自信のなさを”改善しない”対処法?自分に自信がないことと上手に付き合っていく方法【心理士監修】
この記事では、「自分に自信がない」こととうまく付き合っていく秘訣を3つにまとめて解説します。 「自信がない状態を努力して改善しよう」という直接的なアプローチではなく、「自信がない状態をそのまま受け止めるところから始めよう」という、心理学の理論に基づいたアプローチです。 自信が持てない・自己肯定感が低いとお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
自分に自信がない人の特徴
優しい
自分に自信がない人は、「優しい」と人から言われることがあります。
自分を犠牲にしてまで人の頼みを引き受けてしまうことはありませんか。これには「人の役に立って初めて自分の価値が生まれる」といった心理があると考えられます。自分に自信がない人は、自分を大切にすることが苦手なことが多く、この側面は一見すると”優しさ”に見えることがあるのです。
人が怖い
自分に自信がない人は、他人からの評価で自分の価値を認識する傾向があります。そのため、他人からの評価が低いと、自分には価値がないと感じてしまうことがあります。そして、評価を意識しすぎるがゆえに、「人が怖い」と感じることがあります。
他人に流されやすい
自分に自信がない人は、他人に流されやすいという傾向を持つ場合もあります。
例えば会社や学校で意見を求められたとき、自信のない人は他人の意見に同調してしまうことがあります。なぜなら、自分の考えに確信を持てないからです。その結果、他人の意見に同調しておけば間違いない、という考えになってしまいがちです。
褒められても素直に喜べない
自分に自信がない人は、自分自身を低く評価しているため、他人からの肯定的な言葉を疑ってしまうことがあります。
自分が良い結果を出したとしても、「たまたまうまくいっただけ」「周囲のおかげ」と自分以外のおかげと考える傾向があるのです。自分の長所を褒められても、「そんなことない」や「何か裏があるのでは?」と疑念を抱えてしまうこともあります。
自分で決断することを避ける
自分に自信がない人は、自分自身の意見よりも、親や教師などの他人の意向を重視して物事を決めてしまいやすい傾向があります。「他人の意見に流されやすい」という特徴にも似ていますが、これは「自分ではなく誰かの意見に従う方が安心できる」と感じるためです。
新しい挑戦に慎重になる
自分に自信がない人は、「どうせ自分にはできない」という思考になりがちです。このような思考は、挑戦する前から自分を制限してしまい、結果として今までと同じような選択をしがちで、新しい挑戦には慎重になる傾向があります。
自分に自信を持てない原因
自分に自信を持てないことの原因には、どのようなものがあるのでしょうか。
完璧主義
完璧主義な性格も、自信を持ちにくい原因の一つとなることがあります。自分に対して非常に高い目標を持っていると、それに達していないと感じるときに自己評価が低くなってしまいます。完璧主義の人は、何かを達成したとしても「まだまだだ」と自分を厳しく評価し、苦しめてしまうことがあります。十分に頑張っているのに、本人は自分の成果に満足できず、それが自信を持ちにくい原因となるのです。
失敗経験を引きずっている
人は、時には失敗を経験するものです。しかし、その失敗をいつまでも引きずっていると、自信を持ちにくくなってしまいます。
特に、自分にとって重要な場面での失敗は、自分への信頼やこれまでの努力を一気に否定されたかのように感じられ、深い傷となる場合もあります。そのときに、失敗の原因を自分の能力に紐付けて引きずってしまうと、自分の能力や価値に疑念を抱えるようになり、自信を持つことが難しくなることがあります。
親・家庭環境
上述のような個人の特性や経験以外にも、親や家庭環境が自信のなさに影響する場合もあります。(※1)
例えば、夫婦間の口論を聞いた子どもは、その原因が自分にあると感じ自己否定に陥ることがあります。また、親の離婚を経験した子どもが、「自分が良い子に振る舞っていなかったからだ」と自分を責めてしまうケースも存在します。
こうした状況が、自信のなさにつながる場合もあるのです。
自分に自信がない時の対処法
それでは、ここからは「自分に自信がないこと」とうまく付き合っていく秘訣を3つご紹介します。
この記事では、「自信がない状態をそのまま受け止めるところから始めよう」という、アクセプタンス&コミットメント・セラピーという心理学の理論に基づいたアプローチをご紹介します。
