産後2年で18kg減量成功!ダイエット中に悟った…自分を苦しめる「完璧主義」の手放し方【経験談】

 『自分を褒めまくることがダイエットへの近道でした』(KADOKAWA 漫画:あきばさやか)より
『自分を褒めまくることがダイエットへの近道でした』(KADOKAWA 漫画:あきばさやか)より

ボディメイクのコンテストで優勝経験のある、ダイエットアドバイザーのかのまんさん。実は過去に、産後のストレスでむちゃ食いをし、急激に太ったこともありました。『自分を褒めまくることがダイエットへの近道でした』(KADOKAWA 漫画:あきばさやか)には、産後の生活や、パーソナルトレーニングとの出会い、2年で18kg痩せた経験が描かれています。後編では、ダイエットとメンタルの関連性や、ダイエットを通じて完璧主義を手放せたこと、自分を好きになるダイエットのヒントについて伺いました。

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食べることでしか癒せないくらい、ストレスを抱えている

——かのまんさん自身は産後の生活がきっかけで過食が始まったとのことでしたが、ダイエットとストレスの関連性について、どうお考えでしょうか?

たくさん食べて太ってしまったときに、ストレスが無関係なことはほぼないと思います。私はストレスと過食が直結するタイプですが、どうでもいいものを食べて、自分をないがしろにしている、つまり自分を大切にできていない状態だと分析しています。過食は自傷行為に近い部分もあるのではないでしょうか。

私の場合、過食の始まりは育児ストレスが大きかったものの、職場の人間関係や仕事のプレッシャーなど、みなさん日々何かしらストレスを抱えて生活していて、その影響で暴飲暴食した結果、太ってしまうことはありますよね。

——食べている瞬間に、ストレスの原因が頭の中から消えていく感覚があるのはわかります。

産後の時期は、味わいながら食べるわけでもなく、胃に詰め込んでいく作業をしているときだけが心を無にできる唯一の楽しみでした。

軽いストレスだったら、友達とおしゃべりしたり、趣味の好きなことをしたりするだけで解消できるのに、食欲にすがるしかないくらい追い詰められているということ。「自分は相当ストレスが溜まっている」ということを、認めて受け止めてあげないと先に進めないと思います。

——ストレスから食べてしまって、過食した自分を責め、さらにストレスを抱える……という悪循環に陥ることもありますよね。

太った理由について「私は意志が弱くて自分に甘いから」とおっしゃる方は少なくないのですが、そうなるには理由があるんです。

ダイエットは食事管理が8割、運動が2割と言われていて、大事なバランスではあるのですが、その土台はメンタルだと思います。メンタルというお盆の上に、食事管理と運動が乗っているイメージです。お盆が傾いたら上に乗っているものもバランスを崩してしまう。それくらいメンタルは大事だと思います。

『自分を褒めまくることがダイエットへの近道でした』(KADOKAWA 漫画:あきばさやか)より
『自分を褒めまくることがダイエットへの近道でした』(KADOKAWA 漫画:あきばさやか)より

ダイエットを通じて、完璧主義を手放せた

 ——かのまんさんは完璧主義であるとも描かれていました。ダイエットの過程で自分を褒められるようになる過程が描かれていますが、最初は自分を褒めることが難しくなかったですか?

そもそも自分が完璧主義だと気づいていなかったんです。完璧主義というと、身だしなみが常に整っていて、部屋が綺麗で、家事もパーフェクトで……といった人を思い浮かべていました。でも私は部屋はグチャグチャだし、夏休みの宿題はいつもギリギリだったので……。

でも本来の完璧主義とは、「白黒思考」とか「0か100思考」のこと。たとえば私は子どもの離乳食について調べて「子どものためにはこうするといい」という情報を得たとき、自分のポテンシャルに合わない挑戦をしていました。もちろん無理しているので続かなくて、「情報通りにできないなら意味がない!」と思う点で完璧主義でした。

周りがいくら「手を抜いてもいい」と言っても「こうしなければ完璧な母親じゃない」と思っているから耳に入らなくて。その点では「我が強い」とか「強情」とも言えるかもしれません。「自分はダメな人間」だと思っているので、「ちゃんとしたお母さんにならないと」という気持ちが強かったです。

——ダイエットにおける完璧主義とは?

たとえば、「5分だけ筋トレしても意味がない」と思ってしまうとか、チョコレートを一口食べたら、「もうダメだ!」と思ってドカ食いしちゃうとか。

「理想通りに100点を取れないならどうでもいい」という、破壊衝動に近くて自暴自棄になりやすいのが私の思う完璧主義の特徴です。

そんな自分に気づいて「もっと柔軟に考えよう。0か1でいいのだ」と思えるようになってすごく楽になりました。たとえ今日大食いしてしまっても、1分でいいからスクワットしようと。「何もやらないよりはマシだ」を合言葉にしました。1点を繰り返せばいつかは100点になりますから。

ダイエットに関する発信をしているものの、体型を変えたり痩せたりすることだけが幸せではないと思っています。私はダイエットの過程で、自分の凝り固まった考え方を変えるきっかけになりました。そして、生き方を見つめ直した結果、幸せを感じやすくなったことはダイエットを通じて得たことです。

——かのまんさんは運動が嫌いだったとのことですが、筋トレのやる気が出ないときはありますか?

