「手のひらが赤い…」病気のサイン?医師が解説
手のひらが赤いという症状は、ある病気のサインの場合があります。医師が解説します。
手のひらが赤くなる病気とは?
手のひらが赤くなる症状は、いくつかの病気や状態で見られます。
代表的な病気・原因のひとつは、肝疾患(肝掌/かんしょう)です。
その特徴は、手のひらの母指球・小指球(親指や小指の付け根)が対称的に赤くなります。
発症原因は、肝硬変や慢性肝炎などで、ホルモン代謝異常(エストロゲン上昇)が関与しています。
主な合併症は、くも状血管腫、黄疸、腹水などが挙げられます。
関節リウマチで、手の関節に炎症があると、血流増加により掌が赤くなることがあります。
多血症(真性多血症など)の特徴として、血液が増えて血行がよくなり、手のひら・顔などが赤くなる症状があります。
甲状腺機能亢進症(バセドウ病)でも、新陳代謝亢進による末梢血流増加で手のひらが赤くなったり、動悸、体重減少、発汗過多などの症状がみられることがあります。
アトピーやアレルギー、手湿疹では、炎症や皮膚バリア障害により掌が赤みを帯びるケースが散見されます。
手のひらが赤い…病気のサイン?
手のひらが赤い時には、特に肝機能低下が疑われます。
「肝臓病」のサインのひとつとして、手のひらが赤くなる所見がみられることがあり、手掌紅斑が考えられます。
手掌紅斑
肝疾患や肝硬変を抱える患者さんにみられる皮膚所見のひとつです。
主に、手掌、特に母指球、小指球および指の基節部に認める紅斑であり、圧迫すると消失し、圧迫を解除するとすぐにまた赤くなるという特徴を有します。
一般的に、手掌全体の皮膚の色調は、手を心臓の位置より下方に置くと血流移動によって手掌全体の色調は赤くなり、また逆に手を心臓の位置よりも上方に置くと手掌全体の色調は白くなると言われています。
手掌紅班においては、母指球、小指球、指の基節部に紅班が局在するために、相対的に手掌の中心部は白くなるという点が認められ、紅班部分と周辺部分との色調のコントラストを十分に評価するのが重要です。
実際の診断場面では、五本の指を軽く広げて伸展させて、心臓より高い位置で手掌を診察することによって色調のコントラストが明瞭となると考えられています。
まとめ
手のひらが赤いという症状は、時に肝機能低下(肝疾患)のサインであることがあります。
肝疾患に伴う特徴的な皮膚症状としては、手のひら、特に親指の付け根(母指球)と小指の付け根(小指球)が左右対称に赤くなり、圧迫すると色が一時的に薄くなるが、すぐ戻る特徴があります。
肝機能が低下すると、女性ホルモン(エストロゲン)代謝がうまくいかず、血管が拡張しやすくなるため、発症します。
手のひらが赤くなる、健康診断で肝機能異常(AST・ALT・γ-GTP)が指摘される、疲れやすい・むくみやすい・内臓症状があるなどの場合には、肝疾患を疑って、消化器内科や肝臓内科など専門医療機関を受診するようにおすすめします。
今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。
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