熱中症とダイエット:自分を大切にするために知っておきたいこと|心理師の視点から
9月に入っても暑い日が続き、熱中症のリスクが高い状態です。今回は熱中症とダイエットについての紹介です。
薄着で過ごす時期が長いと「痩せたい」という思いが強まる人は少なくありません。ダイエットを始めるきっかけとしては自然なことですが、同時に夏は熱中症のリスクが高まる季節でもあります。とくに食事制限や過度な運動を組み合わせると、身体に大きな負担がかかり、命に関わる危険さえ生じます。だからこそ、ダイエットと熱中症の関係を知り、「自分を大切にする」という視点を持つことが欠かせません。
熱中症は「水分不足」だけではない
熱中症というと「水を飲まなかったから起こる」と考える人も多いでしょう。しかし実際には、水分不足だけが原因ではありません。体のなかで水と一緒に働いているのが電解質――ナトリウムやカリウム、カルシウム、マグネシウムなどのミネラルです。これらは体温調節や筋肉・神経の働きに欠かせません。大量の汗をかいたり、無理な食事制限をして栄養バランスが崩れたりすると、この電解質が不足してしまいます。その結果、めまいや頭痛、倦怠感だけでなく、筋肉のけいれんや意識障害といった重度の症状が引き起こされることがあります。
とくにダイエット中は「塩分は控えるべき」と思っている人が多く、必要以上に制限してしまうことがあります。しかし、夏に塩分を完全に避けることは危険です。水だけを大量に飲んでも、体内の電解質バランスが薄まってしまい、かえって体調を崩すこともあるのです。
電解質を補う方法
熱中症を防ぐためには、水分と電解質を適切に補うことが欠かせません。市販の経口補水液は、熱中症対策に最も効果的なバランスで水分と電解質を補給できます。そこまで必要がない場面でも、スポーツドリンクを薄めて飲んだり、水と一緒に梅干しや塩を使った食べ物をとるのも有効です。
ただし、電解質だけを意識すればよいわけではありません。普段からバランスの良い食事をとることが、最も確実で安全な予防につながります。たとえばバナナや野菜でカリウムを、乳製品でカルシウムを、緑黄色野菜でマグネシウムを補えます。食事から自然に栄養をとることで、身体の調和が保たれます。
自分の体調を尊重すること
「少しでも痩せたい」と思う気持ちは、多くの人に共通する自然な願いです。しかし、その気持ちに引っ張られて体調のサインを無視してしまうと、守りたかったはずの自分の健康を損なってしまいます。ここで大切なのは、自分に対してコンパッション(思いやり)を持つことです。今日は疲れているから運動は控えよう、汗をかいたから水分と食事をしっかり摂ろう――そんな小さな選択の積み重ねが、自分を守ることにつながります。ダイエットは「体を追い詰める競争」ではなく、「体と心を大切にしながら暮らす工夫」かもしれません。
夏に行うダイエットは、熱中症のリスクと常に隣り合わせです。水分と電解質の補給を意識すること、そして何よりバランスの良い食事を欠かさないこと。これらはすべて「自分を大切にするダイエット」に欠かせない要素です。「もっと痩せなければ」と焦る気持ちにとらわれると、かえって身体も心も疲れてしまいます。大切なのは、結果を急ぐことではなく、自分をいたわりながら安心して続けられる方法を見つけていくこと。夏の熱中症対策を意識することは、その第一歩になるかもしれません。
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