〈さいたま市→軽井沢〉移住まで、あと1年。周囲から心配されたけど、それでもやると決めた理由 #暮らしの選択肢
近年、テレワークの普及やライフスタイルの多様化により、都市と地方の二拠点で生活する人々が増加傾向にあるということをご存知でしょうか。国土交通省の調査によれば、二地域居住等を実践する人は約6.7%に達し、約701万人と推計されているんだとか。また、複数拠点生活を行っている人は全体の5.1%に上るとの報告も。自らの価値観に基づき「暮らしを選ぶ」二拠点生活者たちから、その魅力や課題、リアルな日常を深掘り。理想と現実の狭間で見えてくる「暮らしの選択肢」の今を伝えます。
今回お話を伺ったのは、2021年より、さいたまと軽井沢で二拠点生活をしている、Taeさん。2021年よりはじめたさいたま市⇔軽井沢の二拠点生活も残すところあと1年。移住した年には、長男は受験生となる。周囲からは心配の声が上がっているというが、Taeさん一家は、「きっと大丈夫」と移住に対して前向きに考えているよう。Taeさんの #暮らしの選択肢に迫ります。
〈移住者プロフィール〉Tae Ooyama
ヨガインストラクター / 3人の男の子 (14yo, 11yo, 9yo) の母親。
2021年より、さいたま市と軽井沢で二拠点生活をスタート。
2027年4月には、軽井沢に完全移住予定。
Instagram: @tae.ooyama
完全移住は、子供たちの意思を尊重して決断
2027年4月、次男の中学校入学に合わせて、軽井沢に完全移住を控えているTaeさん一家。
家族5人ともに、二拠点生活には大満足。このままの生活が続くのだろうと思っていた頃、次男の一言で、移住計画が本格的に始動した。Taeさん一家の次男は、食べることが大好きな11歳。将来の夢は、シェフになること。そんな彼が、「軽井沢で、畑をやって豚を飼いたい」と言い出したのだ。その次男の声にかぶさるようにして、将来の夢は建築家の長男が「軽井沢で、小屋を建てたい」と言い出した。軽井沢は雪が降る関係上、建物を建てられる期間というのが決まっている。中学校の部活動も始まり、以前より軽井沢へ行ける回数も減ってしまったため、月に数回通って建てるとなると現実的ではない。それなら、軽井沢へ移住してしまって、休日も平日も思いっきり自分のやりたいことのために時間を使った方が良いのではないだろうか。
これまでに、何度か子供たちも軽井沢に住んでもいいね、という話は出ていた。しかし、その度に、「そうね〜」という言葉でその会話は先には進まなかった。と言うのも、やはり多くの面において、さいたまの方が便利。そして、何よりも友達とも離れがたい。特に三男は、友達と離れるのが寂しいと考えているようだ。一方で、彼の将来の夢はアートディレクターになること。絵を描くことが大好きな彼の芸術性を育むために、周囲からの勉強のプレッシャーが大きいさいたまで過ごすよりも、開放的な環境の方が良いのではないかと。
「完全移住に関しては、子供たちの思いを尊重するのが一番だと思ったんです。親が手伝って、子供の世界を作るという年からはもう外れているので、彼らの中には移住に対しての覚悟がないと難しいのではないかとも思いました。だから、そこは、少し時間をかけて何度も確認しました。もちろん、彼らの中に表現しきれていない言葉にならない想いというのは、あるとは思います。夫と私からは、いい時もそうじゃない時もあると思う。悲しい時は悲しい、不安だったら不安な気持ちもそのままでいいんだよということを伝えています。」
完全移住先は、暮らすことをより意識して、山の上の家とは別の場所に土地を購入し、新居を建設予定だ。最寄り駅へのアクセスの良さで、多忙な夫が家を空けたとしてもTaeさん一人で家の中をまわすことができる。そして、さいたまから友達が遊びに来てくれた時には、山の家に泊まってもらう予定。これまで通り、頻繁に顔を合わせるということは難しくなってくるが、「会いたかったら、新幹線で行き来すればいいし」と笑顔で語る子供たちの姿はたくましい。これも、二拠点生活や小さい頃から旅を続け、移動慣れしているからこその恩恵なのかもしれない。
移住に対して前向きに動き出しているTaeさん一家だが、移住について周囲に報告をすると様々な反応を受けた。中でも、よく言われるのが「受験はどうするの?」ということ。Taeさんの予想をはるかに超えて、来年、高校受験を控える長男のことを気にかけた周囲の反応に、戸惑うこともあったと言う。なぜなら、軽井沢はさいたまに比べて塾の選択肢も少ない一方で、今はオンラインでもできる時代だから。
「もちろん、私たちもやってみないとわからないですし、困ったり、大変だということが起きることもあると思います。それがある前提で、移住すると決めました」
移住準備で忙しいからこそ、余白を意識したい
さいたまと軽井沢を行き来する二拠点生活も残すところ、あとわずか1年。これから、さいたまの自宅を売りに出す、引っ越し準備、そして新居の打ち合わせなど、普段にはないタスクに追われることは目に見えている。そんな目まぐるしい日々だからこそ、意識したいのは「毎日のことを大切にして過ごしたい」ということ。余裕がなくなった自分でいないようにっていうのだけは心がけたい。移動が増える年だからこそ、平常心を保っていきたい。
「子供たちにしてみれば、友達との思い出をたくさん作りたいと思うんですよね。特に、次男は6年生で、小学校最後の年。最後の運動会とか最後の修学旅行とか、いろいろな行事の最後に、「最後の」という形容詞がつきます。そんな彼の背中を見ているからこそ、私も余計に、移住するという感覚も濃く感じられるような一年になるのかなと考えています。そういう特別な年を味わいながら過ごせるぐらいの余白は持っていたいですね」
Taeさんが、「余白を持つ」ということを意識するようになったのは、移住を控えた今にはじまったことではない。コロナ禍中にはじめたヨガのおかげだったという。日々、浮き沈みのある中でも、ポーズ、呼吸法の練習、またジャーナリングの実践を意識的に行うことによって、常に中庸を保つように心がけるようになった。
「例えば、子供たちを朝学校に送り出したあとって、忙しない空気感をそのまま纏っている状態になっているんですよね。けれど、そこで一呼吸置くように、「今日はどんな一日にしようか」ということを選び直す時間をヨガやジャーナリングでとるようにしています。送り出したままのテンションで1日がスタートすると、そのままこなすように過ごしてしまうので」
外的なことをコントロールすることは、難しい。だけど、自分をコントロールすることは、ちょっとの意識と工夫次第で可能になる。忙しいとどうしても、自分のことになおざりにしてしまいがちだ。「あれも、これもやらなきゃ」と日々のタスクに追われ、自分のために時間を作るなんてことが贅沢なことに感じられるかもしれない。けれど、自分と向き合う時間を作るからこそ、平常心が保たれ、余白を持つ余裕ができるのだと、Taeさんは考えている。
移住に対しても今は、不安よりも楽しみの方が勝っているという。
「5年通っているので、軽井沢に知り合いも増えてきました。だから、全く知らない中に入っていくっていう感覚はあまりないのと、出産してから3回引っ越しもしてきたので、引っ越しにも慣れています。別れは寂しいですが、会いに来れない距離ではないですし、新しい土地にはまた新しい出会いが待ってくれていると信じているので」
移住後は、山の家も活用しながら、ヨガのリトリートを計画中。また、書くことも好きなので、移住の記録や執筆活動もしてみたいとのこと。軽井沢をより深く知りながら、あたたかいつながりの輪を広げていきたいと、期待に胸を膨らませている。
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