子供が小さい今だからこそ、二拠点生活はやる価値がある。#暮らしの選択肢
近年、テレワークの普及やライフスタイルの多様化により、都市と地方の二拠点で生活する人々が増加傾向にあるということをご存知でしょうか。国土交通省の調査によれば、二地域居住等を実践する人は約6.7%に達し、約701万人と推計されているんだとか。また、複数拠点生活を行っている人は全体の5.1%に上るとの報告も。自らの価値観に基づき「暮らしを選ぶ」二拠点生活者たちから、その魅力や課題、リアルな日常を深掘り。理想と現実の狭間で見えてくる「暮らしの選択肢」の今を伝えます。
今回、お話を伺った二拠点生活者は、東京と千葉県で愛犬1匹、1歳と3歳の子供たち、夫と共に、二拠点生活を送っているikunoさん。平日は東京でデザインの仕事をし、月に数回千葉のセカンドハウスを訪れます。子連れ・犬連れの二拠点生活は、苦労も多いはず。一方で、子供たちが小さい今だからこそ二拠点生活をする意義があると、ikunoさんは考えています。その理由は?ikunoさんの二拠点生活に迫ります。
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〈プロフィール〉ikuno
フリーランスデザイナー。
東京と千葉県で二拠点生活中。
Instagram:@iknn.iknn
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仕様が変わる、工期が遅れる、それでもリノベーションが楽しかった理由とは?
– 二拠点生活をはじめる前にイメージしていたことと、実際二拠点生活をはじめてからイメージと違ったところは何かありますか?
ikunoさん: 先程もお話した通り、運用管理面は甘くみていましたね。庭の管理や夏場のカビ対策などはイメージはしていなかったです。正直、自然の近くでのんびり過ごすというイメージだったのですが、とにかく働きっぱなしです(笑)あとは、必要最低限の家具や空調設備を揃えるのが思いの外、大変でした。通常、自宅の引越しは家具や家電などは引き継いで使用していくことができますが、セカンドハウスとなると、全て1から新しく物を揃えることになって大変でした。
– 持ち物が2倍になるわけですもんね。
ikunoさん: そうですね。エアコン、洗濯機、照明、空調、冷蔵庫、ダイニングテーブル、椅子、あとは友人が泊まりに来た時のための布団一式...。それらを揃えるのに、最初は出費が続きました。
– さらに、ikunoさんたちは、リノベーションもされていますよね。リノベーションはどれぐらい期間がかかったんですか?
ikunoさん: リノベーションは、2回に分けてやったんです。1階と2階合わせて140平米あるのですが、広いのでリノベーションするのにも、どういう場所にしていきたいか、イメージがつかなかったんです。最初は1階の70平米リノベーションをしました。それから、翌年に2階をリノベーションして、すべてが完了したのが、去年の3月末です。
– リノベーションをやってよかったことはどんなところでしょうか?
ikunoさん:セカンドハウスは、趣味に寄ったデザインで作ることができたのは良かったことですね。間取りやインテリアをやってみたいものがいっぱいあったのですが、客室を作ったり、まだ、実現はできていないですが、アトリエやジム、サウナやシュミレーションゴルフも作ってみたいと話したりしていました。広さがあると色々なことが叶えられるものだなと、心の底からワクワクして資料集めをしました。
– 逆に大変だったことはありましたか?
ikunoさん: フルリノベーションなので、それこそ値段と理想の兼ね合いが大変でした。最初に地元の工務店に見積もりをお願いしたら、予算よりもかなりオーバーしてしまって。それで格安でお願いできるところを探しました。また、工事の途中で勝手に仕様が変わったりということがよくありました。また、2024年の9月に全部工事を終わらせるという話だったんです。けれど、途中で工事が止まったりして、最終的に終わったのが、3月末になってしまったりもあって、結構ハラハラしましたね。後から聞いた話なのですが、値段を抑えるそういったトラブルが起きることもあるそうです。最終的にみんなで使える楽しい家にするという目的は達成できたので、良かったと思っています。
二拠点生活に大切なのは、時期とスピード感
– 子連れ、犬連れで二拠点生活は、疲れることも多いのではないかと思うのですが、それでも二拠点生活が良いと思いますか?
