不足すると脱毛につながる?皮膚などの健康を支える〈ビオチン〉の気になる働きとは|管理栄養士が解説
糖質、脂質、アミノ酸の代謝の補酵素として必要なビオチン。 主に遺伝的な要因で不足する可能性があると言われていますが、不足するとどのような影響があるのでしょうか? この記事では、そんな体に必要なビタミンの一種であるビオチンの体内での働きと豊富に含まれている食品について紹介します。
ビオチンってどんな栄養素?
ビオチンは、ビタミンB群に属する水溶性ビタミンの一種で、別名ビタミンHとも呼ばれます。
体内では、糖新生に必要なピルビン酸カルボキシラーゼ、脂肪酸代謝に必要なアセチルCoAカルボキシラーゼやプロピオニルCoAカルボキシラーゼ、アミノ酸代謝に必要な3-メチルクロトノイルCoAカルボキシラーゼと言った酵素の補酵素として存在しています。
これらの酵素は、栄養素を代謝しエネルギーを生成するため、それらを支えるビオチンはエネルギー産生に必要な栄養素であると言えます。
ビオチンの不足や過剰摂取による影響とは
ビオチンはさまざまな食品に含まれている上、腸内細菌からも生成されるため、基本的に不足することはありません。
ただし、遺伝的にビオチンを再利用、活性化する酵素が欠損している場合は不足する可能性があります。
ビオチンが不足すると、栄養素の代謝がうまくいかなくなるため、アトピーや脱毛といった症状が現れると言われています。
また、不足が重度になるとリウマチなどの免疫不全症、糖尿病などのリスクが高まることでも知られています。
基本的に不足の心配をする必要はありませんが、限定的に生の卵白を多量かつ長期間摂取した場合、不足するリスクがあります。
これは、卵白に含まれるアビジンと呼ばれるたんぱく質が、ビオチンと強く結びついて消化しづらくするために起こりますので、極端に偏った卵白の摂取は避けましょう。
一方で、ビオチンは過剰に摂取しても尿中に排泄されるため、過剰症の心配はありません。
ビオチンの摂取目標量とは?
ビオチンの必要量は、「特定の集団の栄養状態を維持するのに十分な量」とされる「目安量」という数値が定められています。 それぞれの年代に必要なビオチンの目標量について見ていきましょう。
| 年齢 | 男性(目安量) | 女性(目安量) |
|---|---|---|
| 18〜29歳 | 50 | 50 |
| 30〜49歳 | 50 | 50 |
| 50〜64歳 | 50 | 50 |
| 65〜74歳 | 50 | 50 |
| 75歳以上 | 50 | 50 |
日本人の食事摂取基準より、ビオチンの平均摂取量は45.1µg/日や60.7µg/日という報告があります。どちらにせよ、目安量に近い量の摂取ができている可能性があるため、不足のリスクは少ない栄養素であると言えます。
ビオチンを豊富に含む食材とは
ビオチンは、きのこ類、肉類、種実類、卵類などに豊富に含まれています。実際に我々が普段目にする食品の中で、ビオチンを豊富に含むものにはどんなものがあるのでしょうか?
| 食品名 | 100gあたりのビオチン量(µg) |
|---|---|
| にわとりレバー(生) | 230.0 |
| ピーナッツバター | 96.0 |
| らっかせい(乾) | 92.0 |
| ぶたレバー(生) | 80.0 |
| 鶏卵 卵黄(生) | 65.0 |
| ひまわりの種(フライ) | 60.0 |
| しいたけ(乾) | 41.0 |
| きくらげ(乾) | 27.0 |
これらの食品にはビオチンが豊富に含まれているため、普段の食事に取り入れてみてください。
まとめ
糖質、脂質、アミノ酸の代謝の補酵素として重要なビオチン。基本的に欠乏することが無い栄養素ではありますが、不足することで様々な症状を引き起こします。 他の栄養素の欠乏を防ぐためにも、普段からバランスの良い食事を心がけましょう。
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