手がしびれる・力が入りにくい…40代女性に多い手根管症候群とは

手根管症候群ってどんな病気？

手根管症候群は手首の内側を通る正中神経（せいちゅうしんけい）が圧迫されて起きる神経障害で、典型的には親指～人差し指～中指のしびれ、夜間や朝方に強いことが多いです。

進行すると握力低下や指の巧緻運動（細かい動き）が落ちて、ビンのフタが開けづらくなったり、箸使いが不安定になったりします。

原因は一つじゃなくて、手首の使いすぎ、むくみ、ホルモンバランス（妊娠・更年期）、糖尿病や関節リウマチなどの全身疾患が関係することもあります。

症状の「人それぞれ」ケース集

・Aさん（43歳・事務）
デスクワーク中心でキーボードやスマホを長時間操作。
夜間に手がチクチクして目が覚め、朝に握力が落ちる。湿布や自己流マッサージでごまかしていたが、だんだんペットボトルの蓋が開けにくくなり受診。簡単な神経検査で確定し、サポーター＋作業改善で症状が落ち着いた。

・Bさん（38歳・育休中）
妊娠・出産後に手のしびれが出現。
抱っこや授乳で手首に負担がかかりやすく、夜間のしびれが強かった。産後のむくみが関与しており、保守的治療で多くは改善するケースが多い。

・Cさん（50歳・経営者）
朝のこわばりに始まり、徐々に箸がこぼれやすくなった。糖尿病の既往があり、神経障害が重なっていたため、手術（手根管解放術）を選び、術後に日常動作が大幅に改善した。

症状は人によってタイミングや程度が違うので、「ちょっと変かも」で受診してOK。早めに対処すれば保存療法で済むことも多いです。

具体的な診断・治療の流れと、今日からできるセルフケア

診断はまず問診と診察。しびれの範囲、朝か夜か、手首の使い方、全身疾患の有無を聞きます。

医師はチネル兆候（手首を軽く叩いてしびれが出るか）やファーレンテスト（手首を曲げてしびれが出るか）でスクリーニングし、必要に応じて神経伝導検査で圧迫の程度を評価します。

治療は大きく分けて保存療法と手術療法

• 保存療法

まず手首サポーターで夜間の屈曲を防ぎ、炎症を抑えるために短期間のステロイド注射を行うこともあります。

原因がむくみや使いすぎなら作業の工夫（キーボードの高さ調整、こまめな休憩、抱っこの姿勢改善）でかなり改善します。

糖尿病や関節リウマチが背景にある場合は基礎疾患のコントロールも重要です。

• 手術療法

手根管を広げて正中神経の圧迫を解除する方法で、症状が強い場合や保存療法で改善しない場合に検討されます。

術後は握力が戻るまで数週間〜数ヶ月かかることがありますが、多くの人が日常動作の改善を実感します。

今日からできること

1. 夜は手首をまっすぐに保つサポーターを試す。
2. 長時間の作業は30〜60分ごとに短い休憩を入れる。手首をゆっくり回すストレッチを取り入れる。
3. スマホやキーボードの高さを調整して手首が極端に曲がらないようにする。
4. 妊娠中や更年期、糖尿病がある人は特に早めに相談を。

まとめ

手根管症候群は「ちょっとのしびれ」から始まることが多いけれど、放置すると握力低下や日常生活の不便につながります。

特にデスクワークや育児、ホルモンの変化や糖代謝異常がある女性はリスクが高め。まずは症状を記録して、夜のしびれや力の入りにくさが続くようなら早めに受診を。

簡単な作業改善やサポーターで楽になることも多いし、どうしてもダメなら手術で劇的に改善することもあります。

一人で悩まず、まずは「ちょっと気になる」を医師に相談してみてくださいね。

今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。