集中できないのはなぜ?臨床心理士が教える、仕事・勉強が手につかない人のための解決策
「仕事に集中できない」「勉強が手につかない」と悩んでいませんか?私たちは「やらなければいけない」とわかっているのに、どうにも集中できないことがあります。今回は「仕事/勉強が手につかない!」の背景にある原因と対処法をご紹介します。
仕事や勉強に集中できない理由
仕事や勉強に集中できない背景には、
・心や身体に余裕がない
・やるべきことが多すぎる/目標が高すぎる
・集中しづらい環境
といった要因が隠れています。ひとつずつ詳しく見ていきましょう。
心や身体に余裕がない
集中力は、心と身体が健やかであることを土台として成り立っています。
身体に痛みや不快感があったり、心に不安や緊張を抱えていたりすると、「痛いな」「不安だな」といった思考が頭を占め、心ここにあらずの状態になり、目の前の作業に意識を向けづらくなります。
身体や心が「今この瞬間」ではなく別のことに気を取られている状態では、集中力は自然と低下してしまうのです。
やるべきことが多すぎる/目標が高すぎる
「今から1000ページの本を読みなさい」「今日からオリンピック選手を目指しましょう」など、多すぎるタスクや高すぎる目標を提示されると、ただただ圧倒され、何から手をつけていいかわからず、集中して取り組むことが難しい状態になってしまいます。
また、私たちの心には「ツァイガルニク効果」と呼ばれる心理効果が働いています。
これは「達成できた事柄」より「未達成の事柄、中断した事柄」の方が記憶に残る効果のこと。いつまでも終わらないタスクや達成できない目標は、ずっと頭の片隅に残り、目の前のタスクへの集中を邪魔します。
集中しづらい環境
集中できない原因は、自分ではなく、物理的な環境にあるかもしれません。
たとえば、
・部屋の内外が騒がしい
・室温が暑すぎる/寒すぎる
・照明が明るすぎる/暗すぎる
・机や椅子の高さが合っていない
など、些細に思えることでも集中力には大きく影響します。
また、現代人にとって、集中を妨げるものの代表がスマートフォン。
「気分転換に」と手にとったが最後、SNS・ゲーム・動画など魅力的なコンテンツに心がとらわれ、気がつくとやるべきタスクにちっとも集中して取り組めなかった…ということになりかねません。
集中するための対処法
ここからは、集中するための4つの対処法をご紹介します。
休憩時間・睡眠時間を確保する
集中力を保つ土台となるのが「しっかり休むこと」です。人間の集中力には限界があるため、心や身体が疲弊しているのに無理に取り組み続けても、効率が下がるばかりです。
おすすめなのが「ポモドーロ・テクニック」。これは「25分作業+5分休憩」を1セットとして、数セット繰り返す方法です。短時間だけ集中し、合間にしっかり休憩をとることで、脳の疲労を最小限に抑え、集中力を保ちます。
また、慢性的な睡眠不足も集中力の大敵。最低でも6〜7時間の睡眠は確保したいところです。
「4分間」だけ行動してみる
「集中力が続かないから」「やる気が出ないから」と心身の調子が整うのをただ待っていませんか?実は、集中力ややる気が出ないときほど、さっと行動を始めるべきなんです。
私たちの集中力ややる気は、脳の「側坐核」という部位が司っています。この部位を刺激する方法は、とにかく行動を始めること。行動して4分ほど経つと、側坐核が刺激され、やる気がわいてくることがわかっています。
やる気が出るまでの4分間は手っ取り早くできそうな、簡単なタスクに取り組むのがコツ。
例えば、
・とにかく資料を開き、読み進める
・机に向かい、今日やるべきことのリストをまとめる
など、簡単にできそうなタスクに取り掛かりましょう。
「達成感」を味わう仕組みづくり
人は「達成感」を味わうことで、次の行動へ気持ちを切り替え、モチベーションを高められます。
そのために有効なのが、目に見える形で「進捗」を記録すること。
・タスクを書き出し、完了したタスクに線を引く
・棒グラフで進捗を可視化する
・カレンダーにシールを貼る
このように、達成の程度を視覚的・具体的に確認できると「次も頑張るぞ」と意欲が高まり、集中力を維持しやすくなります。
環境を整える
集中するには、集中できる環境も必要です。
・スマートフォンは手の届かない場所に置く
・自宅以外の落ち着く場所で作業してみる(図書館・カフェ・自習室など)
・作業スペースを片づけ、必要最低限の物だけを置く
こうした工夫によって注意が逸れるのを避け、集中力を高めることができます。
集中力が続かない状態が長引くなら病院へ
もし、「どうしても集中できない」「やる気が出ない状態が何週間も続く」などの深刻な状態がある場合は、心療内科や精神科など専門の医療機関に相談することも選択肢の一つです。
うつ病やADHDなどの可能性も視野に入れ、専門家の意見を仰ぐことが、結果的に集中力の改善に役立つことがあります。
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