「モテる=幸せ」ではない理由とは?婚活のプロに聞く「自分らしい幸せ」を掴むために必要なこと

「モテる=幸せ」ではない理由とは?婚活のプロに聞く「自分らしい幸せ」を掴むために必要なこと
AdobeStock

男女の結婚相談所で勤務したのち、「ゲイ専用結婚コンサルタント」として働き始め、その後ご自身は「結婚しない」選択という異色の経歴を持つ、田岡智美さん。『素敵なご縁に恵まれて結婚やめました』(KADOKAWA)では、ご自身のご経験から、「自分らしい幸せ」を掴むヒントを執筆されています。インタビュー後編では、自分自身に向き合うヒントや、幸せを掴むために必要だと思うことについて伺いました。

広告

自分に嘘をつかないために

——恋愛において、「相手に良く見られたい」という思いは出てきてしまうと思うのですが、その中でも自分に嘘をつかないようにするためにどうしたらいいのでしょうか?

「好きになってほしい」という思いが湧くこと自体は自然なことですよね。相手の好みの髪型やファッションにするのであっても、自分自身もわくわくして幸せになれるのであればいいと思います。

ただ、それが自分がしたくない髪型やファッションなら、その姿を好きになってもらっても、維持し続けるのは難しいですよね。

そもそもそうやって自分の姿を偽ってしまうのは、自分に自信が持てないことが根底にあると思うんです。本当の自分を見せるのが怖いから、ただ相手の好みに合わせようとしてしまう。

なので相手にどう見られているか意識するよりも、自分が自分をどう見ているかに向き合うことを優先した方がいいと思います。

——男女間でも同性間でも「モテやすい要素」のようなものはあると思うのですが、その特徴に自分が当てはまらないことで悩んでいる場合、どう考えたらいいのでしょうか?

前提として、婚活で出会って初めて相手のことを知る段階で受け入れられる範囲と、少しいいなと思ってコミュニケーションを取り始めてから受け入れられる範囲は違うと思うんです。

また、たとえば「外見がかわいらしくて、家庭的な女性がモテる」といったイメージがあって、自分はそこに当てはまらなくても、ほかに良いところがあるんです。話を聞くのが得意とか、犬好きで共感できるとか、相手から好意を持たれる要素は色々あると思います。

ですが、本人は好きになってもらえる自分の要素に気づいていないことも多いです。相手が料理好きだったり、グルメだから外食中心の生活を望んでいたり、もしくは食に関心がなくて気にしていなかったりと、色々な人がいるので、料理が苦手でも問題ないこともあります。「男性は料理好きな女性が好きなはず」とあまり囚われない方がいいと思います。

——自分が「モテる人」になるのではなく、ありのままの自分で合う人を探すことが大切なのですね。

男女どちらにも言えることですが、「モテる」と言われる要素を持っている人がみんな結婚して幸せな家庭を築いているかというと、そうではないですよね。

「幸せになれるか」は、モテる要素を持っているかがポイントではないのだと思います。これは男女間だけでなく、男性同士の間でも同じことが言えます。

——前提として自分を知ることが大切ということでしょうか?

そうですね。誰かに憧れて自分に自信がないと、表情や発言に必ず出てくるんですね。本人は気づいてないのですが、褒められても「自分なんて」と謙遜してしまうことも少なくありません。

「モテる」と言われる要素を持っている人でなくても、自分の人生を楽しく生きてる人は明るいですし、お話していて楽しいので、人が引き寄せられることを感じます。

幸せになるために必要なこととは?

——「将来が不安だから結婚したい」という人もいます。田岡さんは結婚しない選択をした現在、老後について何か対策していることはありますか?

