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産後のリアル！米大規模調査｜約７割の母親が産後3年経っても「まだ元通りじゃない」と回答

山口華恵 2025-08-05

赤ちゃんが無事に生まれた瞬間、多くの女性が「これでひと安心」と思うかもしれない。しかし、本当の意味での回復はそこからがスタートである。アメリカで実施された最新調査によると、出産後３年経っても「まだ回復していない」と感じている母親は、なんと3人に2人にも上ることが明らかになった。

2人目以降の産後はより回復に時間がかかる

「出産経験を重ねれば体も心も慣れていく」と考えがちだが、現実はそう単純ではない。調査では、47％の母親が「2人目以降の方が回復に時間がかかった」と回答した。年齢や体力の問題に加え、上の子どもの世話で自分のことに時間を割けないという現実も、回復を遅らせる大きな要因となっているようだ。米ニューオーリンズ州の助産師ティシャ・シガース氏は「2人目以降の出産では骨盤底筋のゆるみや筋力の低下、慢性的な睡眠不足といった影響が蓄積されやすい」と語る。また、年齢が上がるごとに回復のスピードが落ちやすいという点にも言及した。

体が回復しても、心の状態が追いついていない母親は多い

「体の痛みがなくなったから元気になった」と思われがちだが、実際には心の回復が遅れている人が多いのも事実だ。調査では、43%の母親が「心の回復に8週間以上かかった」と答え、身体的な回復（平均4週間）よりも時間を要することが分かった。中には、産後うつや不安障害など、出産後1年を過ぎても症状が続くケースも。ロチェスター大学の助産師ミシェル・バートナー氏も、「多くの女性が、体は回復しても心の調子が整わないまま育児に向き合っている」と指摘している。

「自分のケアは後回し」…罪悪感に苦しむ母親たち

出産後の生活では、赤ちゃん中心の毎日が続く。その中で「自分の体をケアする時間を取れている」と答えたのはわずか3割だった。しかも、48％が「出産後、自分のケアが減った」と回答している。さらに、「自分のことを優先すると罪悪感を覚える」と答えた母親は約8割。本当はもっと自分を大切にしたいのに、それが「わがまま」や「手抜き」だと感じてしまうジレンマを、多くの母親が抱えているようだ。

回復の鍵は「自分をいたわること」

では、産後の体と心をいたわるために、母親たちはどうすればいいのだろうか。助産師たちは、以下のような具体的なアドバイスを挙げている。

体のサインに耳を傾ける・・・無理をすると出血が増えるなどの兆候が出る。そのサインを見逃さず、すぐに休むことが大切だ。
運動は準備が整ってから・・・軽い運動は心身の回復に効果的。焦らず、自分のペースで始めること。
栄養と水分をしっかり取る・・・回復中の体にはエネルギーが必要。小さな子どもがいて忙しい時こそ、栄養バランスのよい食事と水分補給を忘れずに。
助けを求める勇気を持つ・・・「何か手伝おうか？」という言葉には遠慮せず、具体的に「洗濯物を取り込んでほしい」「20分だけ赤ちゃんを見て」と家族にお願いしてみよう。

母親業は想像とは違うことだらけだが、美しさが潜んでいる

調査では、62%の女性が「出産前の自分に戻れていない」と感じていると回答した。しかし、それは決してネガティブなことではない。「出産後の変化で自分が変わったとしても、それは“新しい自分”を見つけるチャンス」と語る母親もいる。見た目が変わっても、感情が不安定でも、それは“失った”のではなく、“生まれ変わった”ということなのかもしれない。助産師のシガース氏は、「母になる旅は、想像とは違うことだらけ。でも、その“想定外”の中には、かけがえのない美しさが潜んでいます」と語る。