塩分を摂りすぎると喉が渇くのはなぜ?塩分を摂りすぎて喉が渇いた時に食べるべきものとは|栄養士解説
「ラーメンを食べた後、喉が渇いて水を飲まずにはいられない」そんな経験をしたことはありませんか? ラーメンは、スープまで飲み切ると厚労省が定める1日分の目標量(成人1人1日当たり男性7.5g未満、女性では6.5g未満)に匹敵するほどの塩分を含みます。この大量の塩分が体内にとり込まれることで、体内では様々な反応が起こりますが、その一つが「喉の渇き」なんです。今回は塩分の取りすぎにより私たちの体の中で起こることをわかりやすく説明し、取りすぎたときの対処法について紹介します。
塩分のとりすぎ!そのとき体内で起こっていること
塩分(ナトリウム)を摂りすぎると、血液中のナトリウム濃度を正常に戻すため、生理的な働きが起こります。それは、このような流れです。
①摂取した塩分がナトリウムとして血液中にとり込まれる
②ナトリウムが一定の濃度を超えると、体内は「浸透圧の上昇」の状態になる
③口渇中枢が刺激され、「水を欲しがる」状態になる
④水を飲む→血液中に水分が吸収される
⑤血液中の水分が増加し、浸透圧が正常になる
この流れをみると、結果的に正常になるのだから問題ないのでは?と思われる方もいらっしゃるかもしれません。ですが、そんなことはないのです。塩分を摂りすぎが続くと、体重増加や命に関わるリスクになる。
上記の⑤になると、血液中の水分が多く、つまりは血液量が増えている状態です。その後、腎臓の働きにより、尿となり体外へ排泄されるので、一時的には大きな問題にはなりません。
ですが、この状態を習慣的に繰り返していると、慢性的なむくみの原因になり体重増加、高血圧の状態になりやすくなります。高血圧は、心疾患や脳出血や脳梗塞など、命に関わる病気のリスクです。美容面でも健康面でも、塩分の摂りすぎが習慣化しないように注意したいところ。
塩分を摂りすぎて喉が乾いた時にすること
塩分摂取による喉の渇きを感じた時には、体内のバランスを保つことが最優先。喉の渇きに応じて、いえ喉の渇きが感じる前に、しっかりと水分を摂りましょう。
重要なのは、そのあとの過ごし方です。早いうちに塩分の摂りすぎをリカバリーしていくが必要です。意識してすべき2つのことを紹介します。
塩分の摂りすぎが慢性化せず、健康面や美容面でメリットが多くあります。
すること①野菜を多めに摂る
野菜に多く含まれるカリウムは、体内の余分な塩分(ナトリウム)を体の外に排出させる働きがあります。カリウムは水溶性の成分であるため、茹でたり、煮たりすると水に溶け出します。カリウムを効率的にとるには、生野菜サラダ、煮汁ごといただく野菜スープなどがおすすめです。しかしここで、ドレッシングをかけすぎや味付けが濃くなるなどしては再び塩分の取りすぎの原因に。酢やレモン汁、スパイスなどを活用して、塩分は控えめにさっぱりといただく工夫をしましょう。
すること②食事を腹八分にする
塩分の取りすぎと同時に、食べ過ぎが起こっていることが多くあります。この状態が続くと体脂肪増加(肥満)の原因にもなるので、心当たりのある方は次の食事、翌日の食事で腹八分にして調整をしましょう。そうすると自然と塩分の取りすぎも落ち着いてくるでしょう。
食事前にコップ1〜2杯程度の水を飲むことは、腹八分を実践しやすくなるのでおすすめです。
まとめ
塩分を取りすぎて喉が乾くメカニズム、そのときの対処法について紹介しましたがいかがでしたか。
冒頭でラーメンを悪者のように書いてしまいましたが、そんなことはありません。何事もメリハリが重要です。食べるときはとことん味わって、そのあとは野菜を多めにとる、腹八分にする、でバランスをとっていきましょう。
参考資料:
AUTHOR
瑞樹
⼤学を卒業後、⼤⽇本印刷グループ⼊社。社員⾷堂運営、従業員の健康管理事業、特定保健指導。その後、レシピアプリを提供するIT系ベンチャー企業に⼊社し、栄養⾷事指導、記事執筆サービス企画など。現在は管理栄養士・琉球料理伝承人として、食・栄養に関する執筆やメディア出演、伝統料理の伝承・普及活動を行う。
- SHARE:
- X(旧twitter)
- LINE
- noteで書く