夜中に突然くる“こむら返り”…足がつりやすい人の共通点|管理栄養士が解説
ふくらはぎが突然ギュッと縮んで動けなくなる、「足のつり(こむら返り)」。 これは、筋肉が一時的にけいれんを起こしている状態です。 夜中の寝返り中だけでなく、朝の伸びや入浴中、運動中など、思いがけないタイミングで起こることがあります。 その主な要因は、水分やミネラルの不足、筋肉疲労、血行不良などが挙げられます。 今回は、管理栄養士の視点から、こむら返りを起こしやすい人に共通する“不足しやすい栄養素”を解説します。
マグネシウム :筋肉をゆるめるブレーキ役
マグネシウムは、筋肉をゆるめるための神経伝達を担うミネラルです。
不足すると、筋肉が過剰に興奮し、収縮したまま戻れなくなり、こむら返りを起こしやすくなります。
特に、加工食品が多い食生活では不足しやすい栄養素です。
多く含まれる食品:
納豆、豆腐、アーモンド、くるみ、海藻類、玄米、そば、ほうれん草など
カルシウム : 筋肉収縮の合図を出すスイッチ役
カルシウムは、筋肉を収縮させるときのスイッチ役です。
マグネシウムと対になって働くため、どちらかが欠けると筋肉のON/OFFのバランスが崩れます。
骨の健康だけでなく、筋肉のコントロールにも欠かせません。
多く含まれる食品:
牛乳、ヨーグルト、チーズ、小魚、小松菜、チンゲン菜など
カリウム :「細胞の水分」を守る番人
カリウムは、細胞の内外で水分や電解質のバランスを保ち、神経の興奮を安定させます。
汗や尿で失われやすく、体内の水分が不足すると電解質バランスが乱れ、筋肉が誤作動を起こしやすくなります。
多く含まれる食品:
バナナ、アボカド、キウイ、じゃがいも、ブロッコリー、トマトなど
ビタミンB群・E : 筋肉の代謝と血流を支える影の立役者
ミネラルを摂っても、体内でうまく働かないと意味がありません。
そこで重要になるのが、筋肉のエネルギー代謝を支えるビタミンB群と、血流を改善するビタミンEです。
ビタミンB1は糖質をエネルギーに変え、疲労物質の蓄積を防ぎ、ビタミンEは毛細血管の血流を促し、冷えからくる筋肉のけいれんを予防します。
多く含まれる食品:
豚肉、うなぎ、玄米、豆類、アーモンド、アボカドなど
ナトリウム:発汗時に失われる“電解質の要”
ナトリウムは、筋肉の収縮や神経の伝達を担う重要な電解質です。
カリウムと対になって働き、細胞内外の水分や電位差を保つことで、筋肉の「縮む・ゆるむ」をコントロールしています。
通常の食生活では過剰摂取になりやすい栄養素ですが、運動や高温環境で多量の汗をかく人は、ナトリウムが失われることで電解質バランスが崩れ、こむら返りを起こしやすくなることがあります。
汗を多くかいた日は、水だけでなく少量の塩分やスポーツドリンクなどでナトリウムを補うとよいでしょう。
栄養の配達網「血行」のケアも大切に
これらの栄養素は、水分や血流によって筋肉まで運ばれます。
そのため、栄養をしっかり摂っていても、体が冷えて血流が滞っていると十分に届きません。
「水分補給」と「体を冷やさない工夫」も、同じくらい大切です。
就寝前にコップ1杯の水を飲む、ふくらはぎを軽く伸ばす、湯船で体を温める。
そんな小さな習慣が、筋肉のめぐりを整え、こむら返りの予防につながります。
まとめ
忙しい日々の中では、食事バランスの乱れや水分不足が重なり、知らず知らずのうちに筋肉のリズムが崩れがちです。
まずは、毎日の食事でこれらの栄養素を少しずつ意識し、水分と温める習慣を整えること。
それだけでも、夜中の突然の痛みが起こりにくくなる人は少なくありません。
“つらない体”は、日々の小さな積み重ねからつくられます。
【参考文】】
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
国立健康・栄養研究所「健康食品の安全性・有効性情報(ミネラル)」
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