「歯ぐきの出血」が続く人ほど要注意な“血管の老化”とは|医師が解説

「歯ぐきの出血」が続く人ほど要注意な“血管の老化”とは|医師が解説
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甲斐沼 孟
甲斐沼 孟
2025-12-26

「歯みがきすると、いつも血が出るんですよね」――外来や健診の場で、こんな声をよく聞きます。多くの人は「歯みがきが強すぎたかな」「歯周病かな」と軽く考えがち。でも、実はこの“歯ぐきの出血”、血管の老化=動脈硬化のサインとして注目されているのをご存じでしょうか?医師が解説します。

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歯みがきのたびに血が出る…それ、口の中だけの問題じゃないかも

歯ぐきは、体の中でも特に毛細血管が密集している場所です。つまり、血管の状態がダイレクトに表れやすいです。

血管がしなやかで健康なら、多少の刺激では簡単に出血しません。ところが、血管がもろくなってくると、軽い歯みがき程度でも出血しやすくなります。

「年齢のせい」「体質だから」と片づけてしまう人も多いのですが、実は全身の血管が同じように老化し始めている可能性がある。そう考えると、ちょっと見方が変わってきますよね。

なぜ歯ぐきの出血と動脈硬化がつながるのか?意外と深い関係

動脈硬化というと、「心筋梗塞」「脳梗塞」といった怖い病気を連想する人が多いと思います。でも、その始まりはとても静かです。

血管の内側(内皮)が傷つく
→ 炎症が起きる
→ 血管が硬く、もろくなる

この流れは、実は歯周病ともよく似ています。

歯周病菌が増えると、歯ぐきに慢性的な炎症が起き、出血しやすくなります。そして、その炎症物質や細菌が血流に乗って全身を巡ることで、血管の内皮にもダメージを与えることがわかってきました。

つまり、
⚫︎歯ぐきで起きている炎症
⚫︎血管で起きている炎症
この2つは、別物ではなく“同時進行”しているケースが少なくないのです。

実際、歯周病が重い人ほど、動脈硬化や心血管疾患のリスクが高いという研究報告もあります。

「口の中のトラブル」と「血管の老化」が、思っている以上につながっているのが現実です。

歯ぐきの出血がある人が、今日から意識したい生活習慣

「じゃあ、どうすればいいの?」という声が聞こえてきそうですね。ポイントは、“歯ぐき”と“血管”を同時にケアすることです。

まず大前提として、出血が続くなら歯科受診は必須。これは「様子見」で済ませない方がいいポイントです。そのうえで、日常生活ではこんなことを意識してみてください。

歯みがきは「力」より「丁寧さ」

ゴシゴシ磨きは逆効果。血管も歯ぐきも傷つきやすくなります。

歯みがき
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喫煙している人は要注意

タバコは血管を一気に老けさせます。歯ぐきの血流も悪化します。

甘いもの、脂っこい食事が多い

これも動脈硬化を進める大きな要因。歯周病菌も喜びます。

運動不足

血管は“使わないと硬くなる”臓器。軽いウォーキングでも十分効果があります。

健診で「血圧・血糖・コレステロール」をチェック

歯ぐきの出血がある人ほど、ここは一度しっかり確認しておきたいところです。

「歯ぐきの出血」は、体が出している小さな警告。早い段階で気づければ、生活を見直すチャンスにもなります。

まとめ:歯ぐきは“血管の健康状態を映す鏡”

歯みがきのたびに出る血。それは単なる口の中の問題ではなく、血管の老化が静かに始まっているサインかもしれません。

  • 歯ぐきの出血が続く
  • 最近、健診を受けていない
  • 生活習慣に心当たりがある

そんな人ほど、一度立ち止まって体全体を見直してみてください。

歯ぐきを大切にすることは、血管を守ること。そして血管を守ることは、将来の心臓や脳を守ることにつながります。

「たかが歯ぐき」と侮らず、体からの小さなサインに耳を傾けてあげましょう。

今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。

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