「シジミ汁は二日酔いに良い」と言われるのはなぜ?知っているようで知らない、シジミの栄養効果とは
シジミは昔から日本で食べられてきたと考えられており、シジミ汁は島根県の郷土料理でもあります。「二日酔いにはシジミ汁」と言われるほど、肝臓に良いイメージのあるシジミ。なぜ、シジミが肝臓に良いイメージがあるのかご存知でしょうか?今回は、シジミに含まれている栄養素や機能性成分とそれらがどのような働きをするのかについて解説します。
シジミの栄養成分
シジミは可食部100gあたり54kcalのエネルギーがあります。
炭水化物、たんぱく質、脂質いずれも含んでいますが、同じ貝類のあさりと比較すると、炭水化物と脂質がやや高めです。
ミネラル類も幅広く含んでおり、特にカルシウム、リン、鉄、銅、マンガンはあさりよりも多いです。ビタミン類はビタミンA、D、E、B2、B6、B12を特に多く含んでいます。
シジミはビタミンやミネラルの供給源としても優れているといえるのではないでしょうか。
シジミの機能性成分
シジミはビタミンやミネラルだけではなく、機能性成分としてオルニチンが含まれています。
オルニチンは体内でアルギニンと呼ばれるアミノ酸を分解することで作られる遊離アミノ酸で、肝臓の働きの一つであるアンモニアの処理を行う際に必要な成分です。
アンモニアはたんぱく質などを分解することでできる物質で私たちの体にとって有害なものですが、無害化する仕組みがいくつかあります。
そのうちの一つが尿素回路と呼ばれるもので、アンモニアを尿素に変換する仕組みで、これにはオルニチンが大きく関わっています。
このような働きから、オルニチンを摂取することで、肝機能改善や疲労軽減などにつながるのではないかと期待されており、現在研究が進められています。
「シジミ汁が肝臓に良い」「二日酔いにはシジミ汁を」と言われているのは、直接的に二日酔いにきくというわけではなく、シジミに含まれているオルニチンが肝臓の働きに必要不可欠だからというわけです。
オルニチンはシジミ以外にも含まれている
オルニチンはシジミ特有の成分だと思われがちですが、実は他にも含まれている食品があります。
えのきやなめこ、しめじなどのきのこ類にも多く含まれており、その他チーズにも多いことが分かっています。
また、最近ではサプリメントなどにオルニチンが含まれている商品がありますが、それらは微生物により作られているものが利用されています。
オルニチンは重要な物質ですが、生命維持のために必ずしも必要なものではありません。
日々の食生活を整えることを前提に、シジミをはじめとしたオルニチンを含む食品を日々の生活にも取り入れてみてください。
【参考文献】
- 吉田企世子、松田早苗,正しい知識で健康をつくるあたらしい栄養学,高橋書店(2021)
- 中村宜督,からだにいいってホント?食品でひく機能性成分事典,女子栄養大学出版部(2022)
- 文部科学省,日本食品標準成分表2020年版(八訂)
AUTHOR
宮﨑奈津季
管理栄養士、離乳食アドバイザー、薬膳コーディネーター。 介護食品メーカーで営業を2年間従事した後、独立。料理動画撮影やレシピ開発、商品開発、ダイエットアプリの監修、栄養価計算などの経験あり。 現在は、特定保健指導、記事執筆・監修をメインに活動中。一児の母。
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