やる気は、ないときはないです。やる気がAmazon定期便で届けばいいですけど、待てど暮らせど届かない日も(笑)。「行動を起こさないとやる気は起きない」と言われますが、やる気がないから動けないのにって思います。

筋トレを1日10分もやりたくない日もあるので、そういう日は「トイレ行くときに1回スクワットするぐらいでもいいかな」と考えてみる。そうやってハードルを下げて下げて行動した結果、やる気が起きるときもあることを経験してきました。

目標を立ててやってみたものの、三日坊主で終わってしまったのなら「それはまだ自分には早かった」と考えるようにしています。もっとハードルを下げてみたり、スモールステップをクリアしてから次に進むようにしたりと、自分がきついと思うことを避けながらやってきた結果、継続ができました。

心を支えるために、必要な身体の大きさだった

——かのまんさんがやってきたことは自分を好きになるダイエットだと思いますが、自分を嫌いになるダイエットとどんなところが違うのでしょうか?

自分を嫌いになるダイエットとは、自己否定型の努力だと思います。自分の心の穴を砂で埋めるようなもの。私も以前はそういう気持ちでダイエットしていました。結局穴は開いているので、できなかったときに穴が見えるから苦行でした。

でも本来、穴なんてないんです。架空の「普通」の人と比べるから、自分に穴があるような気がして埋めようとしてしまうんです。今の私がスタート地点であり、そこから階段を一段上がるだけで違う世界が見える。今できることを毎日繰り返していくと、変わっていきます。

SNSで見る美しい人たちの投稿は、あくまでその人の一部分を切り取ったダイジェスト。ファンタジーとも言えます。私はキラキラした部分だけを見せる人にはなりたくないので、大食いしている姿もSNSに上げています。

——個人が自分の理想的な体型になりたいと願うこととは別で、「産後太り」「産後ダイエット」という言葉が見られるように、世間には「産後も痩せるべき」というメッセージがありますが、今悩んでいる方にメッセージをいただけますか。

赤ちゃんを産んだという偉業を成し遂げていて、表面的には傷が見えなくとも、体内は交通事故に遭ったのと等しい状態なんて言われています。

産後は身体の回復に努める時期が必要です。それにどうしても寝不足になりますが、寝不足はダイエットの天敵。そういう状況下で、太ってしまうのは当然なので、自分を責めないでくださいね。

「自分が太ったことは頑張った勲章だ」と受け止めて褒めてあげてほしいです。身体は心の入れ物なので、頑張ったからこそ、身体が受け止めようとして膨らんだのだと。自分の心が入る容器として身体が存在していると思えば、「今、こんなに大きくないと受け止められないくらい、心がパンパンでつらいのね」と、必要な時期だったと思えるようになるのではないでしょうか。

それに、体型を変えたいと思うのであれば、何歳からでも遅くありません。私も34歳でボディメイクを始めましたが、それまで一切運動したことはなかったものの、大会で優勝するくらい身体を変えられました。産後太りから生活を変えられた事例も知っていただけたらと思います。

——自分のことが嫌いになっている状態から、自分を好きになるために、すぐに始められることはありますか?

自己肯定感が下がっている状態から急に「自分を褒めたり好きになったりしましょう」と言われても難しいですよね。1日3個、寝る前に、小さなことでいいので、できたことやよかったことを考えてみてほしいです。「外に出て空気を吸って気持ち良かった」とか「トイレで座る前に空気イスをやった」とか、どんな些細なことでもいいので。

その積み重ねで、自分を大事にする気持ちが愛に変わって、挑戦する勇気も出てきて、行動に移せると思います。

『自分を褒めまくることがダイエットへの近道でした』(KADOKAWA 漫画:あきばさやか)
『自分を褒めまくることがダイエットへの近道でした』(KADOKAWA 漫画:あきばさやか)

【プロフィール】
かのまん

1984年生まれ。男児を子育て中の歯科衛生士兼ダイエットアドバイザー。著書に『人生が変わる!かのまん整形級ダイエット』(永岡書店)など。

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雪代すみれ

雪代すみれ

フリーライター。企画・取材・執筆をしています。関心のあるジャンルは、ジェンダー/フェミニズム/女性のキャリアなど。趣味はヘルシオホットクックでの自炊。



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『自分を褒めまくることがダイエットへの近道でした』(KADOKAWA 漫画:あきばさやか)