お酒を飲まなくても肝臓に脂肪が蓄積する?肝臓に負担をかけるNG食習慣とは【管理栄養士が解説】


「お酒を飲んでいないから脂肪性肝疾患とは無縁」と考えていませんか。実は、お酒を飲んでいなくても発症する脂肪性肝疾患「代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD:Metabolic Dysfunction Associated Steatotic Liver Disease)」があります。この記事では、MASLDについて、また肝臓の健康を守るための食事法について解説します。
MASLDとは?
MASLDとは、お酒を飲んでいないにもかかわらず、肝臓に脂肪が蓄積する病態で、放置すると命にかかわる肝疾患を招くおそれがあります。
以前は、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD:Non-Alcoholic Fatty Liver Disease)と呼ばれていました。しかし、NAFLDの「NA」を指す「Non-Alcoholic」はこの疾患の病因を正確に捉えていない、「F」を指す「Fatty」は偏見を与えるとして、欧米の関連学会が脂肪性肝疾患の病名と分類法を変更することを発表。日本においても、日本消化器病学会、日本肝臓学会が2023年9月に変更について賛同声明を出しています。
MASLDは、肥満、糖尿病、脂質異常症、高血圧などの代謝機能障害が関与するため、食事をはじめとした生活習慣の見直しが重要です[1,2]。
肝臓に負担をかけるNG食習慣とは?
では、どのような食習慣に注意する必要があるのでしょうか。NG食習慣について紹介します[3]。
脂質の摂り過ぎ
過剰な脂質、特に飽和脂肪酸、コレステロール摂取は、発症に影響を及ぼすことが報告されています。
食べすぎ
食事量が多く、消費するエネルギー(カロリー)よりも摂取するカロリーが上回ると、身体の中で使われなかったカロリーが体脂肪として蓄積され、発症の重要な因子である肥満を招くおそれがあります。

肝臓の健康を守るための食事法
肝臓の健康を守るために有効な方法の一つが、肥満予防です[3]。今回は、肥満を防ぐための食事ポイントを解説します。
適切な食事量
適量を摂取できているかどうかを確認するためには、体格指数Body Mass Index(BMI)(※)を確認した上で、体重の増減をみてみるとよいでしょう[4]。
(※)BMI(kg/m2)=[体重(kg)] ÷ [身長(m)の2乗]
BMI18.5未満が低体重、BMI18.5以上25未満が普通体重、BMI25以上が肥満です[5]。
例えば、現在肥満で、体重の増減がない、あるいは体重が増えている場合には、食事量が多いといえます。また、現在低体重で、体重の増減がない、あるいは体重が減っている場合には、食事量が少ないといえるでしょう。
現在の体格と体重の変化を確認し、食事量が自分にあっていない場合には、適切な食事量に調整することが大切です。
バランスの取れた食事
日々の食事の中で、「主食」「副菜」「主菜」「牛乳・乳製品」「果物」を取り入れることを意識するとよいでしょう。「主食」とは、ごはん・パン・麺など、「副菜」は野菜・いも・海藻・きのこを主材料とする料理、「主菜」は魚・肉・卵・大豆・大豆製品を主材料とする料理のことを指します[6]。
生活習慣の見直しが肝臓の健康を守る
食事だけでなく、適度な運動も大切です。ウォーキングやジョギング、軽い筋トレなど、無理なく続けられる運動を取り入れましょう[3]。

できることから始めよう
肝臓を守るためには、規則正しい生活習慣が大切です。食事内容を見直し、適度な運動を取り入れて、肝臓の健康を守る生活を始めてみませんか。
【参考文献】(2025年3月3日閲覧)
[2] 一般財団法人日本消化器病学会, 脂肪性肝疾患の日本語病名に関して
[3] 日本消化器病学会・日本肝臓学会, NAFLD/NASH診療ガイドライン2020(改訂第2版)
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