「糖質制限=健康に良い」は本当?知っておきたい、過度な糖質制限のリスクとは|医師が解説
お菓子や飲み物でよく目にする「糖質オフ」「糖質ゼロ」。実は、糖質制限には良い面と悪い面があります。やり方を間違えると体に負担がかかることも。医師が解説します。
「糖質制限=健康に良い」は本当?
スーパーやコンビニには、糖質控えめをアピールした商品がズラッと並んでおり、なんとなく「糖質=体に悪い」というイメージが定着しつつあります。
こうした流れから、「糖質を減らせば健康になれる」「糖質は敵だ」という考えが広まりつつありますが、本当にそうなのでしょうか。
糖質制限は、その名のとおり「糖質を減らす食事法」です。
糖質といえば、ご飯やパン、パスタなどの主食が代表的ですが、実は果物や根菜類、お菓子、ジュースなどにもたっぷり含まれています。
私たちの体は、本来この糖質をエネルギー源として使っています。
車にとってのガソリンみたいなものですね。
糖質をとると血糖値が上がり、それを下げるためにインスリンというホルモンが働きます。
糖質を摂りすぎると血糖値が乱れやすくなり、肥満や糖尿病などの生活習慣病につながる。ここまでは聞いたことがある方も多いと思います。
だからといって、「じゃあ糖質は悪者だからゼロにしよう!」と考えるのは極端すぎます。
糖尿病の方や、内臓脂肪が気になる方にとっては、糖質をある程度減らすことが効果的な場合があります。
実際、医療現場でも糖質制限が取り入れられることはありますし、短期間で体重がスッと落ちるというメリットも確かにあります。
ただし、健康な人が自己流でガッツリ糖質を抜いてしまうと、思わぬ落とし穴にはまることも…。
糖質制限は、あくまでダイエットや体質改善のための「ひとつの選択肢」であって、必ずしも万人に合う方法ではないということを覚えておきたいですね。
過度な糖質制限のリスクとは
ここからは、糖質を極端に減らしてしまったときに起こりうる、ちょっと怖いリスクについて見ていきましょう。
①エネルギー不足でヘトヘトに
糖質は体のエネルギー源です。
これが極端に減ると、体は「燃料切れ」の状態に。朝からなんとなくダルい、集中力が続かない、疲れやすい…といった症状が出やすくなります。
仕事や勉強、スポーツをしている人にとっては大きなマイナス。車で例えるなら、ガソリンがほとんど空っぽの状態で走り続けているようなものです。
②筋肉まで削られてしまう
糖質が不足すると、体はエネルギーを作るために筋肉を分解してしまいます。
せっかく体重が減っても、それが筋肉だったら悲しいですよね。
筋肉が減ると代謝が落ちて、結果的に痩せにくい体になってしまう場合もあります。
これでは、ダイエットがうまくいったとは言えません。
③便秘や肌トラブルが増える
糖質制限では、炭水化物だけでなく、野菜や果物を減らしてしまう人もいます。
すると食物繊維が足りなくなり、便秘になりやすくなります。
また、ビタミンやミネラルが不足しやすくなるため、肌荒れや抜け毛といったトラブルが出ることも少なくありません。
見た目を良くしたいはずが、逆に不調が目立ってしまった…なんてこともあるのです。
④イライラしやすくなる
甘いものをガマンしすぎると、ストレスがどんどん溜まっていきます。
そしてある日、爆発したようにドカ食いしてしまう、なんて経験はありませんか?
さらに、糖質は脳にとっても大切なエネルギー。
極端に不足すると気分が落ち込みやすくなったり、イライラしやすくなったりすることもあります。
⑤長期的な健康リスク
一部の研究では、極端な糖質制限を長期間続けると心臓や腎臓に負担がかかる可能性があると指摘されています。
特に「糖質はカットするけど、脂質やお肉はたっぷりOK」というスタイルだと、血管への影響が心配されます。
体重が減ったとしても、健康を犠牲にしては本末転倒ですよね。
まとめ
糖質制限は、使い方次第で体重管理や血糖コントロールに役立つ便利な方法です。
でも、それはあくまで「バランスよく、無理なく続ける」という前提があってこそ。
いきなりご飯をゼロにしたり、お肉と卵ばかりの食事にするのではなく、まずはジュースやお菓子を控えるといった小さな一歩から始めてみてはいかがでしょうか。
そして、もし本格的に取り組むなら、医師や管理栄養士と一緒に計画を立てるのがおすすめです。
ダイエットは短期決戦ではなく、長期戦。
一時的に痩せることよりも、「ずっと元気でいられる自分」を目指すことが、最終的には一番の近道なのかもしれません。
今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。
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