60歳で「女が終わる」と思いこんでいた専業主婦がYouTuberになって見つけた新しい生き方

60歳で「女が終わる」と思いこんでいた専業主婦がYouTuberになって見つけた新しい生き方
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YouTubeチャンネル「60歳からの幸せライフ」を運営するライフさんは、60歳になってからYouTubeでの発信を始めました。ライフさんの著書『元専業主婦・今ユーチューバー 64歳、やめて捨てたら手に入った、幸せな暮らし』(扶桑社)では、子育てが終わってからの片付け、人付き合い、おしゃれなどの観点で、すてきなシニアライフの秘訣が書かれています。インタビュー前編では、60歳直前に直面した絶望感や、片付けのポイント、夫婦の距離感について伺いました。

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「60歳になったらおばあちゃん」というイメージだった

――60歳を迎える直前には絶望感に襲われていたと書かれてましたが、どんなお気持ちだったのでしょうか。

「女が終わっちゃう」という思い込みでした。自分の中では「還暦を過ぎるとおばあちゃん」というイメージで、「女性」という自分のアイデンティティが崩れる感覚です。女性からおばあちゃんに移行するというイメージで、明るい展望が見えませんでした。

その頃は内面から出るものもあったのか、子どもからも「老けていた」と言われますし、今は顔出ししてYouTubeをしていますが、写真に写るのも嫌だったくらいです。

――少し前までは、世間的に更年期=おばあちゃんというイメージもありましたが、ライフさんは更年期症状は重かったのでしょうか。

幸いなことにホットフラッシュがときどきあるくらいで、更年期の症状で苦しむことはあまりなかったんです。生活に支障が出るような症状はないまま、更年期の期間が過ぎていきました。

――本書ではご自身の中に「若くなければきれいじゃない」という思い込みがあったことが書かれていましたが、思い込みに気づいてからご自身の中でどんな変化がありましたか?

「若くなければきれいじゃない」という考えが頭にあったのは、私自身が若者だった頃で、当時は「女子大生ブーム」だったので、自分自身が若さゆえにチヤホヤされていました。大学を卒業して社会人になったら、男性たちの扱いが変わるという経験もして、若い=大切にされる、可愛がってもらえる=良いことという考えができていたんです。

その意識はしばらくは固定されていたのですが、だんだんと年齢を重ねた素敵な方に何度か出会ってきて。内面の魅力が外見にも出てきているという印象を受ける方もいらっしゃいました。そういう方と接するうちに、きれい=若さとは限らないですし、「きれい」にも色々な意味があると思うようになりました。

「こういうふうに年をとりたい」と思うような方と出会って、だんだんと年齢へのこだわりも薄くなってからは気持ち的に楽になっています。今は65歳ですが、以前はそのくらいの年齢ってヨボヨボになってやることもなくなって孤独なイメージを持っていたのですが、自分次第で楽しく暮らせるとも思いました。

片付けのポイント

――タイトルに「やめて捨てたら」と入っているように「物を手放す」点についてですが、使っていないものの、思い出のものとして手放したくなかったものにはどんなものがありましたか?どのように対応していきましたか。

子どもからのお手紙や、心のこもったものは捨てられないのでダンボールの中に入る範囲で保管しています。子どもが中学の授業で作った踏み台や木彫りの猫など、使ったり飾ったりできるものもあります。

他にも色々ありましたが、何があったかは忘れてしまいました。思い出せない程度のものは不要なのだと思います。子どもが帰ってくるたびに「これは捨てていい?」と確認して処分しました。

――実家の物の管理ついて、「将来子どもに迷惑をかけたくない」と思っている方は多いと思います。ただ、現在物がたくさんあって困ってる方もいらっしゃると思うので、片付けを始める時点のポイントを教えていただければと存じます。

物がたくさんあると、どこから手をつければいいかわからなくなりますよね。そういうときは
棚1つや引き出し1つといった感じで小さくスペースを決めて、欲張らず少しずつ進めていくと、いつの間にか綺麗になっていきます。小さく区切るのがいいと思います。一気に全部片付けようとするとやる気がなくなってしまいますから。

片付けているうちに、捨てるか迷うものにも出会うと思います。私自身、最初はなかなか捨てられなかったのですが、不思議なことに、少しずつ捨てていくと、選別をする作業に慣れてきて、自分の中での基準が明確になるんです。

最初はローギアで始め、勢いをつけるのが大変でも、だんだんと弾みがついて、スムーズに片付けられるようになると思います。

夫婦のちょうどいい距離感

――「夫婦いつでも一緒、やめました」とありますが、食事は一緒で話題が尽きないということで、ご夫婦の距離感が変わる前後でどんな変化がありましたか?

元々夫が夜型で私が朝型だったこともあって、話し合って距離感を見直したというよりは、自然と時間がずれていきました。

今の形となったきっかけは、夫の定年退職です。夫が会社で定年退職者向けに今後の生活について、「妻の邪魔をしないように」とレクチャーを受ける機会があって、たとえば「ずっとリビングにいて、お茶を飲んで一日中過ごす」といった行動はNGと教わってきたそうです。夫はそこで学んだ影響が大きかったようで、気を遣ってくれたのだと思います。

――そんなふうに教えてくれる会社があることに驚きました。定年退職後の関係が悪くならないためにも必要な情報ですよね。

この話をすると、「そんな会社あるの?」とみなさん驚かれます。会社では「夫源病(夫の言動が原因で妻がストレスを抱え、心身に不調をきたすこと)」という言葉を聞いてきたようで
、私が浮かない表情をしていると、「夫源病?」と聞いてきました。

夫はそうやって気にしてくれる人ですが、言われなければ知らない話だったようです。なぜ妻に怒られたり、妻の機嫌が悪くなったりしているか、夫側からしたらわからないこともあると思います。

「いつも一緒」ではなく、「それぞれの時間も必要」ということを妻の側から言うと、「俺のことが嫌いになったの?」なんて誤解されることもありますし、会社から言ってくれるのはありがたいと思います。

――本には、夫さんの家事のご担当についても書かれていました。

会社に勤めていた頃はほとんどやらなかったのですが、会社でのレクチャーがあったので、夫自身「家事もやらなければ」と思ったのかもしれません。はっきりと経緯は覚えていないのですが、夫が「これからは自分も家にいるのだから、役割分担が必要なんじゃないか」と言ってきて、「夕食後の片付けとお風呂掃除をしてね」とお願いしました。今もそれが続いています。

※後編に続きます。

 

 

『元専業主婦・今ユーチューバー 64歳、やめて捨てたら手に入った、幸せな暮らし』(扶桑社)
『元専業主婦・今ユーチューバー 64歳、やめて捨てたら手に入った、幸せな暮らし』(扶桑社)


【プロフィール】
ライフ

元専業主婦のシニアYouTuber。「60代の暮らしって悪くないよ」をテーマに、シンプルなインテリアや生活をYouTube『60歳からの幸せライフ』にて発信。ものや人間関係に執着しすぎず、上手に手放す姿が人気。今回が初の著書となる。

ライフさん
ライフさん(ご提供写真)

 

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