ストレス太りの正体は“すい臓の疲れ”だった!沈黙の臓器が放つSOSとは?医師が解説
「最近、食べる量は変わってないのに、なんだか太ってきた気がする」「ストレスが多いと、つい甘いものに手が伸びる」そんな経験、ありませんか?“ストレス太り”という言葉はもう珍しくないですが、実はその裏にはすい臓の疲れという、見えにくい原因が隠れていることがあります。医師が解説します。
ストレスで太るのは「気のせい」じゃない
すい臓と聞くと、「糖尿病の臓器でしょ?」と思う人が多いかもしれません。
でも実は、すい臓は血糖のバランスを保つ司令塔であり、ストレスによる乱れの最前線で戦っている臓器でもあります。
ストレスを感じると、体は「戦うか逃げるか」モードになり、アドレナリンやコルチゾールといったホルモンを分泌します。
これらは一時的に血糖を上げ、体をフル稼働させる準備を整えるのですが――その後、血糖を下げるために働くのがインスリン。そしてこのインスリンを作っているのが、すい臓なんです。
つまり、ストレスが続くほど、すい臓は「血糖を下げなきゃ!」とフル回転。その結果、インスリンが過剰に出続け、脂肪をため込みやすい体質が出来上がってしまうわけです。
沈黙の臓器・すい臓の「疲れサイン」とは?
すい臓は、“文句を言わない臓器”として知られています。
肝臓と並ぶ「沈黙の臓器」で、少しぐらい疲れても自覚症状を出しません。
でも、よく見ると体はちゃんとSOSサインを出しているんです。
たとえば、以下のようなサインがある人は、すい臓が“お疲れ気味”かもしれません。
- 食後に異様な眠気がくる
- 甘いものを食べてもすぐに空腹を感じる
- ちょっとしたことでイライラする
- 夜中に無性にお菓子やパンが食べたくなる
- お腹まわりだけが太ってきた
すい臓が弱ってくると、インスリンの分泌リズムが崩れ、血糖が乱高下しやすくなります。
血糖が急上昇すれば脂肪をため込み、急降下すればドカ食いスイッチが入る。
その繰り返しが、“ストレス太りループ”をつくってしまうのです。
特にデスクワーク中心で、ストレス解消が「コンビニスイーツ」や「夜のラーメン」になっている人は要注意。
食事のたびに血糖を急上昇させてしまい、すい臓をさらに追い込んでいることもあります。
実際によくあるケース
40代女性・Mさんは、仕事と家庭のストレスが重なって、1年で体重が5kg増加。
「運動しても全然減らないし、寝ても疲れが取れない」と悩んでいました。
血液検査をしてみると、空腹時血糖は正常範囲内。
でも“インスリン値”が高く、体はすでにインスリン抵抗性を起こしていました。
つまり、血糖を下げるためにインスリンが出すぎて、結果的に脂肪をためこむ体質に変わっていたんです。
医師の指導で、まず取り組んだのは「食事の見直し」。
朝のパンとジュースを、オートミールと豆乳に変え、間食をナッツやチーズに。
夜は21時以降に食べないようにしたところ、3か月で体重が2kg減。
「甘いものを我慢しなくても、なんだか前より落ち着くようになった」とのこと。
すい臓への負担を減らすことで、自然と代謝も整っていったのです。
まとめ ― “やせ体質”は、すい臓がつくる
ストレス太りを「意志が弱いせい」と片づけるのは間違いです。
実際には、見えないところですい臓が過労状態になっていることが多いのです。
インスリンは本来、血糖を整える大事なホルモン。でも、出すぎると脂肪をため、すい臓を疲弊させます。
だからこそ、ダイエット以前にまず“すい臓を休ませる”ことが大切です。
そのためのポイントは3つ。
- 血糖の急上昇を防ぐ食べ方をする→ よく噛む、野菜やタンパク質から先に食べる。
- ストレスを「体で抜く」→ 軽い運動や深呼吸で、交感神経の緊張をほぐす。
- 夜食と寝不足を減らす→ すい臓も休む時間をきちんと確保する。
体は、あなたが思っている以上にデリケートです。無理をしても頑張り続けてしまう“沈黙の臓器”が、ある日ふと音を上げる前に、少しだけ耳を傾けてあげてください。
「最近ちょっと甘いものがやめられない」――それは、単なる食欲じゃなく、すい臓からの小さなSOSかもしれません。
※本記事は健康一般に関する情報提供であり、診断や治療を代替するものではありません。気になる症状がある場合は、医療機関にご相談ください。
今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。
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