「辛いけど人前では明るくしなきゃ…」気持ちと行動が一致しない【反動形成】との付き合い方
「気持ちは〇〇なのに、△△な行動を取ってしまう」など、気持ちと行動が一致しないことってありませんか?そんな時、私たちの中に起きている心の動きとは?臨床心理士が解説します。
気持ちと正反対の行動を取る【反動形成】とは?
「気持ちは落ちているけど、明るく振る舞わなきゃ」「本当は好きじゃないけど、仲良くしてしまう」など、気持ちと正反対の行動をとってしまう事ってありませんか?こう言った現象を心理学では【反動形成】と呼びます。反動形成とは、精神分析家のフロイトが提唱した防衛機制と言う概念のひとつで、受け入れがたい感情や衝動など自分の本心を隠すために、本心とは正反対な態度を取ることです。例えば、私たちの中に『落ち込んだ姿を周囲に見せるのは良くない。いつも明るくいるべき。』と言ったような、落ち込むことに対して否定の気持ちが強すぎると、それを態度にすることに対して不安や恐怖などのネガティブな気持ちが湧き上がってきます。そう言ったネガティブな気持ちを和らげるための行動が、本心とは正反対の行動になるのです。
反動形成、いいもの?悪いもの?
反動形成がどんなものか知ると「それって悪いこと?」と疑問を感じる方もいるかもしれませんね。しかし、そうとも言い切れません。私たちは、仕事・プライベートなど様々な人間関係の中に生きています。そう言った場面の中で、本心と行動がいつも一致していますか?おそらく多くの方が「No」と答えるでしょう。人間関係をスムーズにするために、無意識に反動形成を行うことが結果として、自分の立場や心を守ることにつながっています。そう考えると、反動形成も一概に悪いとは言えませんね。しかし、気をつけなければいけないのは、常に気持ちと行動が反対で、そのことでストレスや心にかかる負荷が高まってしまうこと。その状態が長く続くと、精神疾患を引き起こす可能性や、そうまでは行かなくても、常に生きづらさを抱えながら日々を過ごすことになってしまうかもしれません。
反動形成とうまく付き合っていくには?
いい面も悪い面もある反動形成と上手に付き合っていくためのポイントは、【自分の気持ちに気づくこと】。これは、自分の本当の気持ちはもちろん、それを否定している気持ちや思い込みに気づくのも大切なことです。例えば、『なぜ本当は好きじゃないのに仲良くしてしまうのか』と考えていくと「好きじゃない」という本当の気持ちと、「この人と仲良くしないと一人ぼっちになるのが怖い」「冷たい人だと思われるんじゃないか」といった隠された想いが出てくると思います。肯定的な気持ち・否定的な気持ちの両方に気づき、「私の中に、こういう気持ちがあったのね」と受け止めていくことが、反動形成とうまく付き合っていくことの第一歩になるのです。また、自分の気持ちに気付くためにできることとしては、
・紙に書いて整理すること
・声に出してみること
・【今ここにある】の自分の気持ちを観察すること(ヨガ・マインドフルネス)
・専門機関などで話してみる
などがあります。ぜひ自分に合う方法を試してみてくださいね。
ライター/南 舞
臨床心理士。岩手県出身。多感な思春期時代に臨床心理学の存在を知り、カウンセラーになることを決意。大学と大学院にて臨床心理学を専攻し、卒業後「臨床心理士」を取得。学生時代に趣味で始めたヨガだったが、周りと比べず自分と向き合っていくヨガの姿勢に、カウンセリングと近いものを感じ、ヨガ講師になることを決意。現在は臨床心理士としてカウンセリングをする傍ら、ヨガ講師としても活動している。
Instagram: @maiminami831
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