「勉強して意味あるの?」と言われても挫けない!大人の学び直しを成功させる秘訣とは
自宅浪人から東京大学に合格し、現在は勉強法デザイナーとして「すべての人にごきげんな勉強法を」をコンセプトに活動している、みおりんさん。『自分のペースで楽しく続く! 大人のごきげん独学術』(KADOKAWA)では、仕事や家事で忙しい社会人に向けた勉強法を提案しています。「大人の勉強」について、みおりんさんに話を伺いました。
大人の勉強の始め方
——本作が11冊目のご著書で、社会人向けの本は初だったとのことですが、「大人の勉強」への世間の関心が高まっているのを感じますか?
私自身は、自宅浪人で東京大学に合格したという経験もあったので、大学受験向けの発信から始めたのですが、コロナ禍で中学生のフォロワーが増えました。勉強の仕方もわからないまま休校になって困っていた子が多かったです。その後、社会人の方も増えてきました。
「リスキリング」といった言葉もよく聞くようになって、学び直しへの関心が高まっていることもあると思いますし、「勉強法」という発信ジャンルがここ5年くらいで確立したように思います。「大人の勉強法」という切り口で情報を得ることで、学びがはかどることが知られるようになってきたのではないでしょうか。
——「何かを学ばなくては」「勉強してみたい」と思っている大人は増えてきていると思いますが、何を勉強したらいいか迷っている人も少なくないと思います。どう見つければいいでしょうか?
資格取得を目的にすると、何を勉強すればいいかがわかりやすいので、一つの方法だと思います。私は最近『資格取り方選び方全ガイド』(高橋書店)という本を買いました。この本には幅広く色々な資格の情報が掲載されていて、そこから興味のあるものを見つけることができました。
昨年12月に調べて、3月までに取得できる資格を探していたのですが、私は世界遺産検定と秘書検定を実際に受験しました。必ずしも仕事と資格を結びつける必要はなく、趣味で資格取得を目指してもいいと思います。
大学時代は法学部だったのですが、最近は法律に全然触れていなくて、法学部在学中の学生でも取れるような資格にも興味を持っています。仕事に直接関係しそうなものですと、ビジネス著作権検定にも関心がありますね。
書店をゆっくり歩いてみるのもおすすめです。自分の興味がある棚は自然と見たくなると思うので、意識していなかった自分の関心に気づくこともできます。たとえば、「昔、工作が好きだったけど、最近編み物が流行っているからやってみたい」とか「ワインが好きだけど、知識としては持ってないからワインソムリエの勉強をしたい」とかそういう始まりでいいと思います。
それでも見つからないようであれば、学校の5教科の勉強をやり直してみるのもいいと思います。今は大人向けに中学の内容から楽しく学べるようなテキストもあるので、そういったものを手に取ってみる方法もあります。
時間の確保について
——大人の勉強となると、仕事や家事育児もあって、勉強時間を確保して続けていくハードルがあると思います。勉強のための時間を作るコツを教えていただけますか。
一番取り入れやすいことは、あらかじめスケジュールをブロックすることだと思います。「いつかやろう」と思っていると、「いつか」が永遠にこないことを、社会人になってから実感しています。
なので、スケジュール管理をする際に、「この日のこの時間はこの勉強に時間を充てる」と自分との約束として決めておく。できれば周りに宣言したり、何か誘われても予定があると断るようにすると確保しやすいと思います。
ただ、中には「勉強する意味あるの?」といったこちらのモチベーションが下がることを言ってくる人もいるので、勉強していることを伝える相手は選んだ方がいいかもしれません。
——まとまった時間をとることが難しい人も多いと思いますが、ポイントはありますか?
