肝臓が悲鳴を上げているサイン? 医師が教える、“疲れやすさ”に潜む肝機能低下

肝臓が悲鳴を上げているサイン? 医師が教える、“疲れやすさ”に潜む肝機能低下
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甲斐沼 孟
甲斐沼 孟
2025-10-19

最近、やけに体がだるい。寝ても疲れが取れない。肌がくすんでいる気がする・・・。そんなとき、「年のせいかな」と片付けていませんか?でも実はそれ、肝臓が悲鳴を上げているサインかもしれません。医師が解説します。

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肝臓が悲鳴を上げているサイン

肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれるほど、多少の異常では症状が出にくい臓器です。

働きが悪くなっても、痛みを感じる神経が少ないため、本人が気づいたときにはかなり進行していることもあります。

たとえば、次のようなサインが出ていたら要注意です。

  • 朝起きたときに体が重い、すぐ疲れる
  • 顔色や肌のトーンが以前より暗くなった
  • 食欲がわかない、油っぽいものを避けたくなる
  • 飲酒量が以前と変わらないのに、酔いやすくなった
  • 尿の色が濃く、便が白っぽい
  • 目や肌がうっすら黄みを帯びている

これらは、肝臓が処理しきれない老廃物や毒素が体内にたまっているサイン。

肝臓の仕事は、体の「化学工場」。摂取した栄養や薬、アルコールなどを分解・代謝し、必要なものを作り、不必要なものを処理して外へ出す役割を担っています。

そのため、疲労やストレス、過度の飲酒、薬の長期服用などで肝臓に負担がかかると、少しずつ働きが鈍っていくのです。

特に現代人は、飲酒よりも「ストレス」や「睡眠不足」「食生活の乱れ」が肝臓を疲弊させる最大の敵になっています。

夜遅くまでの残業、コンビニごはん、気づけば毎晩の晩酌。これが続くと、肝臓が処理できないまま、体の中に“ゴミ”が溜まっていきます。

ストレス
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“疲れやすさ”に潜む肝機能低下

「なんだか最近、やる気が出ない」「寝ても眠い」「集中力が続かない」。

こうした“なんとなくの不調”を感じる人は多いものです。実はこれ、肝機能の低下が関係していることがあります。

肝臓が弱ると、エネルギーを生み出す力も落ちてしまいます。

本来、肝臓は糖や脂質をエネルギーに変える大切な働きをしています。

しかし、肝機能が下がるとこの代謝がスムーズにいかず、結果として体が「ガス欠状態」に。だから何をしても疲れやすく、だるく感じるわけですね。

また、肝臓が解毒や老廃物処理をきちんとできなくなると、血液の質にも影響します。

血中に不要な物質が増えることで、肌荒れ、ニキビ、顔のくすみ、さらには免疫力の低下まで引き起こすことがあります。

特に女性では、ホルモンバランスが乱れやすくなり、生理不順やPMSの悪化を感じる人も少なくありません。

疲労感が続くときは、まず一度「肝機能検査」を受けてみるのがおすすめです。

血液検査
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血液検査でチェックできる代表的な項目は、AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTPなど。これらが基準値を超えている場合、肝臓が疲れているサインです。

ただし、数値がギリギリ正常だからといって安心できません。

生活習慣や飲酒の影響で、肝臓が限界近くまで頑張っていることもあります。

肝臓をいたわるために、すぐにできることもあります。

  1. 飲酒を控える – 週に2日は“肝臓の休肝日”を。
  2. 睡眠をしっかりとる – 夜10時〜2時は肝臓の再生タイム。
  3. バランスの取れた食事 – タンパク質とビタミンB群を意識して摂る。
  4. ストレスをためない – 適度に休み、趣味や運動でリフレッシュ。

また、サプリや健康食品を過信しすぎないことも大切です。

「肝臓によい」と言われるものでも、摂りすぎれば逆に負担になることがあります。

基本は“食事・睡眠・休養”。それでも改善しない場合は、早めに内科や消化器内科で相談を。

まとめ

肝臓は、私たちの体の中で最も働き者の臓器のひとつ。

一日中、文句も言わずに代謝・解毒・エネルギー生産を続けています。

だからこそ、ちょっとやそっとの不調では「大丈夫」と黙ってしまうのです。

しかし、その沈黙の裏では、確実にSOSを出しています。

「疲れやすい」「食欲がない」「肌が荒れる」といった小さなサインを見逃さず、生活習慣を見直すことが、肝臓を守るいちばんの近道です。

肝臓は、いたわれば驚くほど回復してくれる臓器でもあります。

今日から少しだけお酒を減らす、早く寝る、栄養のある食事をする。

その小さな積み重ねが、未来の自分の健康を支えてくれます。

肝臓が「ありがとう」と言ってくれる日を目指して、今日から、ほんの少しだけ生活を変えてみませんか。

今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。

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