楽しみにしていたはずなのに…約束の直前になると「行きたくない」となるのはなぜ?|臨床心理士が解説
仲のいい友人とのランチ会、久しぶりの家族旅行…めったにない楽しみなイベント。その日が来るのを指折り数えて楽しみにしていたはずなのに、いざ当日が近づくと「なんだか、行きたくなくなってきた」「どうしてこんな予定入れちゃったんだろう」など気が重くなったことはありませんか?「楽しみな気持ちに嘘はなかったはずなのに」と、自分の気持ちが分からなくなってしまうこともあるでしょう。しかし、このような心の動きは、それほど珍しいことではありません。「楽しみ」と「行きたくない」は、実は同時に存在することがあるのです。
「行きたくない」と感じるのはなぜ?
「行きたくない」=「やるべきことへの負担感」かも?
まず知っておきたいのは、直前に「行きたくない」と感じること自体は、ごく自然だということ。
例えば、「久しぶりに友達と会う」というイベントに対し、「楽しみ」という気持ちが浮かぶと同時に、
「どんな服を着ていこうかな」
「待ち合わせ場所までの経路を調べなきゃ」
「みんなで盛り上がれる話題を考えておかないと」
など、予定にはさまざまな「やるべきこと」がくっついています。
約束したときには、「久しぶりに友達と会える」という楽しみなイベントだけに心が向いていても、次第に「やるべきこと」の負担感にも注意が向き始めます。
その結果、「やるべきことが多くてしんどい」という状態になり、「なんだか行きたくないなぁ」という気持ちに捉われることがあります。
人との交流はエネルギーを消費する
もう一つ考えられるのが、「人と交流するためのエネルギー不足」です。人と一緒にいるとき、私たちは何気なく色々なことをしています。
・相手の話を聞きながら適度に相槌を打つ
・相手の伝えたいことを理解する
・この場にふさわしい話題を考える
・相手にわかりやすい表現で自分の話をする
・相手の言葉だけでなく表情もチェックして気持ちを読み取る
あまり親しくない人との間ではより多くのエネルギーが消費されます。一方、親しい人との間ではエネルギー消費量が少なくて済みます。しかし、まったくエネルギーを使わない訳ではありません。
仕事や学校などで親しくない人と関わる時間が長く、エネルギーの多くを消費してしまった際には、回復のために「一人で静かに過ごしたい」と感じることがあります。そのタイミングで前々から予定していた友達との約束が入っていると、つい「行きたくないなぁ」と思ってしまうのです。
「予定がある」こと自体がしんどい場合も
「何をするか」よりも「予定が決まっている」こと自体が負担になる人もいます。
「今日は10時までに出なきゃいけないから、9時半までに掃除を済ませないと」
「いつもなら空いている時間なのに、今日は夕方まで予定があるんだった」
などという思考がふと浮かび、まるで予定に束縛されているように感じてしまいます。
約束をしたときは「楽しそう」が勝っていたのに、当日になって「行きたくない」「自由に過ごしたい」が勝つことも、不思議なことではないのです。
「行きたくない」と感じたらどうする?
「行きたくない」の原因を分析してみよう
では、約束の直前に「今日は行きたくない」と感じたときは、どうすればよいのでしょうか。
「約束したなら行くべき」「嫌ならキャンセルすべき」など、すぐ結論を出そうとする方もいるかもしれませんが、その前に「何が『行きたくない』の原因なのか」を探ってみましょう。
【『行きたくない』の原因例】
・その人に会いたくない
・外に出るのが面倒
・人と交流するエネルギーがない
・日々の仕事や学校で疲れている
・楽しめるかどうかが不安
・一人でゆっくりしたい
「行きたくない」という一つの気持ちの中にも、いろいろな原因があります。
原因を見つけられれば、その原因にアプローチして、「行きたくない」気持ちを軽減することが可能です。
例えば、「友達には会いたいけれど、今日は疲れている」が原因なら、
・短時間だけ会う
・遊ぶ場所を近場に変更する
・別の日にする
といった「会いたい」と「疲れて行きたくない」の妥協点を見つけて、うまく調整できるかもしれません。
「行きたくない」は心と身体の休息サインかも?
ここまでお話ししてきた通り、「行きたくない」という気持ちがふと浮かぶことは何ら問題ありません。
しかし
・最近、どんな予定も楽しめない
・以前は楽しかった集まりも興味が持てない
・友人の話が頭に入ってこない
・人と会った後、以前よりもどっと疲れる
・人と会うことだけでなく、日常生活全体がしんどい
といった状態が続いている場合は、心身の疲れが溜まっている可能性もあります。
「行きたくない」という気持ちは、自分をケアする必要があることを知らせるサインでもあるのです。
サインに気づいたら、まずはゆっくり休んでみて、それでも回復しないようなら、心療内科や精神科といった医療機関に相談してみましょう。
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