まず現実的ですが、経済面です。1人で生活するためのお金を、1円でも多く貯めることは必要だと思います。裕福な生活を望んでいるわけではないですが、1人でも食べていけるぐらい、無駄遣いをやめたり、貯蓄はしなければと思っています。

特に40代後半からは健康面を意識して、生活習慣や食生活を改善しました。特に外食を減らすようになって、健康診断の数値に変化を感じています。食事を変えたことで、寝起きの体調も変化を感じていて、食べ物が体を作っていることを実感したので、継続しようと思っています。

あとは人との繋がりです。今は仕事があるので色々な人と出会いますが、年をとったときに孤立しないよう、友人との関わりを大切にしています。友人に面倒を見てもらおうとは思っていませんが、独身だと独身の友達が増えてくるので、お互いに何かあったときは支えられればと思って、身近な人を大切にしています。

自分が老いたときの不安が全くないと言えば嘘になりますが、ひとり身でも「いい人生だった」と思える時を迎えられるように、心に負担なく今できることをやっていこうと思っています。

——本当の幸せを掴むために必要だと思うことについて、ご自身の過去の失敗談も含めてお聞かせください。

過去の失敗談としては、まず自分の軸がなかったので、周りの意見に左右されていました。親や学校の先生、会社の上司、お客様と、色々なことを言われる中で、若い頃はとてもブレていました。

自分がどうしたいかという軸を持つことは大事ですが、それでも社会の中で生きていく以上、人と必ず関わりますよね。関係が深かったり、過ごす時間がやっぱり長い相手ほど、自分の人生に影響を与えてくると思います。なので誰とどう関わるかを自分で選択していくことも必要かと思います。

関わる人を間違えることで、自分の人生が悪い方向に進んでしまうことがあると思うんです。自分軸がないことで、他人の欲のために利用されやすくなってしまう側面もあると思います。信じる人を間違えず、距離を置くべき人とは距離を置くことも大切なことです。

——どのような方とは距離を置くべきだと考えていますか。

私の場合は、まず「こうしてほしい」「ああしてほしい」と見返りを求める人。それから環境が悪いとか、相手が悪いとか、全てを他人や環境のせいにして、自分の行動や言葉に責任を持とうとしない人。そして感情に任せて怒りを人にぶつけてしまう人。

この3つに該当する人はプライベートで深く関わらないようにしています。自分の特性をふまえて、自分がどういう人とはあまり関わらない方がいいかを考えるようにしています。

——他責思考と反対に、自分を責めてしまって苦しくなる人もいらっしゃいますが、田岡さんはそういった経験はありますか?

元々は自責ばかりだったので、とてもしんどくなってしまっていたんです。「全部自分が悪い」「自分が我慢すれば良くなる」と思っていて、全く他責思考ではなかったが故に、自分を潰していたところがあります。

今は事実ベースで分析するようにしています。頭の中で考えるだけですと感情が混ざってくるので、書いて整理することも多いです。「こういうモヤモヤがあって、出来事の事実はこれで、それに対してこう思っている」と書き分けて、「これ私悪くないよね」と思えたら、ほかに何が原因だったのかを分析します。

「自分が悪いかも」と思っても、出来事を事実ベースで整理していくと、客観的に見えてきます。感情に流されずに判断することが大切だと思っています。

『素敵なご縁に恵まれて結婚やめました』(KADOKAWA)
『素敵なご縁に恵まれて結婚やめました』(KADOKAWA)

【プロフィール】
田岡智美(たおか・ともみ)

1974年生まれ。婚活コンサルタント。
30歳を迎えるころ、「幸せ」に携わる仕事がしたいという思いから、男女の結婚相談所へ転職する。
2016年より同性パートナー紹介会社にて出会いをサポートし、2019年からはxxx(エイジィ)株式会社が運営する「ゲイ結婚相談所ブリッジラウンジ」に勤務。現在店長を務めている。初回来店時の案内から会員様のご紹介、お見合いの立ち会い、カウンセリングまで、すべてのサポート業務に従事している。

広告

RELATED関連記事

Galleryこの記事の画像/動画一覧

『素敵なご縁に恵まれて結婚やめました』(KADOKAWA)