水だけじゃダメ…?夏の正しい「水分補給法」とは|管理栄養士が解説
「水を飲めばなんとかなる」と思っていませんか? たしかに、水分補給はとても大切です。けれど、実は“水だけ”では足りないことがあります。 こまめに水を飲んでいるのに、なぜか体が重い、夕方になるとぐったりしてしまう。 そんな経験がある方にこそ知っていただきたいのが、「水分の飲み方」と「体のしくみ」の関係です。 今回は、管理栄養士の視点から、「疲れない夏」をつくるための水分補給の工夫をご紹介します。
水を飲んでいるのに疲れるのはなぜ?
汗には水分とともに、ナトリウムやカリウムなどの電解質も含まれています。
湿度の高い日本の夏では発汗が続きやすく、水だけを飲んでいると体液が薄まりやすくなります。
めまい・頭痛・だるさ・集中力の低下などが起こり、重症化するとけいれんや意識障害につながることもあるため注意が必要です。
夏の水分補給におすすめの飲みものは?
水だけでは失われた塩分やミネラルは補えません。
以下のような飲み物を活用することで、脱水やだるさを予防しやすくなります。
● 麦茶・ルイボスティー(無糖)
ノンカフェインで体にやさしく、マグネシウムやカリウムなどのミネラルを含みます。
冷やしすぎず、常温で飲むのが吸収の面でもおすすめです。
● 水+塩+レモン果汁
レモン果汁と塩を少量加えることで、電解質を補える簡単な補水ドリンクになります。
甘くないため食事にも合わせやすく、スポーツドリンクが苦手な方にも適しています。
● 無調整豆乳+塩少々
たんぱく質やミネラルが含まれる豆乳に、ひとつまみの塩を加えると、手軽な栄養補給ドリンクになります。
朝食や間食に取り入れるのもおすすめです。
● スポーツドリンク(飲みすぎに注意)
水分とともにナトリウムや糖質を効率よく補えるため、運動中や大量に汗をかいたときにおすすめです。
ただし、糖分が多いため、日常的には控えめにしましょう。
氷水よりアイススラリーが良いって本当?
実は、氷水よりも“アイススラリー”の方が体温を効果的に下げられることが知られています。
アイススラリーとは、半解凍のシャーベット状にした飲みもので、内臓を冷やして深部体温を下げる働きがあるため、お風呂上がりや寝苦しい夜にもおすすめです。
経口補水液は日常的に飲んでもいい?
経口補水液(ORS)は、熱中症や脱水状態のときには非常に有効な飲みものです。
しかし、ナトリウムや糖分の濃度が高いため、普段の生活で常用するのはあまりおすすめできません。
健康な人が日常的に飲むと、塩分・糖分のとりすぎになる可能性があり、かえって体に負担がかかることもあります。
飲むタイミングとしては、以下のようなケースに限るのが理想です。
普段は、麦茶や水に梅干しや塩分タブレットなどを組み合わせるだけでも十分です。
経口補水液は「お守り」として持ち歩くくらいの使い方がちょうどよいでしょう。
夏の水分補給は、量だけでなく“質”を意識しましょう!
水分は、体温調節だけでなく、代謝・血流・栄養の吸収や運搬にも関わっています。
つまり「何をどう飲むか」によって、体調やパフォーマンスが大きく左右されるのです。
一気にたくさん飲むのではなく、こまめに少量ずつとることも大切なポイントです。
この夏は、“水分の質”を意識して、疲れ知らずの体をつくっていきましょう。
【参考】
消費者庁. (n.d.). 経口補水液の適切な利用について.
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