塩分控えめでも油断大敵!注意したいむくみ症状とは?むくみの影に潜む血管のSOS|医師が解説

塩分控えめでも油断大敵!注意したいむくみ症状とは?むくみの影に潜む血管のSOS|医師が解説
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甲斐沼 孟
甲斐沼 孟
2025-09-22

塩分を控えても改善しないむくみは、体からのSOSかもしれません。なかには血管や心臓といった部位で問題が起きている場合も。食生活だけではない、見落とされがちなむくみの原因について医師が解説します。

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塩分控えめでも油断大敵!「むくみ」の影に潜む血管のSOS

「むくみ」と聞くと、まず思い浮かぶのは“塩分の摂りすぎ”ですよね。

塩分を摂りすぎると体の水分バランスが崩れ、余分な水分が皮膚の下にたまってしまいます。

だから「むくみ対策といえば減塩!」というのは、もうおなじみの話。

でも、ここでちょっと怖い話があります。

「ちゃんと減塩しているし、むくみ対策はバッチリ!」と思っていても、むくみが続く場合は油断禁物なんです。

実は、塩分以外にもむくみを引き起こす原因はたくさんあります。

特に注意してほしいのが、血管や心臓に関わる病気が隠れているケースです。

たとえば、心臓がうまく血液を送り出せなくなる「心不全」や、足の血管が詰まり気味になる「深部静脈血栓症」など。

これらは初期症状がむくみだけのことも多く、しかも「足がちょっと重いな」「最近靴下の跡が残りやすいな」というレベルから始まるため、見逃しやすいのです。

「ただ疲れているだけかな」「立ち仕事だから仕方ないよね」と放置してしまいがちですが、もしそれが血管や心臓からのSOSだったとしたら…。

気づかないうちに病気が進んでしまうこともあり得ます。

むくみは、見た目は軽い症状に見えても、体の深いところでトラブルが起きているサインかもしれません。

特に、下記の場合は要注意です。

  • 片足だけがむくむ
  • 朝より夜の方が明らかに腫れがひどい
  • 足が赤く熱を持っているなど

食生活だけではないむくみの落とし穴

むくみ対策といえば「塩分を控える」「水分をしっかり摂る」というのが定番ですが、それだけでは解決できないケースも多いです。

ここからは、意外と見落とされがちなむくみの原因をチェックしていきましょう。

原因その1:血管の老化や詰まり

年齢を重ねると、血管はだんだんとしなやかさを失い、硬くなってきます。

すると血液がスムーズに流れにくくなり、足先に余分な水分がたまりやすくなるんです。

特に怖いのは、「深部静脈血栓症」と呼ばれる血管のトラブル。

これは足の深い部分にある静脈に血の塊(血栓)ができる病気で、最悪の場合はその血栓が肺まで飛んでしまい、「肺塞栓症」という命に関わる状態を引き起こします。

見た目のサインとしては、以下のような症状があれば、すぐに医療機関を受診することが大切です。

  • 片足だけが突然パンパンに腫れる
  • 赤く熱を持っている
  • 痛みを伴う

放置は絶対にNGです。

原因その2:心臓の働きが弱っている

「心不全」という病気をご存じでしょうか。

これは、心臓がうまく血液を送り出せなくなり、全身に血液が滞ってしまう状態です。

心不全が進行すると、足だけでなくお腹や肺にも水分がたまることがあり、

  • 足首がどんどん太くなる
  • 夜になると息苦しくて眠れない
  • ちょっと動いただけで疲れる

といった症状が現れます。

特に中高年の方で、血圧が高め、糖尿病や高コレステロールがある場合は注意が必要です。

「ただのむくみ」と思っていても、実は心臓が悲鳴をあげていることもあるので、「最近ちょっとおかしいな」と感じたら早めの受診をおすすめします。

原因その3:腎臓の不調

腎臓は体の“ろ過装置”のような役割を担っています。

老廃物を体の外に出しつつ、必要な水分や栄養は残すという、とても大切な臓器です。

でも腎臓がうまく働かなくなると、水分が体内にたまりやすくなり、むくみが出やすくなります。

特に、まぶたの腫れや朝起きたときの顔のむくみが目立つ場合は、腎臓のトラブルが隠れている可能性もあります。

原因その4:生活習慣や体の使い方

もちろん、病気だけがむくみの原因ではありません。

日常生活のちょっとしたクセもむくみを招きます。

  • 長時間の立ち仕事や座りっぱなし
  • 足をよく組む
  • 運動不足
  • 睡眠不足
  • タイトな靴や下着で血流を圧迫している

これらは、血液やリンパ液の流れを悪くし、むくみの原因になります。

むくみ
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特にデスクワーク中心の方は、1時間に1回は立ち上がって軽くストレッチをするなど、こまめに動くことが大切です。

★むくみ対策のポイント

むくみを防ぐには、まずは生活習慣の見直しが基本です。

塩分を控えるのはもちろん、以下のポイントも取り入れてみましょう。

  1. 水分をこまめに摂る(ただし一気飲みはNG)
  2. 足首を回す、ふくらはぎをマッサージする
  3. 就寝時は足を少し高くして寝る
  4. 適度な運動を心がける(ウォーキングや軽いストレッチ)
  5. 靴や下着は締め付けが少ないものを選ぶ

それでも改善しない場合は、「体が何かを訴えているサインかも?」と考え、早めに病院を受診しましょう。

まとめ

むくみは、見た目にはちょっとした変化にしか見えません。

でも、その裏に重大な病気が隠れていることもあります。

特に、下記の症状がある場合は、迷わず医療機関へ。

  • 片足だけが腫れる
  • 赤く熱を持っている
  • 息苦しさやだるさが強い
  • どんどんむくみが悪化している

「立ちっぱなしだったから仕方ない」「年齢のせいだろう」と思い込み、放置するのが一番危険です。

塩分を控えても改善しないむくみは、体からのSOSかもしれません。

日々のセルフチェックと早めの受診で、自分の体を守っていきましょう。

小さなむくみを見逃さないことが、未来の健康を守る第一歩になるのです。

今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。

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