「いつも捨ててたわ…」実はすごい!かぶの葉にある知られざる栄養とは?【管理栄養士が解説】
秋から春にかけて旬を迎える「かぶ」は、春の七草の「すずな」として古くから親しまれてきました。丸くて甘みがある根の部分を中心に漬物・煮物・サラダ・スープなどさまざまな料理に用いられます。スーパーでは葉を切り落として販売されることもありますが、実はこの葉にこそ、栄養がたっぷり含まれます。今回は葉付きのかぶが売っていたら迷わず買いたくなる、かぶの葉に含まれる嬉しい栄養について解説します。
かぶの葉は抗酸化物質の宝庫
まず注目したいのは、かぶの葉に含まれる「抗酸化物質」です。体の中で細胞を傷つけてしまう酸化ストレスを抑えてくれる働きがあります。
カロテンが豊富な「緑黄色野菜」
野菜はカロテンの含有量により「淡色野菜」と「緑黄色野菜」に分類されます。かぶは、根は淡色野菜、葉は緑黄色野菜に分類され、部位によって含まれる栄養素が異なります。
特に葉にはβ-カロテンが豊富で、抗酸化作用のほか、皮膚や粘膜の健康維持にも役立ちます。
目の健康を守る「ルテイン」
ルテインは、体内では網膜の黄斑部に多く存在し,紫外線やブルーライトによるダメージから黄斑を保護したり, 黄斑の酸化ストレスを軽減したりする機能があるとされています。
かぶの葉にはルテインが豊富に含まれ、眼の健康維持をサポートしてくれます。
ビタミンCは根の4.5倍
かぶの葉にはビタミンCが豊富に含まれています。
抗酸化作用があり、免疫機能をサポートしてくれるため、体調を崩しやすい季節に積極的に摂りたい栄養素のひとつです。
(100gあたり)かぶの根:19mg/かぶの葉:82mg
まだまだある、かぶの葉の嬉しい栄養素
かぶの葉には抗酸化物質のほかにも、根より豊富に含まれる栄養素があります。
骨と血液を支える「ビタミンK」
ビタミンKは、出血時に血液を固めて止血を助けるほか、骨の形成にも関わる栄養素です。
かぶの根にはほとんど含まれず、葉に多く含まれるのが特徴です。
カルシウム・鉄分も豊富
かぶの葉に含まれるカルシウムは根の約10倍、鉄は約7倍です。カルシウムはビタミンDと、鉄は動物性の食品と組み合わせることにより吸収率が高まります。
(100gあたり)
カルシウム:かぶの根24mg/葉250mg
鉄:かぶの根0.3mg/葉2.1mg
かぶをおいしく食べるためのひと工夫
根と葉は切り分けて保存
葉付きのかぶを購入した際は、根と葉の部分は切り分けて保存しましょう。根の水分が葉に吸われるのを防ぐことができます。かぶの葉は日持ちしにくいため、購入したらできるだけ早めに使い切るのがポイントです。
調理のコツ
かぶの葉に含まれるカロテンやビタミンKは油と相性が良いため、ソテーや炒め物にするのがおすすめです。細かく刻んで炒めて、ご飯に混ぜるのもいいでしょう。
葉の苦みやえぐみが気になる場合は、軽く下ゆでしましょう。ゆで時間を短くすることによりビタミンCの損失を最小限に抑えることができます。そのまま味噌汁などの汁物にすると、水に溶けたビタミンCをそのままとることができます。
まとめ
今回は、かぶの葉に含まれる栄養と、おいしく食べるための工夫について解説しました。「いつも捨ててたわ…」という方はこれからは栄養価の高いかぶの葉を捨てずに、ぜひ日々の食事に取り入れてみてください。
【参考】
・文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
・厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
・化学同人「新・食品栄養科学シリーズ ガイドライン準拠 基礎栄養学」
・消費者庁 (事業受託者:公益財団法人日本健康・栄養食品協会)(2012 年 4 月).「食品の機能性評価モデル事業」, topic133c.pdf
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