「怒られるのが怖い…」必要以上にビクビクする気持ちの正体と3つの対処法|臨床心理士が解説
「いつも『怒られたらどうしよう』と不安な気持ちでいっぱい」「『怒られるのではないか』とビクビクしながら仕事をしている」そんな悩みを抱えていませんか?怒られることにネガティブな気持ちを持つのは自然なことですが、過剰な不安や恐怖は日常生活や仕事に支障をきたす原因にも。今回は怒られることにビクビクする原因や対処法について解説します。
怒られることが怖い原因
ビクビクするほど「怒られることが怖い」と感じる背景には、3つの要因があります。
過去の体験によるトラウマ
怒られる体験は心に深い傷(トラウマ)を残すことがあります。
例えば、次のような経験がトラウマとなります。
・「バカ」「役立たず」などの言葉で人格を否定された
・平手打ちなどの体罰を受けた
・怒らせた相手から無視され続けた
・人前で激しく叱責され、恥ずかしい思いをした
こうした体験をした人は、「誰かを怒らせると、また同じように苦しい思いをする」と無意識に感じるようになってしまいます。そのため、怒られそうな状況になると、当時の記憶や感情がよみがえり、強い不安や恐怖を覚えるのです。
自分のすべてが否定されたように感じる
例えば「お皿を割ってしまい、怒られた」という場合、怒られているのは「お皿を割った」という行為だけであり、その行為さえ改善すれば問題は解決します。あなた自身の存在や価値を否定されたわけではありません。
しかし、怒られることにビクビクしている人は、その注意を「自分のすべてを否定された」「自分は価値のない人間だ」と自己否定的に捉え、深く傷ついてしまいます。そのため、「また自分を否定されるのでは」と恐れ、怒られることに強い不安を感じます。
怒られている時の他者の目が怖い
怒られている最中に周囲の人の視線や態度を強く意識してしまうことも、恐怖を増幅させます。
・みんなに自分のダメな部分を見られている
・恥ずかしい思いをしている
・劣っていると感じる
そんな劣等感や羞恥心が、怒られることへの不安をより大きくしています。
怒られてもビクビクしない対処法
「怒られるかもしれない」という不安を和らげるための対処法をご紹介します。
怒られる事態をできるだけ予防する
自分がよく怒られる場面やパターンを振り返り、事前に対応することが大切です。
例えば、次のような流れです。
・怒られた経験を振り返る(例:プレゼン資料の提出が遅れた)
・なぜ怒られたのか原因を考える(例:締切管理が甘かった、進捗報告を怠った)
・改善策を考える(例:スケジュールの見直し、こまめな報連相)
「うまくやれなかった」と自分を責めるだけで終わらずに、「それなら次はどうすればいいか」を考える視点に切り替えることが大切です。
怒られた時に感じる感情や思考を分析してみる
怒られた時に感じたことを、【出来事】【感情】【思考】に分けて、冷静に書き出してみる方法も有効です。例えば、次のように書いていきます。
1.【出来事】客観的な事実を記述します。
(例)プレゼン資料作成が間に合わず、上司に「間に合わないと思った時点で相談して」と叱責された
2.【感情】上記の【出来事】が起きたときの感情を数値で示します。
(例)恐怖50%、恥ずかしさ80%
3.【思考】上記の【出来事】が起きた時に浮かんできた思考を書きます。
(例)「私はダメ人間だ」「私は価値のない人間だ」
4.【別の思考】今回の【出来事】に対し、より現実的で自分を責めすぎない考え方を探し、その場合の感情を書き出してみます。
(例)「すぐに相談しなかった行動が問題だっただけ。人間性まで否定されたわけではない」 恐怖30%、恥ずかしさ50%
このように思考を整理し、より柔軟に考えてみることで、「怒られること=自分の全否定」ではないと理解しやすくなります。
理不尽に怒られた時には誰かに相談を
自分に向けられる「怒り」が正当とは限りません。ビクビクするのが当然なほど理不尽な言い方をされたり、過度に叱責されたりなど「もしかしてハラスメント?」と感じたら、以下のような相談先を検討しましょう。
・家族や友人など気軽に話せる相手
・信頼できる同僚や上司
・社内外のハラスメント相談窓口
自分1人で考えていると、明らかにハラスメントに該当するような言動に対しても、「怒らせた自分が悪いのかも」「自分さえ我慢すれば丸く収まる」と思い悩んで動けなくなってしまいます。
信頼できる第三者に相談すると、自分の気持ちや状況が整理できてスッキリしますし、具体的な解決策を考えることもできます。
まとめ
怒られることにビクビクしてしまう背景には、
・過去の経験
・自己否定の傾向
・周囲の目への過敏さ
など、さまざまな心理的要因があります。
しかし、そうした不安は、怒られる事態を予防したり、怒られたときの自分自身の感情・思考を分析したりすることで、少しずつ和らげることができます。
また、暴言や暴力が横行するような、ビクビクして当然の環境に置かれている場合もあります。その場合は自分1人で悩まず、誰かに相談することも大事です。
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