ikunoさん: はい、二拠点生活を存分に楽しんでいると思います。子供が親と一緒に週末をずっと過ごすというのも、時間が限られてるのではないかと思うんです。また、私は子供の頃から犬を飼っていたので、犬の人生が短いことを知っていて。家族みんなが揃って過ごせる今だからこそ、やりたいと思うんです。もう少し先の話にはなると思いますが、子供も、親よりお友達との時間の方が楽しくなってきたり、部活がはじまったりしたら親と田舎の家ですごさなくなってくると思うんですよね。だから、二拠点生活をやるなら、時期とスピード感が大切だと思います。今、子供たちは1歳と3歳なのですが、今の楽しめる時期に、多少大変なことがあってもやろうという思いがあります。
– 今しかできないことを思いっきり楽しんでいるわけですね!二拠点生活をはじめて良かったことはどんなことですか?
ikunoさん: 子どもや犬が家の中や、お庭で自由に走り回ってたり、大人たちも自由気ままにお酒を飲んでそのまま寝てしまったりしている姿を見ると、セカンドハウスを作って良かったなと思います。実は、うちの犬はお外でトイレに行く方が、家の中でするより気持ちいいみたいなんです。セカンドハウスでは、朝起きると、すごいキラキラした顔で窓の前でしっぽを振って、ワンワンと吠えるんですよ。「トイレ行きたい」というように。
また、友人の子供たちも一緒に楽しんでくれているのも見るとほっこりした気持ちになります。「今までの旅行の中で一番楽しかった」と言ってくれた子もいました。それを聞いた時は、ジーンときました。なかなか家族同士で泊まるって難しいので、時間を気にせず、お酒を飲んだり、話せたりするのは嬉しいですよね。大変だったいろんなことが報われる気がします。
– 確かに家族で集まるとなるとある程度広さがないと難しいですもんね。
ikunoさん: そうですね。広さで叶えられることがいっぱいあるんだなっていうのは思いますね。
– これまでに苦労したことは、ありましたか?
ikunoさん: ご近所との距離感には少し戸惑った部分もありました。東京で暮らしていると、お隣さんがどんな人が住んでいるかも分からないということも一般的じゃないですか。セカンドハウスのある場所は古い住宅街ということもあり、ご近所付き合いも多少なりともあるので。
あとは、防犯対策などは盲点でしたね。家がポツン、ポツンとあるような田舎だと、空き巣など防犯に気をつけないといけないということを耳にしたんです。それもあって、住宅地の中の物件を選んだということもあったのですが。住み始めた当初、庭の梅の実がひとつ残らずなくなったことがあって、防犯カメラを設置しました。住宅地にあってご近所の目があると言っても、家を空けている期間がある場合は防犯対策は必須だということが分かりました。
– これからも二拠点は続けていく予定ですか?
ikunoさん: はい、子供たちが、まだ小さいうちはしばらくこのまま二拠点生活を続けていきたいと考えています。
– ゆくゆくは、セカンドハウスの方に、ご夫婦で完全移住するということは視野にいれていますか?
ikunoさん: 今のところ、老後にゆっくりここで過ごすというイメージは正直湧いていないんです。二拠点生活を実際にやってみて色々失敗をした上で、改めて、家の造りだったり、場所に対しての理想も出てきました。そのため、今のセカンドハウスは、いつかのタイミングで売って、今度は1から建ててみたいと夫と話しています。「家は3回建てて初めて満足のいく家ができる」という言葉があるじゃないですか。東京の自宅も含めて、これまでの家造りに対しての反省点を活かして、あと10年以内に、今度はセカンドハウスを建てたいですね。
– 10年以内とは、結構早いスパンですね。
ikunoさん: 高齢になって、戸建を手放す方が多いと思うのですが、やはり体力があるうちの方が、庭や戸建てを楽しめるんだなっていう気がするんです。そのため、なるべく早めにやりたいと思っています。
– 楽しみがあっていいですね!二拠点生活をはじめたからこそ、また新たな夢というか目標が出てきて、より人生が充実しているように伺えます。
ikunoさん: そうですね。人生の楽しみが増えている感じがします。実際に、今のセカンドハウスを購入していなかったら、もしかしたら今も何も進まないまま、今も土地や不動産サイトを見ていたかもしれません。工事費や設備費用を捻出するのに、夫婦喧嘩が絶えない時期とかもあったんです。けれど、今はやりきった感があるので、次の目標に向かって、頑張っていきたいですね。
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