脳科学が導き出した本当に伝わるコツ。認知のズレをなくし「伝わる強度」がアップする魔法の言葉とは?

脳科学が導き出した本当に伝わるコツ。認知のズレをなくし「伝わる強度」がアップする魔法の言葉とは?
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伝えたはずなのに、伝わっていない......。言葉で伝えても、なかなか伝わらない。こういったうまく伝わらない現象を、脳科学では「認知のズレ」と呼んでいます。今回は、西剛志(にし・たけゆき)さんの著書『結局、どうしたら伝わるのか? 脳科学が導き出した本当に伝わるコツ』(アスコム)より内容を一部抜粋してご紹介します。脳の特性から研究された、具体的でシンプルな、本当に伝わるコツは必見です。

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感謝をちゃんと伝えるだけで、伝わる強度はアップする

「あなたは私がお願いしたことを忘れることもあるけど、いつも私の意見に耳を傾けてくれて感謝している。少しでも改善しようとしてくれてありがとう」

伝える際に、相手に「感謝の気持ち」を一緒に届けると、伝わり方が大きく変わります。「感謝の気持ちを伝える」ことはコミュニケーションをうまく生かせる大きなポイントですが、意外におろそかにされている行為でもあります。「なんで感謝を伝えないのですか?」と聞くと、多くの人が同じ回答をしました。 

「なんか、感謝を伝えると、相手に負けた気がする」
「なんか悔しい」

この気持ち、わかります。そして、脳科学的にみても仕方がないのです。相手を認めることが、実は脳は不得意だからです。相手を認めるためには、共感力が大切です。しかし、私たちはネガティブな気持ちでいるとき、共感力が下がることが2018年のジュネーブ大学の研究でわかりました。脳は自分の状態が悪いと、「まずは自分を守ろう」とするモードになります。自分がダメージを受けていると、脳は相手に共感している場合ではない状態になってしまうため、共感力が下がってしまうのです。つまり、普段から人に対して不平不満や、イライラ、怒りを持っていると、共感力が持ちにくくなり、脳が相手を認めようとしなくなってしまいます。恋人や夫婦の間でたくさんのイライラや不満が募っていると、相手を受け入れることがなかなか難しいのは、脳の特性です。共感力が下がれば、感謝を伝えることも難しくなります。

また、別の研究ではこんなこともわかっています。自分がネガティブな状態だと、相手が(ネガティブな表情ではなく)ただ無表情だっただけでも、「相手はネガティブな表情をしている」と認知してしまうそうです。相手は普段通りのはずなのに、見ているだけで腹がたってくることがあるのはこういう脳の特性が影響していたのです。共感力は48歳がピークです。これはハーバード大学の研究でわかっています。そこからだんだん共感力は下がっていきます。 

もともと人は、公平性を欠く出来事があると、相手を攻撃したくなる気持ちが生まれやすいそうです。仕事で、自分はがんばっているのに、チームメンバーでがんばりが足りない人を見ると、その人のことを攻めたくなるのもその理由です。夫婦の間で、家事の分担や子育ての比率に公平性を欠いていると判断すると、相手への攻撃性が増すのには理由があったのです。敵対している人が不幸になると脳の報酬系が活性化して喜びを感じるのです。攻撃性が強い人は、こういう傾向が強い人です。

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でも一方で攻撃性が強くならない人もいます。それは、出来事や人に対して「視点を多く持っている人」でした。視点が多い人ほど、しかめっ面が減り、笑顔が増えるなどポジティブな感情を持つことが多く、相手からもストレスを受けづらくなることがわかっています。つまり視点を多く持っている人は共感力が高いということです。共感力を持つためのポイントは、この2つです。

⑴ 視点を増やす
⑵ 自分の心拍数を正確に当てられるようにする

心拍数で共感力が測れるのはおもしろいですよね。自分の心拍数を脈に触れないでも正確に当てられる人は、共感力が高いという調査結果があります。最近は血圧計やスマートウォッチでも心拍数を測れますので、もしお持ちの方はぜひ試してみてください。逆に自分が思っていた心拍数と実際の心拍数が異なる人は、共感力が低かったそうです。

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つまり、自分の感覚を正確に把握できていない人は、相手の感覚も理解できないということです。自分の感覚に敏感になることが、共感力を高めるコツです。疲れた、悲しい気持ち、焦っている気持ち、嫉妬している気持ち、不安、怖い、イライラ、楽しい、ワクワク、安心、圧迫感など、自分の現在の状態を認知するトレーニングをしていくと、自分の感覚に敏感になり、人の立場や気持ちも理解しやすくなるでしょう。

『結局、どうしたら伝わるのか? 脳科学が導き出した本当に伝わるコツ』(アスコム)
『結局、どうしたら伝わるのか? 脳科学が導き出した本当に伝わるコツ』(アスコム)

教えてくれたのは…西 剛志(にし・たけゆき)さん

脳科学者(工学博士)、分子生物学者。1975年、宮崎県高千穂出身。東京工業大学大学院生命情報専攻卒。博士号を取得後、特許庁を経て、2008年にうまくいく人とそうでない人の違いを研究する会社を設立。30代で対人関係やストレスで難病を宣告されるも、脳の研究を通して自身のストレスをなくすことに成功し、半年で病気が完治。現在は、世界的に成功している人たちのコミュニケーションや脳のしくみ、才能を引き出す方法を提供するサービスを展開し、企業から教育者、高齢者、主婦など含めてこれまで3万人以上に講演会を提供。

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『結局、どうしたら伝わるのか? 脳科学が導き出した本当に伝わるコツ』(アスコム)