたのだった。
今私は金髪である。長年やってみたかったけれど誰かに相談するたびに「やめといたほうがいいんじゃない」「ガラ悪いよ」「20代後半でやることじゃない」とかなんとか言われて諦めていた。でも26歳の年末に「私はいつまで誰かの意見を元に自分の人生を決めていくんだろう?」と思い、バキバキにブリーチしてやった。結果めちゃめちゃ似合った。他の人の意見は知らない、私はめちゃめちゃ似合っていると思う。
モテることはいいことだ。自尊心を高めてくれる。オプションも増える。好きな人に好かれるチャンスもあがる。髪が長いことも、小花柄のワンピースを着ることも、全部全部いいことだ。そこに自分があるなら。それが自分のしたいことなら。
誰かのために生きる必要はない。誰かに求められている形じゃなく、本当の自分の形を探って生きていきたい。きっとそれは時間がかかるから、無駄にしている暇はない。
ライター/趙燁(チョー ヒカル)
1993年東京都生まれ。2016年に武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科を卒業。体や物にリアルなペイントをする作品で注目され、衣服やCDジャケットのデザイン、イラストレーション、立体、映像作品なども手がける。アムネスティ・インターナショナルや企業などとのコラボレーション多数。国内外で個展も開催。著書に『SUPER FLASH GIRLS 超閃光ガールズ』『ストレンジ・ファニー・ラブ』『絶滅生物図誌』『じゃない!』がある。twitterやinstagramでも発信。
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