「黒人の母親と乳児の死を減らしたい」23歳マリアム・アブドゥルの願い|ヨガ界を担う次世代講師

 「黒人の母親と乳児の死を減らしたい」23歳マリアム・アブドゥルの願い|ヨガ界を担う次世代講師

ヨガジャーナルアメリカ版の人気記事を厳選紹介!1990年代中盤以降に生まれた「ジェネレーションZ」の期待のヨギたちを紹介しよう。彼らはヨガと瞑想から学んだ平和と愛と思いやりを通じて世界を変えつつある。

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四六時中スマホを手放さず、個人主義的な「最近の子供たち」に、眉をひそめる人は多いだろう。だが彼らはジェンダー・アイデンティティから権力構造に至るまで、あらゆるものに対して伝統にとらわれない最も多様な考えを持つ世代であり、想像以上に真面目だ。特に今回紹介する新進ヨガティーチャーたちを知れば、それが真実だとわかるだろう。

マリアム・アブドゥル(23歳・カリフォルニア州ロサンゼルス在住)

From Confusuion tu Clarity
混乱から見いだした目的

マリアム・アブドゥルは、ドゥーラ(産前産後をサポートする専門家)とヨガティーチャーとして、コミュニティを襲う死と闘っている。

理想とするヨギ

インスタグラムの@Yogi_Goddess ことフィリシア・ボナーノ。彼女は黒人のヨガコミュニティを代表する、堂々たるヨギです。
これまで成し遂げたいちばん大きなこと:プライベートヨガとドゥーラのビジネスを立ち上げたこと。

教えていて良かったと思う瞬間は?

生徒や友人たちがヨガのおかげで気持ちが晴れて、よりオープンに穏やかになれた、と言ってくれる時。

2030 年には何をしている?

サウス・ロサンゼルスのワッツ地区にヨガとウェルネスのスタジオと助産院をオープンして、ヨガリトリートを主宰していると思います。あとジュースバーも。地域の人たちに気軽に利用してほしい。

ヨガとは?

自分の体と心と向き合う旅。

ヨガではないことは?

美しさだけにとらわれて、浜辺でハンドスタンドをしながら開脚すること。

ヨギたちに望むこと

私たちはヨガによって自分が望むように創造的になれます。そして自分自身のより多くの部分を探求できるようになります。その探求の過程では自分に優しくしてください。自分に厳しくする必要はないのです。

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マリアム・アブドゥル

性的虐待からの再生と「ヨガ指導者」としての使命

ほんの数年前のマリアム・アブドゥルは、孤独感とうつと不安を抱えた大学2年生だった。「生きる目的を失っていたんです。喪失感と混乱しかなく、自分の居場所がない感じでした」と彼女は言う。その彼女がヨガ練習に没頭するようになったのは、性的虐待を受けた自分の体と再びつながるためだった。「自分自身を見失っていました。まるで影のようでした。自分のためになるものはすべて手放したので、頼るものもありませんでした」。手放したものの中にはイスラム教信仰もあった。だがそのおかげでヨガに出会えたと彼女は言う。

彼女を根底から揺るがした暴行から4年、今アブドゥルは確固たる明確な目的と使命に生きている。彼女は生鮮食品などの入手が困難で、ヨガや運動の機会もほとんどないようなサービス不足の地域、特に自分が育ったサウス・ロサンゼルスの近隣を支援しているのだ。

昨年23歳を迎えたアブドゥルは、ヨガティーチャーとドゥーラになるためのトレーニングをほぼ同時に受け始めた。ドゥーラは助産師と同様に、妊娠中や分娩時、さらには流産をした母親の精神的、肉体的、感情的なケアを行う。また、黒人女性が差別を受けることなく医療制度を受けられるようにサポートもしている。情熱豊かで好奇心旺盛なアブドゥルは、以前から20世紀初頭の医療産業について勉強をしていた。当時は黒人助産師を規制し、病的と表象して排除する動きがあった。それにより黒人女性の出産時の合併症が増える結果となった。この情報に後押しされて、アブドゥルは地元のドゥーラトレーニングプログラムを受けることにした。

「人種間での母体と乳児の死亡率には大きな格差があります」と彼女は言う。「さらに、ストレスも黒人の母親の死を引き起こしています。私はヨガと瞑想を通じて自分のクライアントたちが平和で穏やかでいられるように努めながら、死亡率を低下させたいと思っています。みんなには長生きして、幸せであってほしい。だから私はこの仕事をしているのです」

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マリアム・アブドゥル

 

※表示価格は記事執筆時点の価格です。現在の価格については各サイトでご確認ください。

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by Meghan Rabbitt
photos&styling by Ashley Turner
photos by Lisa Vortman
hair&make-up by Rachelle Blanco & Sonia Reshetnikova
translation by Sachiko Matsunami



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