大人の勉強はスキマ時間の活用が重要です。一日の流れを書き出してみると、案外勉強できそうな時間や、なんとなくダラダラしてしまっていた時間が見つかります。
子育て中のフォロワーさんからご相談いただいたこともあったのですが、1分~3分のこま切れの時間しか確保できないということだったのですが、それくらいでも単語カードを見るとか、できることはあるんです。
あらかじめスキマ時間の長さ別に何をするかを決めておくと、いざ時間が空いたときに無駄にしにくくなるので、おすすめです。
——週末にまとめてなど、曜日を決めてまとめて勉強しようと思う方もいると思うのですが、毎日少しずつ勉強する方がいいのでしょうか。
脳科学的な観点からも、週末にまとめて時間をとるよりは、毎日少しずつ勉強した方がいいとされています。なので、毎日10分でも続けていく方がおすすめではあります。
ただ、もし毎日時間を取ることが難しければ、週末にまとめて勉強することもダメなわけではないので、ライフスタイルに合わせられればいいと思います。
継続とモチベーション維持
——仕事が残業になるなど、何かしら勉強の習慣が崩れてしまいそうなとき、どう立て直せばいいでしょうか?
どうしてもできないときは、勉強を第一にする日を作って、計画的に対応しています。できれば休日、難しければ仕事の後でもいいので、予定をブロックし、「自分合宿」といった感じで、勉強と向き合う時間を作ることもおすすめです。
三日坊主になりそうなときは、勉強との接触頻度が下がっていることが多いです。例えば、どこに行くにもテキストをカバンに入れることから始めると、開く可能性は高まります。
テキスト全部を持ち歩くのが大変なら、一部テキストの写真を撮って、そのページだけは移動中に読むようにするといったことでも勉強習慣を立て直せると思います。
——仕事の後に疲れていて、どうしても勉強したくないときはどうしていますか?
私自身は夜型なのですが、疲れてしまったときは、睡眠を優先します。その分、次の日の仕事の休憩時間や、隙間時間を使って巻き返すようなイメージです。疲れているときや眠いときに無理しても覚えられないので、私は潔くあきらめてしまいます。
——どうしても続かないときはどんな改善方法がありますか?
色々試しても続けられないなら、今の自分にとって本当に必要ではないのかもしれないということも考え始めてもいいと思います。
大人の勉強は強制されることはあまりないと思うんです。だからこそ続けるのが大変ではあるのですが、人生のタイミングによって、その人によって優先すべきことは変わっていくはず。その中に勉強があることは素敵ですが、常にそうとは限らないですし、どうしてもできないときは今ではないのだと思います。
一旦、今の自分の生活を振り返ってみて、「今時間を使っているこれが終わってからにしよう」など、無理のないスケジュールを考えてもいいと思います。
まず勉強しようと思ったことが素晴らしいことです。なので、勉強を続けられないことで、自分を責めてしまったり、かえって自己肯定感が下がってしまうのはもったいないので、あまり自分を縛らないようにする視点も大切にしてほしいです。
からかってくる人の対処法
——SNSで勉強アカウントの人を見ていると、「勉強して意味があるの?」と言われるなど、バカにされたという経験談を書いている人もいます。ネガティブな言葉に引っ張られないための心の持ち方について、教えていただけますか?
勉強することを揶揄してくる人は、自分に自信がなかったり、自分の今の状態に不満を持っている人が多いと思うんです。自分の人生に満足している人は、他人の行動をとやかく言わないどころか、応援してくれる人が多いと思います。なのでネガティブな言葉は真に受ける必要はないと思います。
でも関係性によっては、ある程度会話をしないといけないこともありますよね。何かに活かすために勉強していると話すと、「~なら役立たないじゃん」といった話になって、自分も嫌な気持ちになってしまうので、「趣味です」と言ってしまうのが、丸く収まるのかなと思います。
※後編に続きます。
【プロフィール】
みおりん
勉強法デザイナー。地方の公立高校から東大を受験するも、高3では大差で不合格に。1年間の自宅浪人の末に東大文IIIに入学し、その後法学部へ進学。3年生修了と同時にカナダでのワーキングホリデーに挑戦し、2019年3月に同大学を卒業。都内のIT企業での勤務を経て、2020年に独立。
YouTube「みおりんカフェ」(チャンネル登録者数17万人/ 2025年7月時点)をはじめとした各種SNSでは、「すべての人にごきげんな勉強法を」をコンセプトに、子どもから大人まで使える楽しい勉強法を紹介。総フォロワー数は27万人を超える。その他、学校や図書館等での講演、テレビやラジオ番組への出演も多数。
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