太っていたらおしゃれを楽しめない?プラスサイズという選択肢|吉野なおの#ボディポジティブな生き方

 太っていたらおしゃれを楽しめない?プラスサイズという選択肢|吉野なおの#ボディポジティブな生き方
Nao Yoshino
吉野なお
吉野なお
2020-05-16
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さらに、テレビや雑誌などで自分よりも明らかに痩せている女性がダイエットに励み「笑顔でミニスカートを履けるようになりました!」というようなダイエット企画を見ては、『ファッションを楽しむことは、痩せている人たちだけに許された特権』のようなものにも感じていました。

その頃から、一部の大手通販サイトではLサイズのモデルが起用され始めていたものの、ほとんどの通販サイトでは、レギュラーサイズのマネキンに大きいサイズのアイテムを着せていたり、レギュラーサイズのモデルさんが着ているMサイズのアイテムを、脳内で大きいサイズとして想像して買わなくてはいけないことが常識でした(通販で失敗した経験は山の如し)。

仕方なくジーンズショップで買ったメンズのアイテムを着たり、自分でスカートを作ってみたり、サイズの小さい服を苦しくなりながら無理やり着たり、いっそのことマタニティサイズの洋服を買おうか・・と考えるほど、色々と試行錯誤していました。

でも、そうして『着れるサイズの服』をちぐはぐに集めたところで、オシャレのセンスがさっぱり身につかない自分に、何度もがっかりしていました。

そんな状況も相まって、太った体に生きづらさを感じていた私は、連載第一回でもお話したように、17歳ごろから過度なダイエットを始め、さらに自分の心身についての悩みを深めこじらせていきました。

一方そのころ、『欧米にはプラスサイズモデルという職業がある』という情報をテレビで目にしましたが、当時は憧れるという感覚も無いほど遠い国の文化の話として捉え、「へ~、すごいな~」とボンヤリ見ていました。

(それから約10年後、自分が日本でプラスサイズモデルをになるとは夢にも思わず・・・)

日本でぽっちゃりモデルの存在がどう捉えられたか

ラ・ファーファの第1号目が発売された2013年3月。

編集部のスタッフさんも私も、発売直前まで、発売後に世の中からどんなリアクションがあるのか全く未知の状態でした(ラ・ファーファは、もともとは漫画雑誌の編集をやっていた方たちが立ち上げたので、ファッション誌を作ること自体も手探りだったそうです)。

私自身、発売したらきっと「おしゃれしたいなら痩せろ!」「デブが調子に乗るな!」と揶揄されたり否定されることがほとんどだと思っていたし、ただ写真に撮られるというだけでなく、モデルという立場で私が着たお洋服がもし売れなくて、ブランドさんに迷惑がかかったらどうしようなどと心配して撮影前日にストレスを感じて吐いてしまうほどでした。

そんな大きな不安がありつつも挑戦しようと思ったのは、ずっとぽっちゃりした体つきや摂食障害に悩み、乗り越えた今だからこそ、そういった機会に出会えたことは運命だと感じた自分もいて、たとえ勘違いでも「大きいサイズに対するネガティブな価値観や疎外感について声を上げるチャンスかもしれない」と使命感のようなものを抱いていたからでした。

たとえ揶揄されることがあっても、どこかで体型に悩んでいる人のため、そして苦悩した過去の自分のためにもやろう、と自分で軸を持っていくことにしました。

実際に発売されてみると、『日本初のぽっちゃりファッション誌が誕生!』『ぽっちゃりモデルが話題』など、雑誌「ラ・ファーファ」の存在はテレビや新聞などにも大きく取り上げられました。

それは、編集部のスタッフさんにも私にとっても驚きで、揶揄する意見も確かにあったけれど、それ以上に「こんな雑誌待ってました!」「モデルさんがみんな楽しそうで、なんだか勇気が湧いてきました」という声や、「太った自分を卑下していたけど自殺を思い止まりました」という切実なものまで、想像をはるかに超えた肯定的な反応をいただきました。

※表示価格は記事執筆時点の価格です。現在の価格については各サイトでご確認ください。

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