臨床心理士が教える、相談相手の選び方3つのポイント|辛いときこそ人と繋がるために
私たちは悩んでいるときこそ誰にも相談せず、一人で殻にこもりやすいものです。「こんなこと相談しても仕方がない」「相談して否定されたらどうしよう」「相談したら迷惑じゃないかな」さまざまなことを考えてしまい、相談することを躊躇してしまいます。しかし一人でいればいるほど孤独感は増し、どんどんと悲観的な考えが強くなり、辛い気持ちも大きくなります。そうすると、さらに周囲の人に相談しづらくなり、どんどんと視野が狭くなり、辛い気持ちが大きくなり…と悪循環に入ってしまいます。今回は誰かに相談し、人との繋がりを意識的に増やすために、どのような相談相手を選べばいいかご紹介します。
いざ、誰かに相談しようと考えたところで、相談相手に誰を選ぶかは大きな問題です。例えば、一見いい人そうに見えても、一見問題を解決してくれそうに見えても、「自分にとって」良い相談相手とは限りません。勇気を出して相談したのに心が傷つけられてしまったら…問題が解決するどころか、辛い気持ちが大きくなってしまいます。そうすると、もう誰にも相談したくなくなってしまうかもしれません。
相談相手を選ぶ3つのポイント
あなたを否定しないこと
まずは、あなたの感情を否定しないことです。例えば、「〇〇が辛い」と相談した時に、「辛いわけないよ!」「我慢が足りないよ」とあなたの気持ちを否定せずに、ありのまま受け止めてくれることです。そして、あなたの考えを尊重してくれることです。「あなたの見方が違うんじゃない」「考えすぎだよ」等と、あなたの考えを頭ごなしに否定せず、「〇〇という風に考えているんだね」と一旦受け止め、あなたの考えを大切にしてくれる人です。
結論を押し付けない
次は、話をちゃんと聞き、先回りして結論を言わない人です。あなたの話を最後まで聞かずに、遮ったり、かぶせて話すような方は避けましょう。そして、あなたより、相手の方がたくさん話をしていたら「あれ?」と疑問に思いましょう。自分の体験談や一般論を永遠と語り出したり、その人なりの解決策や結論を一方的に押し付けてくる場合は注意が必要です。もちろん、アドバイスをくれたり、有効な選択肢を提示してくれることは、問題を解決する上でのヒントとなる場合があります。しかし、それをあなたに強制するような人はやめましょう。必ずあなたの意思を訪ねたり、決定権はあなたに委ねてくれる方を選びましょう。
嘘を言わない
最後は、分からないことは分からないと素直にいい、嘘を言わない人です。例えば、「その気持ちわかる!わかる!」とうわべだけの共感をしたり、本当は知らないのに知ったふりをしたり、「今日の話は秘密にするね」と言って他人にバラすことがなく、しっかりと約束を守ってくれる信頼できる人を選びましょう。
おわりに
苦しいときこそ、人と繋がることは大切です。今まで誰にも相談せず、ひとりで頑張ってきた方はなかなか相談することに慣れないと思います。しかし、今まで相談してこなかったからこそ、「相談する」という選択肢を試してみることは有効です。なるべく様々な人とつながり、相談できる環境を構築することは、自分にとって大切な資源となります。「いざとなれば〇〇さんに相談しよう」と考えるだけでも、ストレスを軽減する効果があります。もちろん、全てを相手に伝える必要も、みんなに平等に伝える必要もありません。ポイントは自分が信頼できる相手を選び、今の自分が伝えられそうなことから伝えることです。例えば、具体的な悩みの内容を言えないのなら、「最近、悩んでいることがあるんだ」と曖昧に伝えたり、「なんか眠れなくて」と体のことだけ伝えてもいいでしょう。それで相手の反応を見て、伝える情報を増やしていってもいいのです。相手からもっと深く具体的なことを聞かれたら、「今度、お話しするよ」と流したっていいのです。自分の心の準備ができた時に、その時に伝えられそうなものを伝えましょう。今回ご紹介した方法を参考に、いざという時の相談相手を探してみてください。
ライター/石上友梨
臨床心理士/公認心理師 大学・大学院と心理学を学び、警視庁に入庁。職員のメンタルヘルス管理や、心理カウンセリング、スポーツ選手へのメンタルトレーニングなどを経験。ヨガや瞑想を本場で学ぶためインド・ネパールへ。全米ヨガアライアンス200取得。現在は認知行動療法をベースとした心理カウンセリング、セミナー講師、ライター、ヨガインストラクターなど、活動の幅を広げている。また、発達障害を支援する活動にも力を入れている。https://cbt-yoga.com
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