自信をつけてから行動するのではなく、行動して自信をつける
多くの人は、何か新しいことに挑戦する前に自信を持ちたいと考えます。しかし、自信を持つこと自体が難易度が高く、なかなかうまくいかないものです。
例えば、突然「自信に満ちた状態になれ」と言われても、そう簡単にはできませんよね。しかし、「右手を挙げる」といった具体的な行動はすぐにできます。
この違いからもわかるように、気持ちをコントロールすることは難しい一方で、行動を起こすことは比較的簡単です。そのため、まず行動することが大事です。
では、なぜ行動することで自信がついてくるのでしょうか。それは、具体的な行動を通じて、少しずつ自分の能力を実感し、それが自信に変わっていくからです。
ここで、例を元に考えてみます。あなたは英会話を学ぶことに興味があるとしましょう。
最初から「私は絶対にペラペラになれる自信がある!」とはなかなか言えないかもしれません。そこで「行動→自信」のアプローチを取ります。
まず、少しでもいいので英語のフレーズを覚えて、友人や家族に話してみる。次に、英会話クラスに参加してみる。このように、具体的な行動をしてみることで、自分が少しずつ成長していることを実感することができていきます。これが自信に繋がり、また次の行動をしていける、という良いサイクルが回り始めるのです。
「自信がない自分」ではなく「一瞬一瞬の自分」を感じる
「自分に自信がない」という考えは、しばしば私たちの行動や思考を制限します。
しかし、「自分には自信がない」という考えは、よく考えてみると、自分がそう思っているというだけかもしれません。
したがって、自分が作り出した考えにとらわれるのではなく、今、この瞬間に目の前にあるものや、感じていることに意識を向けることが重要です。この意識の在り方は「マインドフルネス」と呼ばれます。
では、マインドフルネスはどのようにして実践するのでしょうか。
まず、外界の刺激に意識を向けてみましょう。今見ている景色はどうでしょうか。音や香りにも注意を払ってみてください。次に、これらの刺激を受け取ったときの自分の感情や感覚に気づくよう努めます。
例えば、呼吸に意識を向けるのも良い方法です。深呼吸をしながら、吸う息と吐く息の感覚に意識を集中させましょう。また、歩いているときや食事をしているときにも、足音や味覚、食感に注意を向けてみましょう。
このような練習をすることで、私たちは「自信がない」というネガティブな言葉に囚われることなく、「一瞬一瞬の自分」に気づくことができます。そして、その一瞬一瞬を大切に生きることで、ストレスや不安を和らげ、より積極的な気持ちを持つことができるようになります。
「自分に自信がない」と思っている自分を大切にする
友達が失敗したり、困難な状況に直面したとき、どんな言葉をかけるでしょうか。きっと、その友達に優しい言葉をかけるのではないでしょうか。しかし、自分自身のことになると、同じような困難な状況にあったとき、何故か厳しい言葉で自分を非難することがあるのです。それではさらに自信を無くしてしまいます。
困難な状況にある時、自分に対しても優しく、理解を示す姿勢が大切です。これを「セルフコンパッション」と呼びます。このセルフコンパッションを実践すると、心に余裕が生まれ、ポジティブな行動を取りやすくなります。
では、具体的にどのようにセルフコンパッションを実践するのでしょうか。
まず、自分が苦しんでいることに気づくことが大切です。そして、その苦しみに対して、「自分は一生懸命頑張ってきた」と優しい言葉をかけるのです。自分ができる限りの努力をしていることを認めることが必要です。
そして、「今回失敗したのには何か意味があるのかもしれない。これからもっと学んで成長していければいい」と前向きな気持ちで自分を励ましてみましょう。そうすることで、少しずつ、「自分に自信がない」という苦しい状態から抜け出せるようになっていきます。
おわりに
いかがだったでしょうか。今回は、自信がない状態を正面から改善するアプローチではなくて、行動してから自信をつける、一瞬一瞬の自分を感じる、自信がない自分を大切にする、といったアプローチをご紹介しました。興味があるものがあれば、ぜひ取り組んでみてください。
※この記事はAIメンタルパートナーアプリ「アウェアファイ」と連携しています
<参考文献>
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