「40代50代からでも遅くない!」東大卒勉強法デザイナーが語る大人の学び直しが有利な理由

「40代50代からでも遅くない!」東大卒勉強法デザイナーが語る大人の学び直しが有利な理由

自宅浪人から東京大学に合格し、現在は勉強法デザイナーとして「すべての人にごきげんな勉強法を」をコンセプトに活動している、みおりんさん。『自分のペースで楽しく続く! 大人のごきげん独学術』(KADOKAWA)では、仕事や家事で忙しい社会人に向けた勉強法を提案しています。インタビュー後編では、「勉強は40代50代からでも遅くない?」という質問や、勉強していてよかったことについてお答えいただきました。

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年齢を重ねてからの勉強は、むしろ有利な面も

——学生時代に勉強が得意でなかったり、これまで勉強をしてこなくても、40代や50代になってからでも勉強を始めるのは遅くないのでしょうか。

「もう遅い」ということはないです。私は「自分に合った勉強法を見つけましょう」とよくお伝えしています。自分に合った方法を見つければ、効率よく楽しく勉強できるんです。自分に合った勉強法は、年齢や勉強経験を問わず確立できます。

むしろ年齢を重ねた方が自分のことをよく知っているので、自分に合った方法を早く見つけやすくなると思います。

——自分に合った勉強法を見つけるというのは、具体的にどんなことでしょうか?

一言で説明するのは難しいのですが、例えば勉強する時間帯・場所・手段をカスタマイズしていくことで、自分に合った勉強法が確立できます。

子どもだと、自分が静かなところの方が集中できるのか、うるさいところの方が集中できるのかは試さないとわからなかったりします。でも大人の方は、なんとなく肌感覚でわかっている人が多いと思うんです。勉強する時間帯に関しても、自分が朝型なのか夜型なのか把握している人が多いですよね。

昨年オンラインで勉強法講座を3か月間にわたって開催していたのですが、そちらには60代以上の方も参加していました。お話を伺う限り、全員の方がこれまでの人生で非常に勉強が得意だったというわけではないようでしたが、楽しんで参加くださっていたので、年齢や学生時代の学力レベルは関係ないと思います。

勉強と学びの違い

——本書には「勉強自体はあまり好きではありませんが、身につけたい知識や学びたいことはたくさんあります」と書かれていました。勉強があまり好きではないというのは意外でした。

ここでいう「勉強」とは、机に向かってテキストを読んだり問題を解いたりすることです。やる必要があるからやっているだけで、面倒なのでできればやりたくはないんです。

ですが、知識を身につけたり学んだりするというのは、新しいことを知って、自分が成長するイメージです。知らなかったことを知って世界が広がる経験は最高ですし、できなかったことができるようになったり、自分をアップデートしたりすることはうれしいこと。

必ずしも「勉強」していなくても、何か新しいことを吸収し、自分の世界が広がることが、私にとって大事なことです。

——学校で学ぶ5教科はまさに「勉強」の側面が強いと思うのですが、学生のフォロワーさんから、「学校の勉強は何の役に立つのかわからない」といったご相談は届きますか?

「今の勉強が役に立つと思えなくて、モチベーションが上がらない」というご相談はたくさんいただきます。

前提として、学校で勉強したことは、受験だけでなく、日常生活にも役立つということはお伝えしています。

——具体的にお伺いしてもよろしいでしょうか?

一つ目は、学校で学んだことそのものが役立つ場面があります。わかりやすい例ですと、計算ができなければ、日常生活で困ることがありますし、英語ができれば、英文を読めたり、英語で会話できたりしますよね。

二つ目は、勉強を通して培った力が役に立ちます。私は自宅浪人で一人で勉強していました。そのときに、計画を立てて実行し、見直して調整していくという、今でいうPDCAを回す力が身につきました。それは大人になってからの仕事や生活にもつながっています。

三つ目としては、勉強が世界を楽しむことにつながります。例えば、大学の頃にカンボジアに行く機会があって、現地のミュージアムに行きました。そこで、世界史で学んだ資料がその場にあって、より深く知ることができました。座学で学んだ知識があるからこそ、目の前にあるものの見方が変わるので、勉強によって、より世界が広がる経験ができます。

勉強していてよかったと思う瞬間

——勉強に関連して、くじけそうになった経験はありますか?

浪人時代のセンター試験(現共通テスト)で、失敗したと感じたときです。2日間とも手ごたえが悪くて、こんなに頑張ったけれど、もうダメかもしれない。私は東大に受け入れてもらえないのだと落ち込んでしまいました。

その後、一旦冷静になり、勇気を出して自己採点をしてみたら、思っていたほどは悪くはなくて、まだ対処ができる状態だったんです。情報収集をしたら、みんな出来がよくなくて、平均点が下がりそうだということもわかりました。

現実を正しく把握することで、なんとかなる状況ということを理解し、次のアクションに向かうことができたので、一旦冷静に状況分析することは大切だと刻まれた経験です。

——「勉強がすごくつらかった」という時期はあまりなかったのですか?

幼稚園の頃から公文式をやっていたこともあると思うのですが、やりたいことではないものの、するのが当たり前で日常だったので、その点では特に苦にならなかったです。毎日歯磨きするのと同じ感覚です。

人と比べることがなかったのも、勉強がつらくならなかった理由だと思います。小さい頃から勉強習慣はあったのですが、プレッシャーをかけられる家庭環境でもありませんでしたし、誰かに勝ちたいとか、あの子はできてるのに自分はできてないとか、考えることもありませんでした。

——学生時代も、社会人になってからも、「勉強してよかった」と思うときはどんなときでしょうか?

勉強を通して身についたPDCAを回す力や、計画や段取りをする力、忍耐力、情報収集力などが、今でも役立っている感覚があります。仕事でも何か達成したいことがあるとき、がむしゃらに始めるのではなく、一旦方向性を決めてから、これをいつまでに終わらせようといった形で、最短距離で進められるようになったと感じます。

また、勉強するときは自分と向き合う時間がすごく大事になるとも思うんです。本でも「自分会議」のことを書いていますが、勉強を通じて自分のことをよく知ることができて、仕事でも日常でモヤモヤしたときの解決策にも活きています。

自分としてはまだまだ足りないと思っているのですが、勉強することで、最低限の教養や知識を身につけることができて、知っているからこそ会話が盛り上がった場面もありました。勉強によって、世界や選択肢が無意識に広がる感覚はあるので、これからも学び続けたいです。

 

『自分のペースで楽しく続く! 大人のごきげん独学術』(KADOKAWA)
『自分のペースで楽しく続く! 大人のごきげん独学術』(KADOKAWA)

【プロフィール】
みおりん

勉強法デザイナー。地方の公立高校から東大を受験するも、高3では大差で不合格に。1年間の自宅浪人の末に東大文IIIに入学し、その後法学部へ進学。3年生修了と同時にカナダでのワーキングホリデーに挑戦し、2019年3月に同大学を卒業。都内のIT企業での勤務を経て、2020年に独立。

YouTube「みおりんカフェ」(チャンネル登録者数17万人/ 2025年7月時点)をはじめとした各種SNSでは、「すべての人にごきげんな勉強法を」をコンセプトに、子どもから大人まで使える楽しい勉強法を紹介。総フォロワー数は27万人を超える。その他、学校や図書館等での講演、テレビやラジオ番組への出演も多数。

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