肝臓が悲鳴を上げているサイン? 医師が教える、“疲れやすさ”に潜む肝機能低下
最近、やけに体がだるい。寝ても疲れが取れない。肌がくすんでいる気がする・・・。そんなとき、「年のせいかな」と片付けていませんか?でも実はそれ、肝臓が悲鳴を上げているサインかもしれません。医師が解説します。
肝臓が悲鳴を上げているサイン
肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれるほど、多少の異常では症状が出にくい臓器です。
働きが悪くなっても、痛みを感じる神経が少ないため、本人が気づいたときにはかなり進行していることもあります。
たとえば、次のようなサインが出ていたら要注意です。
- 朝起きたときに体が重い、すぐ疲れる
- 顔色や肌のトーンが以前より暗くなった
- 食欲がわかない、油っぽいものを避けたくなる
- 飲酒量が以前と変わらないのに、酔いやすくなった
- 尿の色が濃く、便が白っぽい
- 目や肌がうっすら黄みを帯びている
これらは、肝臓が処理しきれない老廃物や毒素が体内にたまっているサイン。
肝臓の仕事は、体の「化学工場」。摂取した栄養や薬、アルコールなどを分解・代謝し、必要なものを作り、不必要なものを処理して外へ出す役割を担っています。
そのため、疲労やストレス、過度の飲酒、薬の長期服用などで肝臓に負担がかかると、少しずつ働きが鈍っていくのです。
特に現代人は、飲酒よりも「ストレス」や「睡眠不足」「食生活の乱れ」が肝臓を疲弊させる最大の敵になっています。
夜遅くまでの残業、コンビニごはん、気づけば毎晩の晩酌。これが続くと、肝臓が処理できないまま、体の中に“ゴミ”が溜まっていきます。
“疲れやすさ”に潜む肝機能低下
「なんだか最近、やる気が出ない」「寝ても眠い」「集中力が続かない」。
こうした“なんとなくの不調”を感じる人は多いものです。実はこれ、肝機能の低下が関係していることがあります。
肝臓が弱ると、エネルギーを生み出す力も落ちてしまいます。
本来、肝臓は糖や脂質をエネルギーに変える大切な働きをしています。
しかし、肝機能が下がるとこの代謝がスムーズにいかず、結果として体が「ガス欠状態」に。だから何をしても疲れやすく、だるく感じるわけですね。
また、肝臓が解毒や老廃物処理をきちんとできなくなると、血液の質にも影響します。
血中に不要な物質が増えることで、肌荒れ、ニキビ、顔のくすみ、さらには免疫力の低下まで引き起こすことがあります。
特に女性では、ホルモンバランスが乱れやすくなり、生理不順やPMSの悪化を感じる人も少なくありません。
疲労感が続くときは、まず一度「肝機能検査」を受けてみるのがおすすめです。
血液検査でチェックできる代表的な項目は、AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTPなど。これらが基準値を超えている場合、肝臓が疲れているサインです。
ただし、数値がギリギリ正常だからといって安心できません。
生活習慣や飲酒の影響で、肝臓が限界近くまで頑張っていることもあります。
肝臓をいたわるために、すぐにできることもあります。
- 飲酒を控える – 週に2日は“肝臓の休肝日”を。
- 睡眠をしっかりとる – 夜10時〜2時は肝臓の再生タイム。
- バランスの取れた食事 – タンパク質とビタミンB群を意識して摂る。
- ストレスをためない – 適度に休み、趣味や運動でリフレッシュ。
また、サプリや健康食品を過信しすぎないことも大切です。
「肝臓によい」と言われるものでも、摂りすぎれば逆に負担になることがあります。
基本は“食事・睡眠・休養”。それでも改善しない場合は、早めに内科や消化器内科で相談を。
まとめ
肝臓は、私たちの体の中で最も働き者の臓器のひとつ。
一日中、文句も言わずに代謝・解毒・エネルギー生産を続けています。
だからこそ、ちょっとやそっとの不調では「大丈夫」と黙ってしまうのです。
しかし、その沈黙の裏では、確実にSOSを出しています。
「疲れやすい」「食欲がない」「肌が荒れる」といった小さなサインを見逃さず、生活習慣を見直すことが、肝臓を守るいちばんの近道です。
肝臓は、いたわれば驚くほど回復してくれる臓器でもあります。
今日から少しだけお酒を減らす、早く寝る、栄養のある食事をする。
その小さな積み重ねが、未来の自分の健康を支えてくれます。
肝臓が「ありがとう」と言ってくれる日を目指して、今日から、ほんの少しだけ生活を変えてみませんか。
今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。
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