【大便についてうんち博士が解説】大便が伝える「体内の状況」の読み解き方と、快便に導く生活習慣

【大便についてうんち博士が解説】大便が伝える「体内の状況」の読み解き方と、快便に導く生活習慣
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北林あい
北林あい
2026-10-10

「大便」は汚いものと思っていませんか?実は体からのメッセージを伝える「お便り」であり、今の健康状態を知る重要な手がかりになります。知っているようで知らない大便の基礎知識や健康管理に役立つメッセージの読み解き方を、腸内フローラ研究の第一人者、うんち博士こと辨野義己先生にうかがいました。

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大便と親しくなるために知っておきたい基礎知識

大便は、食べ物や水分を口から摂ると、食道、胃、そして十二指腸、小腸、大腸を経て肛門から排出されます。食事をしてから排出するまで16~18時間かかります。

イギリス人医師のデニス・バーキット博士が、食事をしてから排便までの時間をウガンダの黒人女性グループとイギリスの白人女性グループで比較したところ、ウガンダの黒人女性グループは平均12~18時間、イギリスの白人女性グループは3~4日かかりました。

この差の一因は食事にあり、ウガンダの黒人女性は精製していない穀類やサツマイモをよく食べるのに対し、イギリスの白人女性グループは精製されたパンや肉類が中心でした。野菜が少なく食物繊維が足りないと大便をつくる力が極端に弱くなり、便通には食習慣の違いが大きく関係しているといえます。

便意が起こるしくみは、直腸に便が溜まることで直腸壁が刺激され、その刺激が脳に伝わると、うんちがしたいという感覚になります。直腸は最も水分を吸収する場所なので、ここで便が滞留するとどんどん硬くなって便秘になります。1日1回、朝にお通じがある状態が健康の源。便意を感じたら我慢しないですぐに出す、という意識づけが大切です。

また大便は食べかすと思っている人は多いですが、正しくは水分が80%、残りの20%は残渣物です。残渣物の1/3は消化されなかった食物繊維などの食べかす、2/3がはがれた腸の粘膜と腸内細菌で構成されています。食べかすはほんのわずかにすぎないのです。

出したら観察、大便からのメッセージを見逃さないで

トイレのことを「便所」と言いますが、便所は体からの「お便り」を受け取る場所。排便をしたらそのつど大便の状態を観察すると、健康状態の変化や見直すべき生活習慣が見えてきます。その際に参考にしたいのが大便の形状と硬さを7段階にわけた「ブリストルスケール」です。

7段階のなかで、タイプ1〜2は水分量や食物繊維が少ないため硬く便秘ぎみ。タイプ3〜5は健康な範囲の大便、タイプ6〜7はストレスなどの影響を受けて腸粘膜の機能が低下し、水分を吸収できず下痢ぎみな状態。最も健康なのは、表面がなめらかで適度に軟らかいバナナ状のタイプ4です。今日の大便はどのタイプ?排便のたびに観察する習慣をつけましょう。

うんち
イラスト/看護roo!

また理想的な大便は次の通りです。便通の状態、色、形、量、においをチェック!

理想的な大便とは

1.便座に座ったらスルスルと排便できる
いきまずスムーズに排便するには食生活はもちろん、排便力を支えるインナーマッスルの筋力が重要。背骨と大腿骨をつなぐ腸腰筋、骨盤と大腿骨をつなぐ腸骨筋など、排便に必要な体幹を鍛える運動を取り入れて。

2.色は黄色か黄褐色で水に浮く
黄色と黄褐色の大便は乳酸菌や野菜をしっかり摂っている証拠。黒っぽい大便が出るのは肉類の食べすぎのサインなので、食事バランスを見直し野菜やヨーグルトをプラスして。

3.1日の排便量は男性250~300g、女性200~250g
バナナ状の大便が2、3本出るのが理想的。排便前後に体重計にのり体重の変化をチェックし、排便量の目安にしましょう。

4.きついにおいがしない
においも健康のバロメーターになり、腸内環境が整い発酵がきちんと行われていれば大便はあまり臭くありません。大便が腸に滞留し発酵が進むと発生する腐敗臭や、腸内の悪玉菌が動物性たんぱく質を分解する際に生成する有害物質が増加することで、においがきつくなります。赤ちゃんの大便から酸臭がするのは、腸内細菌の8割近くを占めるのが、酢酸と乳酸を産生する善玉菌のビフィズス菌だからです。

バナナ状の大便を出すために今日から始めたい「腸活習慣」

バナナ状の健康な大便をスルスルたっぷり出すには、食生活・水分摂取・運動が鍵になります。

生活習慣
イラスト/Adobe Stock

次に挙げる「腸活習慣」を実践し理想的な大便をめざしましょう。

また快便に不可欠な食物繊維は、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維を2対3の割合で摂るのが理想です。水溶性食物繊維には大便をスムーズに出す働きが、不溶性食物繊維には大便の量を増やす働きがあります。

  • 水溶性食物繊維を多く含む食品

バナナ、リンゴ、キウイ、アボカド、ワカメ、ひじき、なめこ、しいたけ、サツマイモ、モロヘイヤ、オクラ、納豆など。

  • 不溶性食物繊維を多く含む食品

いんげん豆、大豆、玄米、こんにゃく、サツマイモ、アーモンド、とうもろこし、ブロッコリーなど。

基本的に臓器を外からコントロールすることは不可能ですが、唯一コントロールできる臓器が大腸です。食事、運動、睡眠などに気をつけて腸内環境を整え快便生活をめざしましょう。 

快便のための腸活習慣

  1. 3食ごとに食物繊維を含む野菜、キノコ類、豆類、海藻と発酵食品を摂る。
  2. 便意を感じたらすぐにトイレへ。
  3. 1日1.5リットルを目安に、こまめに水分を摂る。
  4. 1日30~60分のウオーキングと、排便力をつけるためにはインナーマッスルを鍛えるヨガなども有効。
  5. リラックスに勝るものはなし。趣味の時間を大切に。
  6. 7時間睡眠が理想。睡眠環境を整えて。

お話を伺ったのは・・・辨野義己(べんのよしみ)先生

一般財団法人 辨野腸内フローラ研究所理事長。国立研究開発法人 理化学研究所名誉研究員。酪農学園大学獣医学部卒業、東京農工大学大学院獣医学専攻科を経て理化学研究所に入所。同研究所バイオリソースセンター微生物材料開発室長、同研究所辨野特別研究室特別招聘研究員などを経て現在に至り、長年にわたり腸内細菌の分類と生態に関する研究に取り組む。『大便革命 腐敗から発酵へ』(幻冬舎新書)、『最高の睡眠は腸活で手に入る』(扶桑社)などの著書や、講演活動も多数。

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