勉強しなさい!はNG【脳科学者が教える】子どもの学習モチベーションを引き出す効果的なひと言


伝えたはずなのに、伝わっていない......。言葉で伝えても、なかなか伝わらない。こういったうまく伝わらない現象を、脳科学では「認知のズレ」と呼んでいます。今回は、西剛志(にし・たけゆき)さんの著書『結局、どうしたら伝わるのか? 脳科学が導き出した本当に伝わるコツ』(アスコム)より内容を一部抜粋してご紹介します。脳の特性から研究された、具体的でシンプルな、本当に伝わるコツは必見です。
子どもに勉強してほしいときに効果的なひと言
命令はNG。こう書きましたが、こんな相談を受けることがあります。
「子どもに勉強しなさい! とつい怒鳴ってしまいます。だって、勉強しないでームばかりなんです。どうしたら怒鳴らずに勉強をしてくれるでしょうか?」
勉強をしてくれない子どもに対してどうしたらいいか?こういった悩みを持っている人は多いですよね。私がすすめる方法は「逆命令法」です。「そんなに勉強が嫌なら、絶対に勉強しないでね」と伝えるのです。 浦島太郎は「この箱はあけないでください」と言われていたのに、あけてしまいました。ダメと言われると、逆に気になってくる。これが「逆命令法」です。小さな子どもに、「この箱は絶対あけたらダメだからね」と話して、その部屋を去っていくと、子どもはその箱に関心が向き、あけたくてしょうがなくなります。こっそりあけてしまう子どももいます。
「逆命令法」は、命令されれば逆をやりたくなるという脳の特性を活用した方法です。これを心理的リアクタンスというのですが、うまく活用することで、勉強への関心や興味を生む力を持っているのです。ダエメン大学の調査でも、学生たちに60語の単語をしっかり覚えてもらいました。その後、下記の2つのパターンの声をかけてみた実験があります。
① 「絶対に忘れないでね」
② 「忘れてもいいよ」
その結果、なんと②の「忘れてもいいよ」と声をかけたほうが、4%以上成績がよかったことがわかったのです(4%といっても、単語数では60語中2〜3語になるので試験では意外と大きな点数の差につながることがあります)。「勉強しないでね」という逆命令をするときは、併せてここまで紹介してきた痛みと快感を伝えると、より効果が上がります。

「そんなに勉強が嫌なら、絶対に勉強しないでね。ただ、あなたが将来こうなりたいと思っても、勉強をしてこなかったことで、そのチャンスを逃してしまうかもしれないけど、それはあなた自身が決めてね!」こう言ってもまだ勉強をしない子どももいると思います。そのときもあきらめずに、繰り返し「逆命令」と「痛みと快感」を伝えていくと、徐々に変化していく可能性があるでしょう。

教えてくれたのは…西 剛志(にし・たけゆき)さん
脳科学者(工学博士)、分子生物学者。1975年、宮崎県高千穂出身。東京工業大学大学院生命情報専攻卒。博士号を取得後、特許庁を経て、2008年にうまくいく人とそうでない人の違いを研究する会社を設立。30代で対人関係やストレスで難病を宣告されるも、脳の研究を通して自身のストレスをなくすことに成功し、半年で病気が完治。現在は、世界的に成功している人たちのコミュニケーションや脳のしくみ、才能を引き出す方法を提供するサービスを展開し、企業から教育者、高齢者、主婦など含めてこれまで3万人以上に講演会を提供。
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