気づかないうちに危険?【肝臓を守る3つの食べ方】を管理栄養士が解説

肝臓の写真
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栄養花子
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2025-12-13

年末が近づき、イベントや飲み会が増えていく今、肝臓=お酒の影響を気にされる方も多いのではないでしょうか。しかし、肝臓はお酒を飲まなくても食事からの影響もじつは受けている臓器です。今回は、非アルコール性の脂肪肝についてと食事のポイントを管理栄養士が解説します。

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非アルコール性の脂肪肝とは?

肝臓に脂肪が溜まった状態を脂肪肝と言い、お酒の飲み過ぎによって起こるアルコール性の脂肪肝と、お酒をあまり飲まないのに肝臓に脂肪が溜まってしまう非アルコール性の脂肪肝があります。お酒をあまり飲まないでなる非アルコール性の脂肪肝も、脂肪肝炎や肝硬変に進行すると言われており、この肝臓の疾患のことを非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD) といいます。非アルコール性脂肪性肝疾患の多くは、肥満、糖尿病、脂質異常症、高血圧によって起こる可能性が高いと言われています。また肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれるように、症状が出にくく、気づいたときには進行しているケースも珍しくありません。そのため、日頃からの食生活の見直しが肝臓を守る大切なポイントになります。

肝臓正常から癌まで
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肝臓を守る3つの食べ方のポイント

食べ過ぎない

食べ過ぎて摂取エネルギー量が活動した消費エネルギー量よりも多いと、使われなかったエネルギー量が身体に脂肪として蓄積されるため、腹八分目を意識しましょう。また、夜は消費エネルギー量が少なくなる時間帯でもあるので、特に注意が必要です。

毎食、主食・主菜・副菜をそろえる

主食(炭水化物):ご飯、パン、麺など

主菜(たんぱく質):魚・肉・卵・大豆・大豆製品をメインとしたおかず

副菜(ビタミン、ミネラル):野菜・いも・海藻・きのこを中心としたおかず

これらをそろえることで自然とバランスのよい食事につながります。

また、肝臓の細胞はたんぱく質でできているため、主菜は脂身の多い肉よりも、脂身の少ない魚や、大豆・大豆製品を選ぶのもポイントです。副菜は低カロリーで食物繊維が多く含まれ、脂質の吸収を穏やかにしてくれるため、積極的にとりましょう。

主食・主菜・副菜
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脂質の質と甘い飲み物のとり過ぎに注意

脂質の中でも特に、ラードやバターなどの動物性油脂は飽和脂肪酸が、マーガリンやショートニングを使用したパンや洋菓子にはトランス脂肪酸が含まれています。これらは動脈硬化を招くとされています。逆に多価不飽和脂肪酸を多く含む青魚や、一価不飽和脂肪酸を含むオリーブ油などは動脈硬化を抑制してくれるとされています。

また、甘い飲み物に含まれる果糖は摂り過ぎると中性脂肪に変わり、脂肪肝の原因になります。

適切な飲酒量と運動も忘れずに!

飲酒量は、1日ビールなら500ml、日本酒なら1合、ワインはグラス2杯、ウイスキーはダブルで1杯を目安にし、週2~3日の休肝日もつくりましょう。

運動はウォーキングやジョギング、水泳などの有酸素運動を週3~4回、30分以上。また、軽い筋力トレーニングやヨガなどの運動を加えると筋肉量が増え、消費エネルギー量がさらに高まります。 

まとめ

「沈黙の臓器」だからこそ、日々の食事を見直し、今できることから肝臓を守る食べ方を始めてみましょう。また、肝臓の数値が高い場合は、医師にすぐ相談することも大切です。

 

【参考文献】

1:日本消化器病学会・日本肝臓学会, NAFLD/NASH診療ガイドライン 2020(改訂第2版)

2:患者さんとご家族のためのNAFLD/NASHガイド2023 一般財団法人 日本消化器病学会、一般社団法人 日本肝臓学会

3:厚生労働省、e-ヘルスネット、脂肪肝

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