(6)周辺症状である「易怒性」にクラシカルホメオパシーを使ってみた!
親の老いに向き合うというのは、ある日突然はじまるものです。わたしの場合、それは父の“夜間の徘徊”というかたちでやってきました。これまでは京都での暮らしや移住生活のことを書いていましたが、その裏では東京にいる父の認知症が進行し、家族で介護体制をどう整えるかに奔走していました。介護というと、大変そう、重たそう…そんなイメージがあるかもしれません。でも、わたしにとっては、家族とのつながりを見つめ直し、人の優しさに心動かされることが増えた、そんな時間でもありました。 この連載では、認知症介護の体験を通して、わたしが出会った「幸せの秘密」を、少しずつ綴っていきたいと思います。
8〜9ヶ月目になって、認知症外来の医師やケアマネジャーからは、「精神科」への転院を勧められることがありました。ただ、落ち着いているときもありますし、「精神科」に入院すると、強いお薬を出されて、廃人のようになってしまうという話をあちこちで聞いたのもこの頃。姉妹のなかでも意見が分かれ、答えの出ないまま、徘徊から10ヶ月目を迎えました。2024年の12月のことです。
9、10、11月と毎月、上京していたのですが、12月は星占いの執筆の繁忙期。「わたしが次に行ける1月末まで、よろしく」と上の妹にバトンタッチ。父が怒って、母がパニックになると、近居の彼女が駆けつけてくれる事態が年末年始にかけて、何度も起こることになりました。
この頃、実は、すごく役に立ったのが2年ほど専門コースで勉強したクラシカルホメオパシーのレメディ。「認知症にはホメオパシーは効かないけど、周辺症状にはいいときもある。怒りなら、ナックスボミカを試してみたら」と知人のホメオパス(ホメオパシーの専門家)に聞いて、父に舐めてもらったのですね。個人差はあるでしょうが、猛烈に怒っていても、セルフケアレベルのものでも、ナックスボミカのレメディを舐めると、嘘のように怒りが収まり、穏やかになることがありました。

また、認知症患者によく見られる「金盗られ妄想」も、だんだんに出てきていたのですが、ホメオパシーのブライオニアというレメディの症状にそっくりなのです。ナックスボミカで駄目なら、ブライオニアを舐めてもらうと落ち着くことも頻繁にありました。
でも、母は、怒っている父にレメディを舐めさせられない。それで、まるで「虎に鈴をつける」ように、近居の上の妹が訪れ、話を聞き、レメディを舐めさせてくれることもありました。突然の入院にしてもそうなのですが、こうした緊急事態にはやはり、同居や近居の家族の存在が欠かせません。自然療法のケアにしても、わたしが同居して、毎日張り付いてケアしていたら、もっと効果が出たのかもしれません。遠距離の限界を感じるところでした。
→【記事の続き】(7)精神科の相談室にお電話してみる 親切なアドバイスにホッとするも…… はこちらから。
文/Saya
東京生まれ。1994年、早稲田大学卒業後、編集プロダクションや出版社勤務を経て、30代初めに独立。2008年、20代で出会った占星術を活かし、『エル・デジタル』で星占いの連載をスタート。現在は、京都を拠点に執筆と畑、お茶ときものの日々。セラピューティックエナジーキネシオロジー、蘭のフラワーエッセンスのプラクティショナーとしても活動中。著書に『わたしの風に乗る目覚めのレッスン〜風の時代のレジリエンス』(説話社)他。
ホームページ sayanote.com
Instagram @sayastrology
写真/野口さとこ
北海道小樽市生まれ。大学在学中にフジフォトサロン新人賞部門賞を受賞し、個展・グループ展をはじめ、出版、広告撮影などに携わる。ライフワークのひとつである“日本文化・土着における色彩” をテーマとした「地蔵が見た夢」の発表と出版を機に、アートフォトして注目され、ART KYOTOやTOKYO PHOTOなどアートフェアでも公開される。活動拠点である京都を中心にキラク写真教室を主宰。京都芸術大学非常勤講師。
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